蕎麦は香り

2005年3月 7日(月) 14:13:19

昼にたまたま蕎麦の食べ方談義になったので、ボクの考えを少しまとめておこう。

蕎麦の本質は「香りを楽しむこと」だとボクは思う。もちろん喉越しとか味とかもあるとは思うが、優先順位的に一番大切なのは香りだと思うのだ。そこから発想すると食べ方や手順はとてもシンプルになる。

要は「ただでさえほのかな蕎麦の香りを、できるだけ殺さないような食べ方をする」ということ。つまり、つゆにネギをいれてはいけない。蕎麦の香りがネギの香りに負ける。同じ理屈で、つゆに蕎麦を浸してはいけない。つゆの香りしかしなくなる。つゆにはほんの少しだけつけ、蕎麦への軽い味付けと喉を通す潤滑油としてだけ機能させる。最初の一口はつゆもわさびもつけずに食べるのも楽しい。

また、蕎麦の香りが弱いときはわさびもつけない方がいい。わさびは蕎麦の香りを引き立たせる名脇役だが、弱い蕎麦だとわさびに負ける。そういう意味では大根おろしを用意する店があるがそれも解決法のひとつだと思う。舌にピリッとして味に変化がつく。わさびをつけるときは少量を箸につけ、口に入れたときほのかにわさびの香りがするくらいがベストだと思う。蕎麦につけると口への入れ方によってはわさびが立ってしまう気がする。つゆにつけるのは論外。わさびの香りが変化してしまい、蕎麦との相性も悪くなる。酒を飲むならビールはさける。ホップの香りは蕎麦と合わない。日本酒なら香りが強すぎなければ合う。

食べるときは、その香りを最大限にするために、盛大に音を立ててすすり上げる。そうするとより強く香りが鼻に上がってくる。また、香りが飛ばないように、出されたらなるべく早く食べる。で、最後に蕎麦湯をもらったら、ここで初めてネギを入れるとよい。味に変化がつく。わさびを溶き入れるのもなかなかおいしい。

つまり、すべては蕎麦の香りを立たせるため、と考えると作法などがシンプルに整理できる気がする。ま、今時点でのボクの考え方ですが。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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