音楽も美術館みたいなところに閉じこめて飾っとけばいい

2004年11月 6日(土) 9:00:37


JASRAC(日本音楽著作権協会)は、名古屋市内の7つのダンス教室に対し「レッスン用に音楽を無断使用し著作権を侵害した」と訴え、最高裁で勝った(9月28日)。これからはダンスとかエアロビとかバレエとかの教室でCD流して踊ったり出来ないわけね。いや、著作権料払えば踊れるけど、いちいち申告するか包括契約。小さな教室は経営に響く。

小さな自然食レストランで月1回だけ2時間のライブを開催し、しかもほとんどがオリジナル曲を歌っていただけなのに、JASRACから「包括契約ということで年10万8000円払え。1週間以内に契約しなければ法的手段を行使する」と通告があり、そんな高額を将来に渡って支払えない小さなレストランはささやかなライブを諦めた、という話はネットではすでに有名。

その昔、ラジオが出来た頃、レコード業界は大騒ぎしたそうな。「ラジオなんかでタダで流されたら商売あがったりだ!」と。でも、そのうち「ラジオってヤツはどうもお友達らしい」と手のひら返した。ラジオで流されるとレコードが売れる、と気がついたからだ。儲かるならお友達。

ダンス教室もささやかなライブも「お友達」だよ?JASRAC。教室で流れて初めてその曲を知り、CDを買うに至る人はいっぱいいる。音楽とはそういう伝わり方をする文化だ。聴いて楽しむ大衆に膾炙してこそ音楽だ。著作者の権利を守るなら、CDなどにせず、美術館みたいなところに閉じこめて飾っとけばいい。ボクも著作者の端くれなので著作権の意義はわかるし切実な問題だとも思うが、文化の発展を妨げる規制には反対だ。iTunes Music Storeの問題に関しても同じ。ユーザーが悪い利用法をすると決めつけ、権利を守ることに汲々としすぎて、そのジャンル全体の発展という視点が欠けすぎてしまっている。んでもってCDが売れないとか騒いでいる。

プロ野球のオーナー会議もそうだったが、音楽著作権や他のいろんな既得権益団体も、老人たちが運営している限りどうしても性悪説的守りに入り、そのジャンル全体の発展という視点に欠けすぎる。30代40代に運営を任せて、発展への新しいアイデアと蛮勇を持つべきだ。息苦しすぎる。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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