「海辺のカフカ」読了
2002年9月28日(土) 18:35:14
村上春樹「海辺のカフカ」読了。
寓話の上に寓話を重ねた彼のこの新作を読んでまず思ったのは「村上春樹はちゃんと言うことに決めたんだな」ということ。「アンダーグラウンド」以来現実に深く関わった彼は、距離のある客観スタンスを捨て、一歩踏み出したように思う。そしてそれは成功している。寓話やメタファーはすべてにおいてわかりやすく、変にこねくり回していない潔ささえある。説明しすぎと思う部分もあったが、この変容をボクは支持する。
ま、そんなことはどうでもいい。なにより美しく感動的な物語だった。寓話の中に散りばめた現代的リアリティとその不自然さのバランスもよく計算されていて、上巻での違和感(15歳の主人公の行動への違和感)もある種のメタファーに感じられてくる。
これって傑作なのでは、と、ちょっと身震い。
