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「君がいた夏」

君がいた夏

Stealing Home

Steven Kampmann, William Porter
Mark Harmon, Jodie Foster, Blair Brown, Jonathan Silverman, Harold Ramis, William McNamara, Richard Jenkins
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1988年製作
98 minutes

監督・・・・スティーブン・カンプマン
ウィル・オールディス
製作・・・・ソム・マウント
ハンク・ムーンジーン
脚本・・・・スティーブン・カンプマン
ウィル・オールディス
撮影・・・・ボビー・バーン
音楽・・・・デビッド・フォスター
キャスト・・ジョディ・フォスター
マーク・ハーモン
ハロルド・ライミス
ウィリアム・マクナマラ
ジョナサン・シルバーマン
ブレア・ブラウン
ジョン・シー

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この映画は好き嫌いが分かれるかもしれません。

いや、好き嫌いというか、「なんだよこりゃ、駄作だぁ、退屈だぁ」と言う人と「どうってことない映画だけど、なんだかとっても好き」と言う人のふたつに分かれるかも。

で、ボクは後者。
なぜか、ものすごく、後者。
他人にこの映画が好きってあまり大声では言いたくないけど、きっぱりと後者、なのです。


じゃぁ、どこが好きなの?って聞かれると、うーん、どこが好きなんだろう。

敢えて言えば、主人公がずっと自分の過去をさかのぼる過程で思い出すいろんな過去の「せつなさ」を「等身大で共有できるところ」かな。
もちろん主人公とボクはまるで違う青春時代を過ごしてきたんだけど(当たり前)、その時その時の感情をなぜかとてもしっくり共有できるんです。

なぜなんでしょうね。

その理由の一つは、映画的に「若い人」が監督・脚本をしているからだとボクは思っています。
監督・脚本をこなした二人組スティーブン・カンプマンとウィル・オールディスはこの映画がデビュー作なんだけど、やっぱり独りよがりになっていると思うんですよね。
脚本を書いた人が監督すると、まぁだいたい独りよがりになるのは想像つきます。だって、自分の中に入りこんじゃって出てこれないじゃない。二人組だからまだ抑制力は働くけど、どうしても客観的に全体を見れなくなる。

しかもデビュー作。

惑いつつ迷いつつ、思い入れつつ熱くなりつつ。
彼らが必死に作っている様が伝わってきます。
しかも「洒落た映画にしよう」ってたくらんでいるところまで伝わってきて・・・

なんだかその青臭さに微笑ましくなってしまうのはボクだけ?

そのうえちょっと理屈っぽい。
伏線の張り方や小道具の使い方が、辻褄があいすぎていてどうにも理屈っぽい。
見え見えだなぁ、と思う伏線がいっぱいあって、それもまた微笑ましいのです。

でも、そんな微笑ましさが逆にこの映画を瑞々しくしてます。
とっても「等身大」で観れる。
目線をとっても近くに置ける。

そして空気感を「共有」できる・・・。


脚本・監督の二人組の「デビュー作にかける情熱」は空回りもしていて、それがこの映画を退屈かつ平凡かつ青臭くしているんだけど、その情熱は一方で「共有できる空気感」を生み出しました。
自分の好きなもの、撮りたいものを目一杯この映画の中に詰め込んだ分、奇跡的な親密感が醸し出されたと思うんですよね。

それがこの映画の説明しがたい魅力であり、せつなさであり、共有感なのです。きっと。
で、それだけでいいんです。ボクにとって。この映画は。

この映画の中のジョディ・フォスターは母であり姉であり恋人であり親友であり、とにかく主人公を元気づける女神みたいな存在。
でもこんな演技させたらさすがだなぁとため息をつきたくなる存在感。
この手の映画によく出たね、と思うんだけど、こういう映画こそ彼女の美しさが際だちます。
ジョディ・フォスターが輝いているという意味では「ホテル・ニューハンプシャー」とこの映画が双璧かもしれないと思うくらい。
ただ、なんだかやりにくそうに感じたのはボクだけかな。ジョディの前で監督たちはちょっとびびっていた感じに思えるのだけど・・・。
ジョディの他の映画では「ダウンタウン物語」「ホテル・ニューハンプシャー」あたりはそのうちこのコーナーで取り上げるかもしれません。


音楽はデビッド・フォスター。
この巨匠も、経験のない監督たちを相手に好き勝手やっちゃったという感じです。
もうちょっと良い音楽つけてくれたらもっとこの映画は変わったのだろうなぁと惜しく思うなぁ。せめて「おもいでの夏」に匹敵するような名曲をつけてくれたら、一気に「青春の名作」になっただろうに。惜しい惜しい。
それと、ジェリー・リー・ルイスやらフォーシーズンスやらエヴァリー・ブラザースやらナイロンズやらを使った当たりは「似た映画」を結果的にいっぱい作ってしまうことになって、逆効果だと思います。

原題は「Stealing Home」。
訳せば「ホーム・スティール」ってことで、つまりは野球の本盗なんだけど、なんでこんな題名なのかは観てない人のために解題しません。
ただ、この題名、いろんな意味を詰め込んだのかもしれないけど、これも空回りしていますね。ああ、なんと空回りの多い映画か! でもこれを「君がいた夏」みたいなウェットな邦題にしちゃうとちょっとセンチメンタルかつノスタルジックになりすぎてこれはこれでイヤかも。


【1999年6月記】

1999年06月01日(火) 22:34:21・リンク用URL

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