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「マイ・フェア・レディ」

マイ・フェア・レディ

My Fair Lady

George Cukor
Audrey Hepburn, Rex Harrison, Stanley Holloway, Wilfrid Hyde-White, Gladys Cooper, Jeremy Brett
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1964年製作
172 minutes

監督・・・・ジョージ・キューカー
製作・・・・ジャック・L・ワーナー
原作・・・・ジョージ・バーナード・ショウ
脚本・作詞・アラン・ジェイ・ラーナー
音楽・・・・フレデリック・ロウ
音楽監督・・アンドレ・プレヴィン
撮影・・・・ハリー・ストラドリング
衣装・装置・セシル・ビートン
美術監督・・ジーン・アレン
キャスト・・オードリー・ヘップバーン
レックス・ハリスン
スタンリー・ハロウェイ
ウィルフレッド・ハイド・ホワイト
ジェレミイ・ブレッド
グラディス・クーパー

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この映画がジュリー・アンドリュース主演だったらいったいどういう風になっていたでしょうね。

ジュリー・アンドリュース主演でブロードウェイで大ヒットを飛ばしていた直後の映画化ですから、誰もがジュリーが主演すると考えていたし、実際他の助演の役者はほとんど舞台と同キャストなのだからジュリーが出ないのが不思議なくらい。

そう、この映画はもともとジュリー・アンドリュースのものだったのです。

ただ、製作のジャック・L・ワーナーは最初からオードリー・ヘップバーンを考えていたんです。なにしろ大作なので、興行面で確実に客が取れるヘップバーンでどうしても行きたかったんですね。
ジャック・ワーナーが考えていたキャストはこうです。

イライザ・・・・・オードリー・ヘップバーン
ヒギンズ・・・・・ケイリー・グラント
イライザの父・・・ジェームズ・キャグニー

結果的にはケイリー・グラントとジェームズ・キャグニーには冷たく断られ(断られて良かったですね。この二つの役はレックス・ハリスンとスタンリー・ハロウェイ以外考えられない)、わりとさっさと役者が固定されたのですが、イライザ役だけはかなりもめたようです。

ジュリー・アンドリュース・オリジナルを愛するファンがワーナーの予想以上に多く(ブロードウェイのオリジナル・アルバムは3200万枚売れていて、それを買った人すべてがジュリーに魅了されていた!)、舞台関係者もアタマから湯気を出す勢いでオードリー・ヘップバーンを配することに反対したというのですから。

まぁそういうこともあって、正式にヘップバーンでやることになってからも「ジュリー哀惜の声」はやまず、それもあってか、この作品はアカデミー作品賞、主演男優賞、監督賞など9部門を獲得しているのに、ヘップバーンは主演女優賞にノミネートもされていないんです。

ノミネートには値する演技だったと思うけどなぁ。
これはイジワル以外の何者でもないと思うんだけど。
(歌の部分はすべて吹き替えだったので、ミュージカル映画主演女優として資格に劣るというような詭弁が弄されていたらしいけど)

しかもその年に主演女優賞を取ったのは、なんと「マイ・フェア・レディ」に出れないおかげで「メリー・ポピンズ」役をもらえたジュリー・アンドリュース!

なんと皮肉なことではないですか・・・。

ジュリーが「マイ・フェア・レディ」に出ていたらどうなっていたのか・・・
「メリー・ポピンズ」がどうなっていたかを含めて、非常に興味深いものがありますよね。


余談ですが。
両方とも64年の映画なので時代背景が一緒のせいか「婦人参政権」の話が取り上げられています。両方ともイギリスの話だし、「メリー・ポピンズ」の衣装も「マイ・フェア・レディ」と酷似。両方とも競馬場が出てくるし、真面目で偏見な男が変化していく物語だし・・・
なんだか似ています。そうやって比べながら観ると面白いですこの二つ。

これまた余談ですが。
話に聴くと、なんとエリザベス・テイラーもこの役が欲しくてたまらず、かなり裏工作したらしいですよ。ヘップバーンに断られたらテイラーを配するつもりだったようです、ワーナーは。

エリザベス・テイラーのイライザ・・・想像もつかないなぁ。
なんだか油っこすぎ。





さて。

この映画の魅力は数多いのですが、やっぱりなんと言っても「オードリー・ヘップバーン」でしょう。

彼女の主演映画では他に「ローマの休日」「昼下がりの情事」「シャレード」などこのコーナーでいつか取り上げたいものがいっぱいあるのですが、この「マイ・フェア・レディ」でもその魅力は最大限に生かされています。

ただ、上でも書きましたが、歌はほとんど吹き替えなんです。

ヘップバーンも全部歌ったことは歌ったらしいです。努力して、毎日レッスンを受けて、なんとか自分の歌を使ってほしいと懇願したらしい。それを製作側がボツにした、ということ。
まぁ彼女の唄は「ティファニーで朝食を」でもわかるようにか細く頼りない持ち味ですから、ミュージカル的ではないんですけどね。
吹き替えはマーニー・ニクソン。「ウェスト・サイド・ストーリー」でナタリー・ウッドの吹き替え、「王様と私」でデボラ・カーの吹き替えをやった人。

でも、歌がなくても、ノミネートにはやっぱり値するよなぁ。
その美しさ、その可憐さ、その表情の豊かさ・・・
前半部のイライザの演技の見事さなんかは、従来のヘップバーンの評価を覆すもの。
そういう意味でワーナーの配役はやっぱり成功でしょうね。ジュリーの良さもわかるけど、後半のヘップバーンの魅力にはどうやっても勝てなかった気がします。
ジュリーはやっぱり健康的で前向きな家庭教師役が向いている気がします。


ミュージカル・ナンバーも珠玉ですね。
名曲揃い。
どれも好きですが、ボクはなぜか昔から「君住む街で」が好きで好きで。
これは本当にフェバリットな曲です。(ちなみにアレも吹き替えらしいけど)

「ステキじゃない?」「運が向いてきたぞ」「スペインの雨」「踊り明かそう」「時間通りに教会へ!」・・・
素晴らしい。どれも最高のナンバーです。


演出的に面白いのは、この映画はほとんど「ブロードウェイ・オリジナル」をいじっていない(らしい)こと。
だからとっても舞台的な演出なんですね。舞台をそのまま映画にしたんです。ストップモーションや書き割りなんかも効果的に使って、いかにもブロードウェイでしょ。
これが今観るととても新鮮で魅力的。舞台的だから長尺の映画ながらテンポもいいし。
変に映画的描き込みがあったらもっともっと間延びしていたことでしょう。


それとそれと、忘れてはいけないのはレックス・ハリスンとスタンリー・ハロウェイの熱演。

ヒギンズ教授役のレックス・ハリスンのこの映画でのうまさと言ったら超絶ものだと思っています。見惚れるほど。特に話口調から歌に移るところ、歌から話口調に帰ってくるところなどのバランスが見事。レックス・ハリスン節といってもいいでしょう。

イライザの親父役のスタンリー・ハロウェイもいい味だしてますよね。
演技しすぎていない感じがとてもいい。もともとは舞台俳優ですが、舞台臭さがあまりなくて実にいいです。この映画にはなくてはならない名脇役でした。助演男優賞をあげたいくらいです。


それはそうと、レックス・ハリスンは実物も本当に本当にイヤな奴らしいです。
並外れた自信家で何事においても自分中心でなければガマンがならないタイプのようですね。
まぁその性格がぴったしヒギンズ教授に向いていたのが幸いしました。ヒギンズの偏狭さが内面から滲み出ていましたし・・・。

なんだか今回はゴシップ・ネタに終始してしまいましたねぇ。

でもこの映画を見る度にそういういろんなことがアタマを飛び交ってしまいます。
入らぬ知識が増えすぎた罰ですね。

まぁこの映画は、ボクにとってそのくらい興味がある映画なのだ、ということでとりあえず終わりにしましょう。
まだ観たことがないひとは、いま読んだことをすべて忘れて、邪念なく観てください。素晴らしい映画ですから。

ということで。




ああ、そうそう! 素晴らしい衣装を担当したセシル・ビートンについてもおもしろい話があってね・・・・・・・・もういいって。

【1998年7月記】

1998年07月01日(水) 12:09:55・リンク用URL

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