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「恋人たちの予感」

恋人たちの予感

When Harry Met Sally...

Rob Reiner
Billy Crystal, Meg Ryan, Carrie Fisher, Bruno Kirby, Steven Ford

1989年製作
96 minutes

監督・・・・ロブ・ライナー
製作・・・・ロブ・ライナー
アンドリュー・シェイマン
脚本・・・・ノーラ・エフロン
撮影・・・・バリー・ソネンフェルド
音楽・・・・ハリー・コニックJr.
美術・・・・ジェーン・マスキー
キャスト・・ビリー・クリスタル
メグ・ライアン
キャリー・フィッシャー
ブルーノ・カービィ
スティーブン・フォード
リサ・ジェーン・パースキー

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「男と女は、セックスが邪魔をして、本当の友達にはなれない」

映画の中でハリー(ビリー・クリスタル)が言うセリフで、この言葉にハリーもサリー(メグ・ライアン)も縛られてしまい、複雑な関係が始まるんだけど、この「異性間の友情は成立するのか」ということこそこの映画の主題だと捉えているひとが多いんですよねぇ。

ボクはどうもピンとこないなぁ。
この命題は本当の主題を引き出すための伏線だと思うんです。

ふたりがそれぞれの部屋のテレビで同じ映画を観ながら電話する場面があるのだけど、その映画がなぜ「カサブランカ」の、しかもラストシーンなのかというと、「美しい友情の始まりだ」というあのボガードの名セリフをどうしても使いたかったからだと思うのですよ。

そう、この映画は「友情の終わりとしての結婚」を描いているように表面上は見えるのだけど、実は「友情の始まりとしての結婚」を描いているとボクは思うのです。

夫婦という関係こそ、男女間の本当の友情の始まり。

それをスマートに感じさせるために、要所要所で友達みたいな関係になっている老夫婦のインタビューを効果的にインサートして構成していると思うのです。


あの効果的にインサートされる様々な老夫婦のインタビュー・シーン。
これがボクは大好きなのだけど、ラストのラストで、ハリーとサリーが老夫婦たちと同じアングルでインタビュー場面に出てくる。
彼らだけいままで出ていた夫婦より圧倒的に若いんですね。
もっと結婚を一般化するなら他のにも若い夫婦を混じらせるべきだったのに、なぜハリーとサリー以外は仲のいい「老」夫婦だったのか。

そこらへんがこの映画のミソ。
まさに「This is the begining of a beautiful friendship」という時間の流れを表していると思うのです。


それにしてもこのインサートシーンは上手だなぁ。

この映画の良さを語るとき、役者の素晴らしさと音楽のセンスの良さ、そして監督の力量に言及されることが多いんだけど、ボクはこの映画、脚本の勝利だと思っています。

脚本のノーラ・エフロンはこのあと「ジス・イズ・マイライフ」「めぐり逢えたら」を自ら監督するんだけど、この「恋人たちの予感」のセンス・リズム・ユーモアはすべて脚本家ノーラ・エフロンのおかげだということがこの2本からよくわかります。

いや、本当に、いい脚本。

何よりもこのインサートシーンを上手に使った構成力に惚れますね。
とっても知的な構成の仕方ですよね。

ロブ・ライナー監督はほとんどその脚本に寄りかかって、わりとぼんやり撮っている。アングルとかも散漫だし、主演のふたりに対する演出もちょっと甘い感じがする。
「スタンド・バイ・ミー」や「ミザリー」といったヒットを次々放っている監督なんだけど、実はわりと下手なんじゃないかな、とボクは思います。
だけど、音楽の使い方だけはとってもうまい。
「スタンド・バイ・ミー」とかも上手に音楽を使っていましたよね。この映画でもとってもうまい。もちろんハリー・コニックJrのセンスがいいんだけど、音楽を流す場面の構成の仕方はさすがなものがあります。

冒頭のハリー・コニックJrのピアノによる「It had to be you」と、ラストのシナトラが歌い上げる同曲の、その上手な使い方。
途中のエラ&アームストロングによる「Let's call the whole thing off」の効果的な使い方。
このふたつだけを取ってみても実に気持ちがいい。


そして、役者。

ビリー・クリスタル、いいですねぇ。
ただ、前半は無表情なシニカルさがとってもよかったけど、後半はもうちょっと表情豊かに演出した方が良かったと思うなぁ。もともと「サタデーナイトライブ」出身のひとで表情の付け方とかにクセはあるものの、もっともっと後半に魅力的に見えてこないと全体の構成が崩れます。これは監督の演出ミスだと思う。
ビリー・クリスタルで印象的なのは、何年か前のアカデミー賞の総合司会をした時の面白さ。あれこそ彼の本領発揮ですよね。

メグ・ライアンはこれでブレイクしました。
このあと「めぐり逢えたら」「男が女を愛する時」「フレンチ・キス」「戦火の勇気」などいろいろ出ているけど、ちょっと演技がワンパターンでボクは飽き気味。アクション映画系で新天地も狙っているけど、この映画の魅力を越えられない気がします。というか、これ一本撮れただけでもラッキーだったのではないか、とボクは思うのだけど・・・いや、嫌いというわけではないけど、なんというか・・・味で勝負のヒトだけに、いっぱい出てしまうとボロが出るというか・・・。

キャリー・フィッシャーはいい味だしてましたね。
「ハンナとその姉妹」といいこれといい、ああいう男を狙うオバサンぽさを演技させたら絶品かも。




さて。
この映画が作られた80年代末から90年代アタマは、アメリカで「結婚」という制度が見直されたときでもありました。
シングル・バーみたいな「お見合いバー」が出来たり「ブラインド・デート」が流行ったりして、いままでの「独身主義」の反動からか、みんなが「結婚」をしたがった。

この映画はその時流に実に上手に乗って作られました。
だからちょっと結婚をよく描きすぎているきらいがありますよね。

でもまぁ、ボクも「夫婦こそ、男女間の本当の友情の始まり」だと思うなぁ。いまのところ。

ここにイマノトコロなんていう言葉を入れてしまう当たりがボクの弱いところなんだけど、ほら、人生一寸先は闇だから・・・。


【1998年11月記】

1998年11月01日(日) 12:14:11・リンク用URL

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