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「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」

恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ

The Fabulous Baker Boys

Steven Kloves
Jeff Bridges, Michelle Pfeiffer, Beau Bridges, Ellie Raab, Xander Berkeley, Dakin Matthews
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1989年製作
116 minutes

監督・脚本・スティーブ・クローヴス
製作総指揮・シドニー・ポラック
製作・・・・ポーラ・ワインスタイン
マーク・クローゼンバーグ
撮影監督・・ミヒャエル・バルハウス
音楽・・・・デイブ・グルーシン
美術・・・・ジェフリー・タウンゼント
衣装・・・・リサ・ジェンセン

キャスト・・ジェフ・ブリッジス
ミッシェル・ファイファー
ボー・ブリッジス
ジェニファー・ティリー
エリオット・リード
エリー・ラーブ

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この映画を見てミッシェル・ファイファーにやられちゃいました。

ええ、それはもう見事に。

1987年の「イーストウィックの魔女たち」で少し注目はしていたんですが、たった2年でここまで魅力的に化けるとは思わなかったなぁ。役作りもあるとは思うけど、やせて尖って鋭利になった。で、下品を「品よく」表現できるようになった・・・。

これを観て以来、彼女が出ている映画はほとんど追っかけ。
「スカーフェイス」「レディホーク」「愛されちゃってマフィア」「テキーラ・サンライズ」「危険な関係」「 恋のためらい」「バットマン・リターンズ」「ラブ・フィールド」「エイジ・オブ・イノセンス」「ウルフ」「デンジャラス・マインド」「アンカー・ウーマン」「逢いたくて」「素晴らしき日」・・・。
「愛されちゃってマフィア」なんてレンタル店に置いてなかったのでLD買ってしまっちゃったりして。駄作でしたけど。


でも、いろいろ観た中でも、この「恋のゆくえ」は彼女の魅力がトップクラスに味わえます。

はすっぱで、ちょっと下品で、だけど自分をしっかり持っていて、そのわりに億劫そうで、小悪魔的で、妖しくて、男なんか信じてなくて、そのくせ頼りなげで・・・なによりセクシー。
(もちろん上品で知的な魅力も一方ではあるんだけど、ボクの中でのミッシェル・ファイファーのイメージにこの「恋のゆくえ」が一番近いんですね、きっと)

そんな彼女の魅力が一番出ているのがこの映画「恋のゆくえ」だと思います。

彼女がピアノの上で「メイキン・ウーピー」を歌う場面など、その魅力が一番出ていた場面であり、この映画の白眉でもありますね。たしか「ホットショット2」のパロディシーンになったんじゃなかったかな(違う映画かもしれない)。
なんというか匂いたつようなセクシーさ。男なら誰でもイカレます。



さて。

この映画、ミッシェル・ファイファーの魅力は置いておいたとしても、本当にいい映画なんです。
邦題以外はすべていい。

音楽がまずいい。
大ベテラン、デイブ・グルーシンによる選曲も演奏も、通すぎず通俗すぎず、ちょうどいいバランス感覚。ストーリーとジャズが見事に溶け合って、音楽映画としても非常にいい出来になっていますよね。グラミー賞の映画音楽部門でベストアルバム賞をもらっているのもさもありなんです。
ミッシェル・ファイファーによる歌唱も最高。
映画女優系ではアン・マーグレットやシビル・シェパードが数枚ボーカルアルバムを出しているけど、彼女にも出してほしいなぁ。


カメラもいい。
この映画で感心するのはそのリアリティあるカメラワーク。
冒頭に描かれる街(シアトル)の表情は特にいい。ググッと映画と主人公に入っていける素晴らしいカメラワークです。頻出するナイトクラブ・シーンもスモークたきすぎのような気はするものの、とってもリアリティがあって好きです。
監督はこの映画でデビューした当時29歳のスティーブ・クローブスなんだけど、かなり撮影監督のミヒャエル・バルハウスに助けられてる気がします。


そして役者がまたいい。
ボクが女だったらミッシェル・ファイファーがどうのと騒ぐ前にまず言及したに違いないジェフ・ブリッジスのセクシーさ。倦怠と自分勝手さがとても出ていて素晴らしい。
「ラスト・ショー」「サンダーボルト」「キングコング」「カリブの熱い夜」「タッカー」などがまぁ有名だけど、個人的には「フィッシャー・キング」が一番良かったかな。
ちょっとウィリアム・ハートとクリント・イーストウッドを足したような雰囲気でなんともよかったです。

その彼とピアノ・デュオをする兄貴役のボー・ブリッジスは実の兄貴。兄弟初共演らしいですね。
彼がまたいい。「9 to 5」的性格の長男役を見事な演技で表現しています。この映画ではわりと格好悪いけど、メガネを掛けてちょっとやせるとなかなか格好いいんです。
彼の出演作で忘れられないのはフェバリットな映画「ホテル・ニューハンプシャー」。この演技は最高でした。

----余談ですが、この二人の兄弟の父親はロイド・ブリッジス。
「真昼の決闘」での保安官助手や「タッカー」で渋いわき役を演じています。

そうそう、わりと忘れられない印象を残すのはジェニファー・ティリーですね。
オーデションに来て奇天烈な歌を歌い、最後の方でウエイトレス役でまたちらっと出てくるモニカ・モラン役。 後年「バウンド」でブレイクしたけど、この存在感はさすが。

----またまた余談ですが、製作側は最初、ダン・エイクロイドとチェビー・チェイス主演でやろうとしていたんですって。ドタバタ喜劇にしようとしていたんだねぇ。




このように、この映画、音楽・演出・役者の三拍子がピシっと決まった傑作なんだけど、あとひとつ、個人的にこの映画が好きな理由があります。

それはボクの「憧れ」みたいなもの。

「場末のピアノ弾きという人生」になんか憧れるんですよ。甘いけど。

そういう意味でこの映画のジェフ・ブリッジス、格好よすぎるではないですか。
本当は実力があるのに流されて日々を生きていて、友達は犬と10歳くらいの女の子ひとり。
自分の目的も見つからず(いや、見つけようとせず)、つまんなそうに義務的に毎日ピアノを弾き続ける。
四六時中タバコを離さず、無関心そうに億劫そうに毎日を過ごすスネ者。
たまに仕事を離れてジャズクラブでアドリブを弾く時、初めて彼の満足げな幸せな表情が見える。が、それも単なる逃避だとミッシェル・ファイファーに指摘されてしまう・・・

なんというか、その無頼で破滅的で情けないところが琴線に触れるんです。
どうしようもねぇなぁ、と思いつつなんか憧れてしまうんです。


自分が憧れつつも、絶対できない「いまと違う人生」。
そんなものを味わわせてくれるのも映画の醍醐味ですからね。

この映画を何度も見直してしまうのは、そういう個人的理由が一番大きかったりするのかもしれません。


【1998年8月記】

1998年08月01日(土) 12:10:53・リンク用URL

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