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「戦場のメリークリスマス」

戦場のメリークリスマス

Merry Christmas Mr. Lawrence

Nagisa Oshima
David Bowie, Tom Conti, Ryuichi Sakamoto, Takeshi Kitano, Jack Thompson, Johnny Okura
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1983年製作
123 minutes

監督・・・・大島渚
製作・・・・ジェレミー・トーマス
脚本・・・・大島渚、ポール・マイヤースバーグ
原作・・・・サー・ローレンス・ヴァン・デル・ポスト
撮影・・・・成島東一郎
音楽・・・・坂本龍一
美術・・・・戸田重昌
キャスト・・デヴィッド・ボウイ
坂本龍一
ビートたけし
トム・コンティ
ジャック・トンプソン
ジョニー大倉
内田裕也
三上寛

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ボクはこの映画を憎みつつも偏愛しています。

なんというか、大島渚監督の目線が「西洋に土下座的」でイヤなんですが、映画全体としてはとっても愛しているんです。

坂本龍一、デヴィッド・ボウイ、トム・コンティ、ビートたけし。
この4人が戦場という極限なる状況で織りなすちょっとエロチックな人間模様に、理屈でなく心が惹かれるのです。


彼らはお互いに種を蒔きあいます。
決して花が咲かない哀しい種。
敵同士であり、勝者と敗者であり(前半では日本は勝者だが、最後には敗者になる。ここらへんの構図も見事)、愛しているものも違う。

お国しか、いや、天皇しか愛してはいけない帝国軍人(坂本龍一)が、イギリス人少佐(デヴィッド・ボウイ)の美貌に心を奪われてしまっても、そこに花は咲かない。

イギリス人中佐(トム・コンティ)が日本の軍曹(ビートたけし)にお互いに持つ神の違いを認識しつつ友情を感じても、そこにも花は咲かない。

ただ、種は確かに蒔かれた。
捕虜収容所という勝者と敗者がはっきりしている環境で、その不自由な種は確実に蒔かれたのです。


映像的に美しい場面がいっぱい出てきます。

特に重要なのはデヴィッド・ボウイの回想シーン。
せむしの弟に対する思い出の場面です。

この寓話をどうとらえればいいのでしょう。

ボクは蒔けなかった種に対する悔恨と受け取りました。そして彼は死を賭して坂本龍一に種を蒔きに行った…。
ただ、ここの解釈はもっといろいろあるでしょうね。


まぁあとは、何度見てもなぜだか涙が出てしまうラストシーン。

イギリスでは名を知られた名優らしいけど、意外と下手くそなトム・コンティの演技にいらいらしながら、そして、テーマがきちんと収束しない演出にむかむかしながら、あの「たけしの大アップ」にやっぱり涙してしまうのです。

そう、あの場面だけで、ボクはこの映画を愛しているのかもしれない・・・



この映画、封切り当時、非常に話題になりましたね。「退屈だ!」「感動した!」という賛否両論に別れましたっけ。

封切りは1983年。ボクは大学生。
友達と二人でヨーロッパ一周貧乏旅行をしている最中で、スペインのバルセロナで「FURYO」(俘虜)というポスターがあちこちに貼ってあったのをよく覚えています。

「Merry Christmas Mr. Lawrence」というわかりやすい英題名があるのに、なぜわざわざ「俘虜」という難しい名前で封切るのか、とても不思議に思ったなぁ。
そして当時、一番有名な日本人って言えばこの映画に主演した坂本龍一だった。そう、そのくらいは世界でヒットした映画だったのですね。


その坂本龍一。
演技はちょっと素人くさくて見ているとこそばゆくなってしまうけど、音楽では大傑作を残しました。

主題曲「戦場のメリークリスマス」。

素晴らしい曲です。
花が咲かない西洋と東洋の関係を見事に五線譜にのせています。

この曲はボクのフェバリット。
必死でピアノを練習し、弾けるようになった曲のひとつ。
どうしても自分で弾きたいくなってしまったくらい、好きなんです。

この曲も、この映画を偏愛させた大きな要因かもしれません。





「ローレンス、オレはお前が死んだらもっとお前のことを好きになる。
 なぜ死なない。
 なぜお前ほどの軍人が生きて虜囚の恥をさらす」

原軍曹(ビートたけし)がローレンス(トム・コンティ)に言った言葉です(不正確だけど)。

この言葉自体が西洋価値観を持っているローレンスには理解不能。
でもこの言葉にあるような日本人の精神構造を西洋におもねらずにもうちょっとしっかり監督には演出してほしかったとボクは思います。

どうも、冒頭のジョニー大倉(熱演!)がオランダ人のカマをほりにいって糾弾される場面のような、どこかで西洋に淡く憧れているような日本の、そして日本人の描き方に終始してしまっているのが、やっぱりこの映画、気に入らない。

うーん、理屈で考えるとやっぱりこの映画、嫌いかも。


でも定期的に見直したくなるし、涙も流してしまう・・・映画って不思議ですね。


【1998年9月記】

1998年09月01日(火) 12:11:48・リンク用URL

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