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「ボルサリーノ」

ボルサリーノ

Borsalino

Jacques Deray
Alain Delon, Jean-Paul Belmondo,Michel Bouquet, Catherine Rouvel, Corinne Marchand

1969年製作
125 minutes

監督・・・・ジャック・ドレー
製作・・・・アラン・ドロン
原作・・・・ユージェーヌ・サコマノ
脚本・・・・ジャン=クロード・カリエール
クロード・ソテー
ジャック・ドレー
ジャン・コウ
撮影・・・・ジャン=ジャック・タルベス
音楽・・・・クロード・ボーラン
編集・・・・ポール・カイヤット
キャスト・・アラン・ドロン
ジャン=ポール・ベルモンド
ミシェル・ブーケ
カトリーヌ・ルーベル
フランソワーズ・クリストファ
コリンヌ・マルシャン


駄作なんですよねー。この映画。
このコーナーにこんな駄作を取り上げるのも何だなぁとか思いつつ、でもやっぱりボクの「座右」なんで、取り上げちゃいます。だってこの映画、ボクの人生の「ある時期の匂い」を再現してくれる映画なのですよ。


ある時期の匂い・・・

匂いって言葉が適切かどうかわからないけど、それは中学高校と居候していた祖父母の家の居間の質感だったり、そこでの蛍光灯の下の食事だったり、祖父母たちとの会話だったりするんです。
ひいては、中学の教室の様子。通学電車の混み具合。勉強部屋での悶々とした毎日・・・


あの頃が、実在感を持って蘇ってくる魔法のような映画が、この「ボルサリーノ」。
これを観ていると、筋から離れて、ふと「あの頃」を彷徨っている自分がいたりします。
言うなれば「幽体離脱LD」みたいなものなのです。


いや、別に内容が郷愁系というわけではないんですよ。
単なるギャング映画。
1930年代のマルセイユを舞台に、ふたりの男がギャングとして成り上がる様子を描いた半端なアクションもの。

なのになぜ、「あの頃」が蘇ってくるのか・・・

それはこの映画がテレビで何度も何度も再放送された超お馴染みさんだったからなのです。

つまり、「日曜洋画劇場」やら「金曜ロードショウ」やら「木曜ゴールデン映画劇場」やらで、ある年代、再三再四よく流れた映画なんです、コレ。
で、この映画を観ると、当時観ていたテレビの形、茶の間の風景、そばにいた人たち、会話、環境、学校生活・・・とカメラがグーッとひくようにどんどん当時の自分が見えてくる。
目は映画の筋を追っていながら、心はあの頃を彷徨っているんですね。


具体的にはボクが中学高校の頃だから1975年くらいからの5年間くらいかな。

この「ボルサリーノ」をはじめ、「小さな恋のメロディ」「ある愛の詩」「個人教授」「ベン・ハー」「クレオパトラ」「タワーリング・インフェルノ」「ポセイドン・アドベンチャー」「エアポート75」「風と共に去りぬ」「戦場に架ける橋」「ロミオとジュリエット」「ゴッドファーザー」「パピヨン」「大脱走」「ジャイアンツ」「アマゾネス」「ひまわり」「チップス先生さようなら」「青い体験」「荒野のガンマン」「スティング」・・・

なぜかテレビでよく流れる映画っていうのがありましたよね。

居候していた祖父母の家の茶の間で、いつ「そろそろ勉強しなさい」と言われるかドキドキしながら観ていたテレビ。
もう祖父は死んでしまったし、祖母は呆けてしまったけど、例えば知り合いがボルサリーノの帽子をかぶっているのを見るだけでも、元気だった祖父母の姿が蘇ってきます。


そう、表題の「ボルサリーノ」というのは、高級帽子メーカーの名前。
単なるチンピラだったアラン・ドロン(シフレディ)とジャン=ポール・ベルモンド(カペラ)がふたりで協力して暗黒街の顔役にのし上がって、当時の成功者の象徴であった「ボルサリーノ」をかぶるまでに出世する物語。
現代でリメイクするなら、さしずめ「黒塗ベンツ」みたいなところでしょうか(このごろはそうでもないか)。


当時はフランス二大スターの初競演ということでも話題になりましたね。
アラン・ドロンは「太陽がいっぱい」「地下室のメロディ」「冒険者たち」「シシリアン」などでもう押しも押されぬ大スター。
ジャン=ポール・ベルモンドも「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」「暗くなるまでこの恋を」などでヌーヴェル・バーグの旗手的大スター。
まぁフランスではベルモンドの方が遙かに人気があったようなんだけど、日本ではドロンの方がおばちゃま方を中心に遙かに上でしたね。


で、最初は仲良く撮影に入ったふたりだったらしいけど、最後には犬猿の仲になったらしい。
製作が一方のスターであるアラン・ドロンですから、客観的に構成なんかできるわけがない。そりゃ無理です。そういうこともあって最後にベルモンドを殺してしまうのでしょう。
だから続編「ボルサリーノ2」(一応、続編が出来るくらいは人気になった映画なのだ)ではベルモンドはちらっとしか出てこないんです。


内容的には、本当に中途半端。
主題曲がわりといいのが救いなのだけど、とにかく(繰り返しになりますが)ボクの思春期と密接にかかわっている映画なわけです。


たまにはこんな、駄作の偏愛映画をとりあげるのも、いいでしょ?
でも意外とボクと同じような理由でこの映画を好きな人がいたりして・・・。

(他には「小さな恋のメロディ」もあの頃の匂いが蘇るなぁ・・・これはまたそのうちに)


【1999年1月記】

1999年01月01日(金) 9:28:44・リンク用URL

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