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「ブルース・ブラザーズ」

ブルース・ブラザーズ

The Blues Brothers

John Landis
John Belushi, Dan Aykroyd, James Brown, Cab Calloway, Ray Charles, Aretha Franklin
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1980年製作
133 minutes

監督・・・・ジョン・ランディス
脚本・・・・ダン・エイクロイド
ジョン・ランディス
製作・・・・ロバート・K・ワイス
撮影・・・・スティーブン・M・カッツ
美術・・・・ジョン・J・ロイド
編集・・・・ジョージ・フォルシー・ジュニア
衣装・・・・デボラ・ナドゥールマン
キャスト・・ジョン・ベルーシ
ダン・エイクロイド
キャブ・キャロウェイ
ジェームズ・ブラウン
レイ・チャールズ
アレサ・フランクリン
キャリー・フィッシャー
ジョン・キャンディ

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まさにエンターテイメント!

抜群の音楽とはちゃめちゃなカーチェイスと絶妙のストーリーテリング。

ただし、それだけではないのです。
この映画はそこらの単なるミュージック&アクション映画ときっちり一線を画します。
それはその「ブルース精神」とでも言うのか、人生の諸層における「矛盾」を的確に余韻として残しつつ物語が疾走するからだとボクは思います。

そう、これは単にブルース・ブラザーズというバンドと超豪華なゲスト・ミュージシャンが織りなす痛快なるストーリーだけではなく、映画自体が極上のブルースになっているからこそ、こうしていまでも時代遅れにならず生き残っているのですね。

ブルースというコクと、エンターテイメントというキレ。
一昔前のビールのコピーではないけれど、まさにこれは「コクがあるのにキレがある」映画なのです。


キレはわかるにしても、どこにコクがあるのか。

まず根幹となるストーリーからしてコクがある。
ブルース・ブラザーズ(ジェイクとエルウッド)が、育った孤児院を救うために犯罪でなく真っ当にそれを稼ごうとして奮闘するのだけれど、奮闘すればするほどなぜか警察全体を敵に回してしまうその哀しさ。矛盾。
笑えるんだけど、どこかになんだか人生のブルースを感じません?

また、散り散りになったメンバーたちの生活にもブルースが漂います。
どさ回りのバンドやレストランのメートル、ダイナーの亭主と店員……それぞれのエピソードがすでにブルースです。
特にフレンチレストランのメートルになったメンバーなど、せっかく築き上げた地位と生活を手放してろくでもないバンドにまた戻るはめになる。これもまたブルース。そしてフレンチレストランに来ている客たちの体面のみ気にするその態度も、滑稽を通り越してこれまたブルース。

豪華ゲストもブルースを漂わせます。
インチキ神父役のジェームス・ブラウン。目の見えない楽器店主役のレイ・チャールズ。夫に捨てられる気の強いおばちゃん役のアレサ・フランクリン……わりといい役をもらっている伝説のキャブ・キャロウエイ以外はそれぞれなんだか滑稽な役を楽しげに演じています。なんだか背中が煤けている感じがして、これがまたブルースなんですよ。

なぞの女役のキャリー・フィッシャーも、惚れた男に翻弄されていく女の性がまさにブルース。
ナチ指揮官役のヘンリー・ギブソンの偏執ぶりもその死にざまもまさにブルース。
しまいにはちょっと太めになったツィッギーや若くて頼りなさげなスティーブン・スピルバーグまで出てくるんですから。これは存在そのものがどこかブルースなんですね。


このように、大笑いできるストーリーを持ち、尋常でない車のクラッシュ量のアクションシーンを持ち、異様に豪華なゲスト・ミュージシャン陣を持つこの映画なのですが、とにかく根底にもの悲しいブルースを抱えているのです。
そこがこの映画のコクになっているとボクは思うのです。

コクとキレ。
どこか、甘くない砂糖のような、そんな一筋縄でいかないコメディなのですね。

監督はジョン・ランディス。
初めてこの人の映画を見たのは1977年「ケンタッキー・フライド・ムービー」でした。高校生だったボクはエッチな場面が特に印象深いけど、とにかくナンセンスなオムニバス形式の映画で、なぜかいまでも場面をいくつも覚えています。変なインパクトに溢れた映画でした。
その後「アニマル・ハウス」そしてこの「ブルース・ブラザーズ」「狼男アメリカン」「大逆転」「トワイライトゾーン」「サボテン・ブラザース」「ビバリーヒルズコップ」……なかなかメジャーなカルトを撮っているんですよね。

はずしてしまうことも多いけど、ボクは好きだなぁ、ジョン・ランディス。


主役の二人は伝統的なデブヤセ・コンビで、とにかく見事。
有名なTV番組「サタディナイト・ライブ」が生んだ世紀のコメディアンなんですね。その見事に笑えるステップと演技は特筆ものです。

ダン・エイクロイドについてはまた書くこともあると思うけど、ジョン・ベルーシは……惜しい人を亡くしましたよね。この映画の2年後(だったかな)、麻薬中毒で亡くなってしまいました。ダン・エイクロイドはそれ以降相方にいまひとつ恵まれていません。

あ、この映画のもうひとりの主役はシカゴ、そして彼らの新ブルースモービルであるダッジですね。このダッジがまたブルースを漂わせていて味があるんです。ナンバープレート「BDR529」。これもなにか裏の意味があると思っているのですがどうなんでしょうねぇ。


ということで。
まぁ理屈っぽく書いたけど、基本的にはまさにエンターテイメント。ナンセンスであたたかくてノリノリで幸せになれる愛すべき出鱈目ムービーです。

あぁ、なんだかまた観たくなってきたなぁ。


P.S.
僕はこの映画でキャブ・キャロウエイを再発見し、しばらく凝りまくったことがありました。
まったくすごいエンターティナーです。
彼の話はまたそのうちに「座右のCD」に書こうと思います。


【1998年1月記】

1998年01月05日(月) 11:45:30・リンク用URL

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