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「バロン」

バロン

The Adventures of Baron Munchausen

Terry Gilliam
John Neville, Eric Idle, Sarah Polley, Oliver Reed, Charles McKeown, Winston Dennis
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1989年製作
127 minutes

監督・・・・テリー・ギリアム
製作・・・・トーマス・シューリー
脚本・・・・チャールズ・マッキーワン
テリー・ギリアム
撮影・・・・ジョゼッペ・ロトゥンノ
編集・・・・ピーター・ハリウッド
特殊効果・・リチャード・コンウェイ
音楽・・・・マイケル・ケイメン
衣装・・・・ガブリエラ・ペスカッチ
特殊メイク・ファブリツィオ・スフォルザ
キャスト・・ジョン・ネビル
エリック・アイドル
サラ・ポリー
チャールズ・マッキーワン
オリバー・リード
バレンチナ・コルテス
ユマ・サーマン

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コレ、好きすぎ。

現実と非現実が交差する「おとぎ話」なんだけど、実に凝った作りで、こういう荒唐無稽なものこそ、一生懸命凝って作らないといけない、の典型だと思います。

とにかく細部までしっかり凝って作ってあって、観る度に新しい発見がある。
筋はまったくもって荒唐無稽なんだけど、きちんと人生が描かれていて軽いだけの映画ではない。夢と現実とのメリハリがとてもきいているんですね。
素晴らしい夢だけに終わらず、醜い現実だけにも終わらず、「人生なんでもあり」みたいな肯定的な態度が全編に流れている。それでいて楽しいことに飽き飽きした怠惰なムードもちょっとあって・・・
観る度に、笑い、拍手し、しみじみし、うっとりし、前向きになり、そして人生捨てたもんじゃない、と思わせてくれる。

そしてなにより、「想像力」をゆっくり解凍してくれる。

忙しい日々のくだらないルーティンで凍りかけた「想像力」が、この映画でゆっくり解凍されるのです。


「わたしには想像力があるんだもの」と自分を励まし続けたのは赤毛のアンだけど、ボクも「想像力」こそ人生を一番豊かにするKEYなのではないかと思うのです。
そういう意味でそれを心地よく刺激してくれるこの映画は、ボクにとって「おくすり」みたいなものですね。ちょっと「想像力」が凍っているなぁ、と思うときは「バロン」でも飲むか、って感じ。

で、冬の暖炉みたいにゆっくり心に効いていきます。




この「バロン」、原作は「嘘つき男爵」。
西洋ではわりとポピュラーなおとぎ話らしいけど、ボクは知らなかった。知っていたら今よりもっと楽しめたのかもしれません。
たとえば「浦島太郎」や「かぐや姫」なんかをテリー・ギリアム監督が金かけて映像化したら面白そうじゃないですか。「おお、この場面はこういう風に映像化したか!」みたいな楽しみが筋を追う楽しみの他にあるからね。

この映画の特に好きなところは、昔のお話なのに思いっきり荒唐無稽で思いっきりSFXだというところ。
未来のお話だと逆につまらないんですよ、ボク。
なんか監督の「オレの創造力ってすごいでしょ」みたいな力みが感じられちゃっていまひとつ乗れない映画が多いんですよね。
これは昔のお話だけあって観客と寄って立つものが同じ。だって地球のお話だしね。
だから観客はある種安心して見ていられるんです。で、その上で観客の想像力を越える映像を作っている・・・そこがこの映画のすごいところだと思うのです。


監督のテリー・ギリアムは言わずと知れたあの「モンティ・パイソン」メンバー。
イギリス人ばっかりのメンバーの中で唯一のアメリカ人だった彼は、イラストなどで異様な才能を発揮していたものの、当時はあんまり目立っていなかった印象なんだけど、映画監督になってから大ブレイクしましたよね。

「バンデットQ」「未来世紀ブラジル」「フィッシャー・キング」「12モンキーズ」・・・

どれも現実と非現実の境目があいまいで、ある種の狂気についてのお話だなぁ、と思っていたらテリー・ギリアムはあるインタビューでこんなことを言っていました。


僕がずっと同じ映画ばかり撮り統けてるみたいにみんな言うんだ。自分ではコンスタントに変わってきたと思うんだけどね(笑)。碓かに僕を魅了し僕にとり憑いている幾つかのテーマがあるのは認める。時、狂気、その受け止め方、近くの問題。未だに時も世界もその正体をつかめていない。あらゆることが僕には不可解なままだ。で、そうしたものと戯れている。言えるのは何が現実で何が現実でないのか、そうした知覚、認識、理解が人の中でどう機能し、作用するのかを突き止めようとしてるってこと。人の感情的な関わりだけを扱っているものの方がわかり易く、気持ちいいとみんなは受け止めるようだけど、その背後にあるもの、そこまで観客を連れて行きたいと僕は思う。


うんうん。なるほど。よくわかる。
なんとなく「バロン」を「未来世紀ブラジル」の後に撮ったのもわかる気がします。




さてこの映画、75億円の制作費と1000人を越すキャストでローマのチネチッタ・スタジオ(フェリーニで有名ですね)で撮られたらしいけど、役者陣も充実しています。

主演のジョン・ネビルはさすがの貫禄。歳とって疲れ果てた時の表情がまたものすごくいい。
モンティ・パイソンのメンバーのエリック・アイドルもとてもいい味だしていました。

モンティ・パイソン仲間と言えば、テリー・ギリアム監督と脚本を共作しているチャールズ・マッキーワンもそう。
千里眼のアドルファス役で出ていますが、彼らの脚本の作り方としては「ギリアムがマッキーワンにアイデアを出し、マッキーワンがそれを脚本化する。二人でそれを検討し、またマッキーワンが書き直す」というもの。言葉はマッキーワンが。映像はギリアムが。そう、まさに彼がいなければ一連のテリー・ギリアム映画は出来なかったのです。

忘れてならないのがヴァルカン役のオリバー・リード。鼻息荒いゴッドの役にぴったりはまり、その怪演ぶりで周囲を圧倒していました。
ユマ・サーマンもよかったですね。「パルプ・フィクション」でブレイクしたけど、デビューは「バロン」の前年。この映画での彼女の美しさはまだ初々しくて非常に好きです。

スティングがチョイ役で出ていたり、あのパーカッションの鬼才レイ・クーパー(大好き!)が体制側の秘書みたいな役で出ていたりするのもうれしいですよね。

それと、「月の王様」役がちょっとロビン・ウイリアムスみたいでとてもうまかったんで、誰かなぁと思いクレジットを楽しみにしていたんだけど、あんだけ出演場面があるのに大きなクレジットでは出てこないんです。で、画面をとめて小さいクレジットを探したら、ありましたよ隅っこに。
「The King of Moon---Ray・D・Tutt」だって。変な名前だなぁ。怪しいなぁ。
レイ・ディ・トゥット・・・レイディ・トゥット?
Tuttって「チェ」とかいう舌打ち音でしょ。レイディの舌打ち・・・?
これ、ひょっとして本当にロビン・ウィリアムスではないのかなぁ・・・洒落で名前を隠して出ているんではないだろうか。誰か教えて!

追記:アマゾンのcastに「Robin Williams as King of the Moon」って載ってました。なるほどぉ。やっぱり彼だったんですね!


【1998年5月記】

1998年05月01日(金) 19:06:11・リンク用URL

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