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「冒険者たち」

あなただけ今晩は

Les Aventuriers

Robert Enrico
Alain Delon, Lino Ventura, Joanna Shimkus, Serge Reggiani, Hans Meyer, Thérèse Quentin, Robert Fleury, Patrick Bernhard, Jean Darie

1967年製作
112 minutes

      
監督・・・・ロベール・アンリコ
原作・・・・ジョゼ・ジョヴァンニ
脚本・・・・ロベール・アンリコ
ジョゼ・ジョヴァンニ
ピエール・ペルグリ
撮影・・・・ジャン・ボフティ
製作・・・・ポール・ラファーギュ
音楽・・・・フランソワ・ド・ルーベ
美術・・・・ジャック・ドイディオ
キャスト・・リノ・ヴァンチュラ
アラン・ドロン
ジョアンナ・シムカス
セルジュ・レジアニ
ポール・クローシェ

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東京で中学生高校生をやっている頃、名画座にはよく行きました。
渋谷全線座。池袋文芸座。それと名前も忘れてしまったような小さな教室サイズの名画座たち…。

で。
だいたいが2本立て、3本立て。ダブるんですよ。映画が。

ある名画座でお目当ての「雨に唄えば」を観たいとなると併映の「明日に向かって撃て!」も観ることになる。
違う名画座でお目当ての「リオ・ブラボー」を観たいとなると併映の「明日に向かって撃て!」もまた観ることになる。
また違う3本立ての名画座でお目当ての「小さな恋のメロディ」と「死刑台のエレベーター」を観たいとなるとまたまた併映の「明日に向かって撃て!」も観ることになる…。

観たい映画だけ観て帰ればいいじゃんって?
当時の中高生にはそんな贅沢考えられません。単にお金の問題だけじゃないですよね。いまみたいにレンタルビデオなんてないですから、観れるときに観ておかないと、って貧乏根性が働くんです。

そんでもって、‘併映されやすい映画’ってのが何故かありまして。
上に書いた「明日に向かって撃て!」はその代表格でした。何故かよくカップリングされちゃうんです。人集めに良かったのか上映レンタル料が安かったのか知りませんがとにかくよく併映されていました。ホント、隅から隅まで暗記しちゃうくらいよく観ました。


そしてこの「冒険者たち」。
これも‘併映されやすい映画’のトップクラスでしたね。

誰とでもカップルになっちまうのかぃい!って感じの節操のなさ。
そういう意味では軽く見られていましたね「冒険者たち」。
なんだよまたコレかよ、オレもう14回目だぜ、飽きたよいい加減、そりゃリノ・ヴァンチュラしぶいけどさ、え? ん、いや観ないって言っているんじゃなくて、そうまぁ観ようか、でもほんとこれ14回目なんだぜ……

でもね、僕はわりと併映を喜んでいました。「冒険者たち」は苦にならなかったのです。
その理由の最大はジョアンナ・シムカス。
これに出演したことで夢を追いかける系の生き方に憧れる人のアイドルになってしまったジョアンナ・シムカス。

「彼女の水着姿がまたおがめるのか!」

そう、男の子なんてそんな程度です。
青い小さな小さなビキニ。下の方がわりと張りついていて……とてもセクシーでした。
彼女、この映画の翌年「失われた男」で共演したあのシドニー・‘大使’・ポワチエと結婚して引退しちまったんですよね。ショックだったなぁ。(この前の大使就任の時、TVの前で彼女の姿を必死に探すボクがいました)


アラン・ドロンは、「太陽がいっぱい」のヤサオトコの方が似合うけど、最後の死ぬところはなかなか上手でした。
でもなんと言ってもリノ・ヴァンチュラがかっこいいですよね。
全くカッコイイ。特にアラン・ドロンに「彼女が好きだったのはお前だ」というあたり、おいしい役なんですが、当時しびれまくりました。ボクシングの元ヨーロッパ・チャンピオンである彼はジャン・ギャバンの跡を継げる唯一のスターだったと思います。

この魅力的な3人が繰り広げる「夢追い」の世界。
(余談ですが、レティシア、マヌー、ローラン、という3人の役名が中学生のボクにはとても新鮮でした。へー、人間の名前にそんな名前があるのかぁ、というカルチャーショックみたいなものですが)

飛行機、レーシングカー、船による宝探し、そして友情と恋。こうして並べるとかなりアクティブな映画に思えるでしょうが、さにあらず。

監督のロベール・アンリコは意識的とも思える「間延び演出」でそこに虚無感をしっかり存在させています。
夢とその反対側にある虚無。
映画はオープニングからして暗い影を感じさせながら始まります。廃品の山。夢のあと……そこを歩く虚ろな瞳のジョアンナ・シムカス。

現代のアメリカ映画だったら思いっ切りアクションものに仕立て上げて、味として虚無を描くところです。
アンリコ監督はわざと物語を盛り上げずに、シニカルに淡々と描いていく。この映画が後世まで語り継がれることになったのはこの演出のおかげだと思うのです。
ジョアンナ・シムカスが演じるヒロイン、レティシアが死ぬ場面など「ハァ〜?」というくらいあっけない。ここで盛り上げないあたりが好きだぞ、ロベール・アンリコ。

そして圧巻は海底から撮ったレティシアのとっても静かな埋葬場面と、ラストの延々と続く空撮。あの「間延び感」が当時としては本当に新鮮な映像だったと思います。


なんかまとまりのない文章になってしまいました。
なんか「知り尽くした映画」って書きにくいですね。何十回も観るのも考えものです。
それにしてもよく観たなぁ、この映画。
ボクの精神成長に、「夢」か「虚無」か、果たしてどちらの影響を与えたのでしょうか。

1997年07月01日(火) 19:34:42・リンク用URL

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