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ジェニファー・ウォーンズ「フェイマス・ブルー・レインコート」

Famous Blue Raincoat
Jennifer Warnes
1986年録音/Cypress Records

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ジェニファー・ウォーンズって御存知ですか?

あまり日本ではなじみがない歌手ですよね。
82年に大ヒットした映画「愛と青春の旅立ち」の主題歌をジョー・コッカーと一緒に歌ってた女性、と言えばわかる人もいるかもしれません。でも顔とかは思い出せないでしょう。ジョー・コッカーの強烈な個性に隠れてしまっていましたから。


ボクも実はよく知らなかったのです。

知ったのはあるきっかけ。
「STEREO SOUND」というオーディオ雑誌。

ある時期(いまでも多少は)オーディオに懲りまくっていまして、季刊のこの分厚い雑誌をかかさず読んでいました。
毎号出るのがもう楽しみでならなかったのです。これを読んで聴けもしない高級オーディオの音を想像しては悦楽のときを送っていたのです(かなり暗い?)。

販売店に試聴に行ったり、スピーカーのセッティングしなおしに徹夜したり、重りをのっけたり、アクセサリーの材質を変えて音質の変化に一喜一憂したり、スピーカーケーブルにローン組んで5万円もかけてみたり……「これは一生一番の趣味なのだ!」と盛り上がっていたんですね。阪神大震災でゴゴ〜ンっと愛機とともに熱意まで壊れてしまうまでは。

さてこの「STEREO SOUND」、権威あるオーディオ評論家たちが新製品レポートしたり聴き比べの特集をしたりするのですが、その中でまだ若手ながらもすごく共感できる論理でオーディオを語る人がいたのです。
お歳を召した権威的評論家とはまったく違うアプローチだったので、ちょっと雑誌の中でも異端と化していましたが、ボクは個人的には大ファンでした。新製品レポートもその人がやっているものを一番に読み、ベストバイ(年間オーディオグランプリみたいなもの)の選考についても、まずこの人がどの製品に点を入れているかを見てその製品を評価していた、という具合。
権威ある(ちょっと時代遅れの)評論家たちが点を多く入れてグランプリに選ばれた製品なんかよりこの人が高い点をつけた製品こそ、ボクのグランプリでした。

その評論家の名前は傳信幸さん。「ふう」って読むようです。

この人のいうことならかなり信じられると思っていたボクはこの人が自宅で使用していたのと同じスピーカー「アポジー」を買うに至るのですが(正確にいうとひとランク下の機種でしたが)、その過程でジェニファー・ウォーンズが関係してくるのでした。

「STEREO SOUND」でスピーカーの試聴などをするとき、各評論家が自分の持参したCDで試聴してレポートを書きます。
ですから評論家によってはマニアックなクラシックばかりだったりするのですが、傳さんが選ぶのは女性ポップスが多かったんですね(これも周りの評論家たちからバカにされる要因でしたが)。

でも若い僕らには逆にイメージがつかみやすい選択でした。
とにかくそのCD選択に傳さんは一時期この「フェイマス・ブルー・レインコート」ばかりを選んでいる時期があったのです。
彼のすすめる音場型平面スピーカーであるアポジーを聴いていたボクは、彼が選択したのと同じこのCDを聴きながら彼の文章を熟読したのは言うまでもありません。

「ジェニファー・ウォーンズのバックにコーラスがまぁるく気持ちよく広がって音場を形作っている」
「イントロのシンバルが中央少し上にしっかり定位し」
「ジェニファーの声がおばさんのように野太くならないように」

まぁこんなような意味のことを読みながら何度このCD、特に6曲目の「エイント・ノー・キュアー・フォー・ラヴ」を繰り返し繰り返し聴いたことか。初めはオーディオ・チェックのためだけに。聴く回数が増えてきた後は、純粋にこのCDを聴きたいがために。



そう、これがジェニファー・ウォーンズとの出会い。
そしてレナード・コーエンとの出会いでもあります。

このアルバム、副題が「レナード・コーエンを歌う」となっていて、すべての曲がレナード・コーエン。
誰だか知らないけどいい曲が多いなぁ、ということで彼のCDまで聴くようになりました。で、またこれが抜群なのですよ!レナード・コーエンは本当にすごくいい。これはそのうちまたここで取り上げようと思っていますが。


なんだか全然このアルバムやジェニファー・ウォーンズについて書かなかったですね。
いや、本当にこの歌手については詳しくないんですよ。西海岸出身のカントリー・ロック歌手ということくらいしか。CDもこれ以外にベスト盤しか持っていないし。

でもこのアルバムは聴けば聴くほどスルメイカですよ。
ホント。なかなかのものです。
オーディオ・チェックにするには音質が古すぎますが、その役割を終えてしまった今でも思い出したように定期的に聴いているアルバムです。なんともとっつきの悪い声なのですが慣れると気持ちがいい。これからもずっと聴いていくアルバムだと思います。もし機会があったら是非聴いてみてください。



【1997年12月記】

1997年12月01日(月) 20:59:53・リンク用URL

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