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ザ・ビートルズ「リボルバー」

REVOLVER
The Beatles
1966年発売/EMI Records

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ビートルズについて、何を語ろうか。

あらゆる媒体で語り尽くされているし、ボク自身思い入れが強すぎてうまく書けない。

すべてのアルバムのすべての曲を、いったい何回聴いたことだろう。

小学5年生の時に同級生の大関と橘川が「レット・イット・ビーは最高だ! 聴け! 聴いて泣け!」と強要して来て以来、いったいどれだけボクの人生を助けてきてくれただろう。

思えば大関と橘川は偉大だった。
天地真理の「ひとりじゃないの」や南沙織の「純潔」、麻丘めぐみの「芽ばえ」、三善英史の「雨」、青い三角定規の「太陽がくれた季節」なんかを喜んで聴いていたボクらに、いきなり「ビートルズ以外は音楽ではない!」とプレゼンテーションしてきたんだから。

そして大事そうに貸してくれたドーナッツ盤。
はじめて「レット・イット・ビー」のイントロのピアノを聴いた時の昂揚。
いまだ、胸から、去りがたし。



中学3年。
その頃の中学生の資金力ではレコードなどそうは買えない。ひと月のお小遣い500円。そんな時代。中学生のアルバイトなどあり得なかった、そんなストイックな時代。

そんな時代に、LP1枚2500円。途方もない値段だ。
しかも欲しかったのはビートルズの「赤」と「青」。
そう、赤いジャケット(初期ベスト2枚組)と青いジャケット(後期ベスト2枚組)のふたつ。両方とも2枚組だからたしか4000円ずつ。計8000円。天文学的金額。

結局親に泣いて頼んで…。
あの「赤」と「青」は、何度うちのターンテーブルに乗ったことだろう。
当時は「青」の方が圧倒的に好きだったな。
よりメロディアスでより深遠な気がした。「レット・イット・ビー」も入っていたし。
「赤」はなんだか荒削りのような気がしたんだ。
中学生の未熟すぎた精神には、「赤」の荒削り感が居心地悪かったんだろう。きっと。



高校2年。
いつの間にか、ポール・マッカートニー < ジョン・レノン、になっていた自分。

当時すでにちょっと気の利いた連中は「ビートルズよりストーンズの方が格好いいぜ!」って感じになっていて、それと同じ感じで、「ポールよりジョンだぜ、そりゃ」っていう風潮はあった。それに影響はされた。

でも、なんだか「青」っぽいポール・マッカートニーに飽きて、「赤」っぽいジョン・レノンが心の中に巣くってきたのはこの頃から。
ポール・マッカートニーが薄っぺらく感じられてきた。
それと同時に後期の曲達が、なんだかこねくり回して完成度を高めているだけに思えてきた。

荒削りだけど、魂が宿っているような初期のアルバム群。

友達に作ってもらったカセットテープで「プリーズ・プリーズ・ミー」「フォーセール」「ヘルプ」などを聴き続けた。
もちろん「サージェント・ペパーズ」なんかも聴いていたけど、でも、ごく初期のビートルズの熱っぽさが好きだった。
大学受験を迎えて、ストレスが溜まってきたのもあったかもしれない。



大学1年。
ジョン・レノンが死んだ。

この頃は中期のアルバムばかり聴いていた。どこから中期なのかはよくわからないが、インド思想前後をそう呼んでみたい。
具体的には「ラバーソウル」と「リボルバー」ばかり聴いていた。
なんでこんなに飽きないんだろう。そう思って聴いていたら、ジョン・レノンが射殺された。

まだその頃は「今年こそビートルズが再結成されるらしい」という噂が毎年のように流れていた。
ホントかよ、と思いながら、でも復活コンサートがあるなら初期〜中期の曲をたくさんやってほしいな、なんて思っていた。

もう「レット・イット・ビー」はボクの中で過去だった。
シンプルにロックし続けるローリング・ストーンズに惚れていた。そう、「レット・イット・ビー」に代表されるビートルズの後期の曲達はシンプルではなかった。
ジョン・レノンのプレイボーイ・ロング・インタビューを読んだりすると、どうも後期はポール・マッカートニーの趣味が反映され過ぎているようだった。
ポール・マッカートニーは見栄っ張りだ。見栄っ張りな大学生だったボクは彼が同類であることをようやく見抜いた。見栄っ張りでナルシスト。
まぁそれって偉大な芸術家に必須な資質なのだけど。

六本木の「キャバーン・クラブ」。
ビートルズ・コピーバンドが毎晩ライブをするクラブ。
「Lady Bug」というそのコピーバンドを毎週のように聴きに行ったのも大学生のころ。
ジョン・レノン役のボーカルがとっても似ていた。
初期の曲をいっぱいやるのも好きだった(そりゃそうだ。後期のはライブでは難しい)。

でも、ジョン・レノンは戻ってこない。




そして今。38歳。

いまやもう、どのアルバムもすべて好きだ。
どの曲も、すべて好き。
ポール・マッカートニー嫌い、という突っ張りももうない。
たぶんすでにボクの人生の足跡と一体化しすぎていて、ビートルズを否定することは自分の過去を否定することに近くなっているのかもしれない。

最近「赤」と「青」もCD化された。
暗記している曲順で聴ける喜び。
でもちょっと生々しく中学時代が蘇りすぎて、苦痛になるときもある。
だから、あまり聴かない。

どのアルバムもよく聴く。
それでも一番よく聴くアルバムというのは存在する。
なぜか「リボルバー」なのだ。
理由は、ない。

あ、あるとすれば、実は「AND YOUR BIRD CAN SING」という「リボルバー」に入っている超マイナーな曲が、ここ10年くらいのボクのフェバリットだったりする、という理由。

こんなマイナーな曲がビートルズのあらゆる曲の中で一番好き、なんていうヒト、この世の中に他にいるのだろうか?

27年間分、好きな曲のいろんな変遷があった末にたどり着く曲とは思えないだろうけど、でもきっと「狙って作っていない感じ」が好きなんだろうな。メロディもさることながら。

そう、勢いで作っている感じ。
初期のアルバムからこの「リボルバー」あたりまでは、そんな勢いがある。

すごいものを作っているのに、すごいものを作っているという意識は本人達にこれっぽっちもない。
そんな感じがちょっとモーツァルトに似て、ボクをホッとさせるのかもしれません。



【1999年11月記】

1999年11月01日(月) 21:33:50・リンク用URL

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