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ジャニス・イアン「アップ・ティル・ナウ」

Up 'Til Now
Janis Ian
1992年発売/東芝EMI

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ジャニス・イアン。

懐かしいよねぇ……え? あ、そう!? そうか知らない人もいるか。
まぁそんなにヒット曲ないし、地味で真面目な人だから若い人は特に知らないかもしれないなぁ。

「17才の頃」「Will You Dance?」「恋は盲目」「冬の部屋」「我が心のジェシー」……

確かトレンディドラマの主題歌になったのもあったと思うから聞けばわかると思います。
懐かしいところでは山田太一の名作ドラマ「岸辺のアルバム」で「Will You Dance?」が主題歌に使われていたような。


実はジャニス・イアン、かなり好きなんです。
何もこれといって聴きたいのがないなぁ、なんて夜はなんとなくかけてしまいます。
落ち着きます。
浮ついた日常からスパッと脱却できるような落ち着き。
アコースティックだし、声にも含羞があるからかなぁ。
深呼吸したときに感じるような落ち着きが身体を包みます。

これはベスト盤なんですが、他のはLPでしか持っていないのでCDではこれをご紹介します。
ベスト盤ってわりと散漫な印象になりがちですが、これはそうでもないです。もともと同じような曲想が多い人ですから、いろんなアルバムからピックアップしたもの並べても違和感ないんですよね。

1972年から1981年までの中から17曲。
あらためて通して聴いて思うのは、この人は「自分の弱い気持ちに正直だな」ということ。
自分の弱さを世間に晒すことで成長するとでも考えているのではないか、と思わせる真面目さがあります。真面目に自分の弱さにつきあっています。そしてその弱さを、囁くように含羞を持って我々に語りかけるのです。

これが中島みゆきなんかだと、弱さを堂々と晒す「強さ」があるのでもっと大声になったりするんですね。
そういうのが好きか嫌いかは意見の分かれるところでしょうが、ジャニス・イアンくらい囁くように含羞を持って語りかける「弱さ」に反感を感じる人は少ないと思います。

逆にここらへんが、ジャニス・イアンがそれなりに人気がありながらもブレイクしきらなかった理由でしょうね。
強い反感を感じられないと、強い共感も得られませんから。そこらへんが優等生的なんでしょう。インパクトが弱い。

だから、なんか、忘れられちゃうんですかね。


うちでは来客があった日にもこのCDをよくかけます。
ワインが2本ほどあいた夜半に、黙ってかけます。
たいていのお客さんは意外性に打たれて、しばらく無防備の心を晒してくれます。つきあいが深まるのはこういう瞬間です。

ジャニス・イアンの声には、人間のもっとも柔らかい部分をガードしている鎧を、微笑みながら脱がせる力があるようです。
思春期・青春期に彼女を聴いた、という人に限られますが。



【1997年6月記】

1997年06月01日(日) 20:54:42・リンク用URL

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