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ジェイムス・テイラー「ゴリラ」

gorilla
James Taylor
1975年発売/Warner Bros. Records

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最初はカーリー・サイモンが好きだったんです。

え? それはポール・サイモンだってば。
知らない? カーリー・サイモン。

まぁそのうちこのコーナーで必ず取り上げるから今回は説明しないけど(取り上げた記事についてはこちら)、アメリカン女性ポップスの大御所と言うか。まぁボクの中では一時期の最愛の人。

彼女の声(そして顔も)が好きでアルバムをいろいろ買っていたんですが、なんだかそのライナー・ノーツとかに「ジェイムス・テイラー」と言う名前が頻繁に出てくるではないですか。

誰だ?

なに! カーリー・サイモンの旦那?! なんと!

カーリー・サイモンの傑作アルバム(ジャケットも好き)「ノー・シークレッツ」にはジェイムス・テイラーに捧げられた曲まである。異様に愛し合っている模様。なんだ、どういうことだ、いったい誰なんだ?!


そうこうしているうちに、自然と、ジェイムス・テイラーについての情報が集まりだしました。
70年代のシンガー・ソングライター・ブームの立て役者であり、ビートルズのアップル・レコードからデビューした第一号アーチスト。71年(カーリー・サイモンと結婚した年)にはキャロル・キングの「きみの友達」で全米チャートNO.1に輝いている・・・。

「うーん、愛するカーリー・サイモンが選んだヤツは本当にそんなにすごいヤツなのか?ホントか?」とばかりに、ボクはこのアルバム「ゴリラ」を買ったんです。

そう、カーリー・サイモンが好きでなかったら、ジェイムス・テイラーなんか聴かなかったかもしれない。最初はその程度だったんですね。



で、この「ゴリラ」。

一聴、これが大当たりだったんですよ。
「おお! 掘り出し物ではないか、これ?!」

やさしく語りかけるような歌い口。渋くて親しみやすいメロディ。

アメリカではかなりのものだったらしいけど、日本では地味でいまひとつ人気がなかったんですね。まわりでジェームス・テイラーなんて聴いているヤツひとりもいなかったんです。
だから、わりと自分で開拓したアーチストみたいな満足感もともなって、あっという間にお気に入りになりました。
非常にいい出来なんです。もう誰に薦めてもたいてい喜ばれるくらい。


そして、ボクの気持ちはこう変わっていったわけですね。
「カーリー・サイモンと結婚できたラッキーなヤツ」から「カーリー・サイモンはこいつと結婚できてラッキーかも」という風に。

和解したわけですね、ジェイムス・テイラーと。
和解しただけでなく惚れちゃったんです。べたぼれ。


もちろん他のアルバムも買い揃えました。
彼の出世作「スウィート・ベイビー・ジェイムス」から「マッド・スライド・スリム・アンド・ザ・ブルー・ホライズン」、「ワン・マン・ドッグ」「ウォーキング・マン」「イン・ザ・ポケット」・・・これら初期の名作たちから最新作の「アワーグラス」まで。

耳当たりが良くて、静かな気持ちにさせてくれて、気分が落ち着く。
なんというか、暑苦しくないうえに、コットンのように汗の吸い取りがいい。
そんな感じ。
ジム・クローチの涼しい版、みたいな感じかなぁ。
いや、ニルソンの朝版、エルトン・ジョンの内気版、J.D.サウザーのメロディアス版と言ってもいいか。



さて。
このようにいろいろアルバムは聴いてきましたけど、相変わらずこの「ゴリラ」が一番好きかもしれません。

軽快なテンポの優しい唄「MEXICO」から始まって、愛しのカーリー・サイモンがコーラスをつけている「How Sweet It Is」。「WANDERING」に表題作の「GORILLA」・・・。どれも3分前後の短い曲なんですが、全11曲すべて名曲揃い。
友達に語りかけるようなその歌い方がとっても気持ち良くて「せめて1曲5分くらいは歌って欲しいよなぁ」といっつも思います。

表題とはうらはらに、とにかく繊細で上品で静かなこのアルバム。

本で言ったら須賀敦子や星野道夫を読んだときのような効果をボクに与えてくれるのです。
ぜひ一度、聴いてみてください。



【1998年8月記】

1998年08月01日(土) 21:03:11・リンク用URL

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