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ジム・クロウチ「ジム・クロウチ・ベスト・ヒッツ25」
先輩に岩本さんという人がいて、その人に無理矢理LPを貸された事がありました。
あれは大学3年の時(1983年)だったか。
貸してくれたのは、キャット・スティーブンスとジム・クロウチ。「絶対佐藤は気に入るはずだから」って。
なんか聞いたことない歌い手だったし、地味っぽかったんでかったるかったんですが、世話になっていることでもあるし帰って早速聴いてみました。
最初の印象は、「?」。
キャット・スティーブンスはまぁまぁ良くて「これは好きになるかも」と思ったんだけど、ジム・クロウチについてはなんか合いそうもないなというのが最初の印象でした。ちょっとウエスタンぽくてアメリカの演歌かなぁと思ったんです。でも口では「いやぁ良かったです!」と言って返しました。念のためカセットに録音して。
そのLPは「Photographs and Memories」という甘ったるい題名でした。
で、録音したカセットはしばらく車に置きっぱなしにしていたんです。
そしてある日。
車で遠出をして夜中に返ってくる途中でした。
置いてあるカセット全部聴いちゃったんで、しかたなくジム・クロウチをかけたのです。
あれは関越自動車道だったかなぁ。疲れ果てた夜中の1時。
もう想像つくと思うけど、これがはまったんです。すごいカタルシスがあった。涙が出るくらい。で、何度も何度も繰り返し聴きました。そして悟ったのです。第一印象で人を評価してはいけない(子供っぽ)。
まぁちょっとオーバーですが、気にいるアルバムって意外と最初の印象はいまいちなものですよね。
時代は移りLPからCDへ。
ジム・クロウチの「Photographs and Memories」がCDになることを待ち望んでいたのですが、その気配すらないではないですか。
と、思ったらこのベストが出ました。「Photographs and Memories」もベスト版でしたから選曲はそんなに違いません。CD屋で見つけたときは本当にうれしかったなぁ。周りにジム・クロウチを愛好している人もいなかったのですごく孤独だったし。
彼は「ルロイブラウンは悪い奴」で全米第1位を初めてとった2か月後に飛行機事故で亡くなりました。
1973年。30才。本当にこれからという時の死。
でもこの人に関しては長くやっていてもそんなにヒットを重ねられなかったんではないかな、と思います。曲想が全部似ているので。
「Don't mess around with Jim」「Time In A Bottle」「Operator」「I Got A Name」「New York's Not My Home」「Photographs and Memories」……いい曲がいっぱいあります。
夜中のドライブ。薄暗い木の匂いのするバーで。家でバーボンを飲みながら。ちょっと誰かにもたれかかりたいときにとてもよいです。この声は尋常でなく、人を安心させる声です。ただものではありません。
岩本さん、あの時は嘘を言いました。でもいまではこんなに好きです。許してね。
【1997年5月記】
1997年05月01日(木) 20:53:10・リンク用URL

@satonao310