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スー・レイニー「雨の日のジャズ」

songs for a Raney daysongs for a Raney day
Sue Raney
1959年録音/東芝EMI

Sue Raney (vo)
with
Ochestra conducted by Billy Mat

amazon


わりと有名なCDを取り上げることが多かったから、今回はマイナーどころを。

スー・レイニーのヴォーカルアルバム「songs for a Raney day」。

特に感動するわけでも感心するわけでもないんだけど、よく聴くCDなのです。


そう、題名に引きずられるんですよね。
「songs for a Raney day」・・・雨の日のジャズ。

なんとなく雨の日にCDトレイに置いてしまう。

もちろんスペルが違っています。「rainy」と「raney」。Sue Raneyの名前と「雨」を掛けている。そこらへんもなんだか微笑ましくて、というかホラ、ひねりすぎていないでしょ、そういうところも好感が持てて、なんとなくかけてしまうのです。

雨の日、と言ってもまぁいろんな雨がありますよね。
このCDが似合うのは「柔らかいやさしい雨」。パラシュート部隊のようにフワリと軟着陸する雨ってあるじゃないですか。あんな雨が似合います。
そしてそういう雨を目で確認しながらこのCDを聴くともっといい。
つまりまだ明るいうちがいいですね。薄暮、かな。
細かい雨が夜の気配をより濃密にしていく直前の、煙のような雨。

平日は会社に行っていますから、薄暮にこれを聴くとなったら休日。

そう、つまりやさしい雨が降っている休日は、なんとなくこのCDを選んでしまうのです。

聴くとはなしになんとなくかけている。
意識してちゃんと聴いたことは実はなかったりするんだけど、でもこのCDはもう百回は聴いていると思います。
無名の歌い手というのもいいんでしょうね。なんとなく肩の力が抜けて。


無名の歌い手、わりと好きです。

なんとなく聴きながらこの歌い手の人生など想ってせつなくなってしまう。

唄に彩りと深みが加わるんですね、後付けで。
歌っている方はそんなことなんにも狙っていないんだけどね。
もちろんレコードを出すぐらいだから無名でもそれなりなのかもしれないし、日本で無名なだけかもしれないけど、勝手にそういうイメージを付加して聴いてしまいます。


パティ・マクガヴァーン、ロレッツ・アレクサンドリア、マリー・マクドナルド、アビー・レイン、シャーリーン・バートレイ、ゲイル・ロビンス、ヘレン・グレイコ、ジュリー・ウィルソン・・・


BMGのフィーメイル・ヴォーカル・コレクション(マイナーな歌手ものをシリーズ化したもの)が出たときは嬉しかったなぁ。

スー・レイニーもまぁ大無名でしょう。
そんなせつなさが、天から柔らかく降りてくる雨と重なって、髭づらの大男をも、センチにさせるのです。


それとこのCD、冒頭がいきなり「雷の音」なのもまたいいですね。
外は柔らかい雨なのに、雷が小さくスピーカーから漏れてくる・・・その感覚が日常をちょっと異化してくれて、よろしい。
逆に本当に雷がなりそうなほどの大雨の時はこのCDは似合いません。



これからの梅雨。(これを書いているのは98年5月)

「また今日も雨かぁ・・・鬱陶しいなぁ・・・」などと嘆くのはやめて、「今日は雨に似合うジャズでもかけてみよう」などと雨を楽しんでしまうのも一興。

さわやかなロワールの白ワインと冷たいパスタ、鉢植えの紫陽花、そしてこのスー・レイニーの「雨の日のジャス」・・・雨の夕暮れがかけがえのないものになること、請け合いですよ。


【1998年6月記】

1998年06月01日(月) 20:24:40・リンク用URL

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