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ニーナ・シモン「ソウルの世界 〜ニーナとピアノ」

Nina Simone and Piano!
Nina Simone
1968年録音/BMGビクター

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圧倒的名盤です。

ニーナ・シモンがピアノを弾きながら、その、心を突き刺す銛(もり)のような強烈な声で歌いまくった弾き語りの名盤なのです。
ニーナの声とピアノ。それだけで構成されているシンプルな構成(一部多重録音)。こういうのを聴いちゃうと、オーケストラバックの歌とかがやけにコケオドシに聞こえちゃいますね。

この名盤に汚点があるとしたら、このダサイ邦題のみ。
原題は「Nina Simone and Piano!」ですよ?!  なぜ素直にそうしておかないかなぁ?
ニーナの声とピアノ、それだけで構成されているところが素晴らしいのに…
「ソウルの世界」? ダッサイ!


でも確かに「ソウル」っぽいテイストが溢れているんですよね、このCD。
ソウルというか黒人のプロテスト・ソングみたいな力強さで満ちています。

だいたいこれはジャズではないかもしれない。

ニーナ・シモンの自伝「ニーナ・シモン自伝〜ひとりぼっちの闘い」(ニーナ・シモンwithステファン・クリアリー著/鈴木玲子訳/日本テレビ)によると

結局、私は“ジャズのようなものを歌う歌手”として分類されることになった。私にとって“ジャズ”とは考え方や生き方のことだった。あるいは歩き方、話し方、考え方、行動のとり方など、アメリカの黒人がすることすべてを意味した。つまり“ジャズ”は黒人全体を見渡した場合のある一面であり、その点では黒人である私をジャズ・シンガーと呼んでも問題ないと思う。だが、ほかのあらゆる点で私はジャズ・ミュージシャンではなかった。 (中略) どうしても何かのジャンルに分けられなければならないのなら、フォーク歌手とされるべきだったと思う。私の音楽にはジャズよりフォークやブルースの要素が多かったからだ。

ということだから、ジャズでありフォークであり、狭い意味でのソウルでもあり……

まぁジャンル分けなんてナンセンスですよね、あの声を前にして。
敢えて言えばこれはもう「ニーナ・シモン」というジャンルなんでしょう。

ことほどさように、彼女の歌は心にストレートに入ってきます。
ボクは英語は不得意です。つまり何歌っているのか聞き取れない。そんなボクの心にもまんまググっと入ってくる。銛のように突き刺さってくる。こういうボーカルは希有ですね。そう思います。耳を素通りして心まで届く、そんな歌声、ちょっとない。


ちなみにこの人、もともとはピアニストなんですね。
ピアノの神童としてクラシックの教育を受けていたんです。ジュリアード音楽院にも通ったらしいし。
ピアノ弾きに比べて歌手の方が給料が高いのに惹かれてクラブで歌ってみたらいきなり大人気を博し、それ以来基本的にはボーカリストで来たわけですが、弾き語りのピアノを聴いているとこのままピアニストで行っても面白かったと思うのです。

でもピアニストだったらこんなに有名にはなれなかったかもしれないなぁ。あの「声」がやっぱりないとなぁ。


彼女は“肌が黒い”ということを生涯意識し闘ってきた人なんだけど、ここらへんの話は是非「ニーナ・シモン自伝」を読んでください。


最後に。
ニーナ・シモンはこのアルバムともうひとつ、「ファースト・レコーディング」も非常にいいです。

※これは「ニーナ・シモン・イン・ベツレヘム」という名前でも同じものが発売されています。何故だ? おかげで同じ内容のCDを2枚も買っちゃったよぉ。だってジャケットも違うんだモン。原題はどうやら「Little Girl Blue」というらしいのだが…よくわからないなぁこういう邦題の付け方。

このアルバムからは「アイ・ラブ・ユー・ポーギー」がシングルカットされ大ヒットしたのですが、アルバム自体がとにかく良い。ニーナ・シモンに興味がある人は是非これも聴いてください。



P.S.
書き忘れたけど、ジャケットのピアノをよく見てください。
そしてジャケットのタイトル文字をよく見てください。
文字になっているのですね。面白い。


【1997年9月記】

1997年09月01日(月) 20:16:20・リンク用URL

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