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アル・ヘイグ・トリオ「インビテーション」

Invitation
Al Haig Trio
1974年録音/東芝EMI

Personnel :
Al Haig (p)
Gilbert "BIBI" Rovere (b)
Kenny Clarke (ds)

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白人ジャズピアニストといえばまずビル・エバンスを上げる人が多いんだろうなぁ。

でもボクは誰よりもまずアル・ヘイグを上げます。
「繊細さ&リリカル」がビル・エバンスの特徴だとすると「趣味の良さ&大人っぽさ」がアル・ヘイグの特徴、かな。本当に趣味の良いピアノを弾くんです。

趣味の良いピアノ、とは何か。

洋服の趣味が良いとかインテリアの趣味が良いとかの「選択センスの良さ」とちょっと違って、この場合の趣味の良さは「程の良さ」ってニュアンスなんです。「育ちの良さ」とも言えるかな。フレーズのそこかしこにそういう良さがにじみ出ていて、それでいて決してなよなよはしていない、そんなピアノなんです。

一般的には「ソフィスティケート」という単語でアル・ヘイグは形容されていますが、ボクに言わせるとちょっとニュアンスが違います。単なる「洗練」ではない。力強いピアノです。でいて、玉を転がすようなタッチ。そこらへんの強弱のつけ方を見ると「ケレン味」すら感じます。「洗練」ではない。

確かにその軽やかなタッチは上流階級を思わせるところがあるゆえ、それを「ソフィスティケート」と呼べばそうでしょう。
しかしそれではBGMとあんまり変わらないニュアンスになってしまう。彼のピアノはそんな甘っちょろいものではありません。しっかり心に楔を打ち込んできます。
でもバド・パウエルみたいにこれでもか!ではないし、ビル・エバンスみたいにやたら叙情性に訴えたりもしません。距離感を置いてそっと心に入ってくる、そんな大人っぽさがあるのです。


褒めすぎかな。
でもこのアルバムを聴いていただければその「趣味の良さ&大人っぽさ」がすぐわかります。
1曲目の「Holyland」。傑作ですね。彼の特徴がすべて出た名演奏です。で、4曲目の「Invitation」。素晴しい。本当に。この2曲でわかるでしょう。アル・ヘイグの強烈な魅力が。


その素晴しい演奏に比べて彼の人気は低かったようです。
まず夜10時以降は演奏しなかったそうで、何故だかは知りませんが、これはライブハウスでの演奏が出来ない、ということを示しています。これでは人気も上がりませんよね。
それと白人であることのハンデ。バップの創生期にチャーリー・パーカーとやっているとはいえ、当時は黒人ピアニスト全盛の時代。どうしても仲間外れにされていたようです。まぁくわしくは知りませんが。

で、50年代に活躍した後しばらくほされていて、70年代になってロンドンで再起をはかったのがこのアルバム。
これだけの出来ですから、その後人気が出ると思うでしょう? でも上記のような理由もあって(本当の理由は知らない)人気は出ず、晩年は寂しいものだったらしいですよ。

ボクは好きだけどなぁ、アル・ヘイグ。なんで人気が低いんだろう。
日本とイギリスではまぁまぁの人気らしいけど、地元アメリカではさんざんらしい。

聴いたことある人はわかってくれますよね。あの魅力。
聴いたことない人はまずこのアルバムからどうぞ。決して後悔させません。聴いていると、なんか自分が趣味の良い人になったような錯覚がおきるような、そんなジャズアルバム、めったにありませんから。



【1997年5月記】

1997年05月01日(木) 20:11:27・リンク用URL

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