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ブロッサム・ディアリー「ワンス・アポン・ア・サマータイム」

Once Upon A Summertime
Blossom Dearie
1958年録音/Verve

Blossom Dearie (vo, p)
Mundell Lowe (g)
Ray Brown (b)
Ed Thigpen (ds)

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ブロッサム・ディアリーとの出会いは新入社員の頃。

たまたま買った女性ボーカルのオムニバス・アルバムのトップに、彼女の「二人でお茶を」が入っていたんです。
サラとかエラとかカーメンとかアニタとかの大御所たちの前、アルバムの1曲目にこのなんとも特徴的なはかなげな声…。

バースの部分を歌うこの声の第一印象は「ヘタクソだなぁ」だったけど、そして、2曲目以降の大御所たちはやっぱり爆裂的にうまかったけれど、何度も何度も聴いているうちに、この「ヘタクソさ」が好きになって来たんですね。

「美人は三日で飽きるが、ブスは三日で慣れる」って言うじゃないですか。

ボクにとってブロッサム・ディアリーはまさにそれ。

慣れたんです。
で、味が出てきたわけですね。


例えばユーミンとハイファイセット。
「冷たい雨」とか「卒業写真」とか「中央フリーウェイ」とか、同じ歌を歌っていますよね。
で、もちろん、ハイファイセットの方が、もう全然うまい。上手。ほれぼれする。
だけど、結局ユーミンのあの珍妙な声の方が飽きないし、聴けば聴くほどだんだん味が出て来るんです。
逆にハイファイセットの歌声って、ちょっと飽きる。
それと同じ、かもしれない。

サラ・ボーンとかって異様に歌うまいんだけど、なんか聴き続けるに従ってだんだん飽きてくる。
鼻についてくるんです。

ブロッサム・ディアリーにはそれがない。
ジャズ・ボーカリストっぽくないその珍妙で頼りなさげでか細い声が、聴く側を飽きさせないんですね。


さて。
ブロッサム・ディアリーをヘタクソ扱いしてしまいましたが、実際にいくつかCDを買って聴いてみると、意外や意外、なかなか技巧派でした。
自分の声質をちゃんと自覚して、上手にそれを使っているんですね。
フレンチ・ポップスみたいな趣で、かるーくスタンダードを歌っていく。いまならモンド系で花開くようなオリジナリティがあります。
まぁちょっと全体にファンシーなところがあって、「ファンシー嫌い」なボクとしてはたまに鼻につくんだけど、やっぱり濃厚な超絶技巧派たち(サラとかエラとか)を聴いたあとの口直しに彼女はかかせません。

そう、だいたい口直しに聴く、かな。

濃厚なボルドーを飲んだ後にアルザスのリースリングが欲しくなったりする事ってありますよね。そんな感じ。

いくつかCDあるけど、中でも初期のこのアルバムは口直しにうってつけです。
後期のブロッサム・ディアリーはちょっとだけ「サラ・エラ化」しているし。

でも選曲も良いんですよ、このアルバム。
マイルスのprestige時代の名録音と聴き比べてみたくなってしまう「飾りのついた四輪馬車」「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」や、リー・ワイリーとはまた違う味の「マンハッタン」、実にかわいらしい「ティーチ・ミー・トゥナイト」、意外にしっとりしている表題曲「ワンス・アポン・ア・サマータイム」…。
そして、ボクの初体験曲「二人でお茶を」も1曲目に入っていて、なんだかとっても楽しめるアルバムなのです。


ブロッサム・ディアリー。
好き嫌いが分かれるでしょうね。
まだ聴いたことがない人は、まずこのアルバムからどうぞ。
ブロッサムの特徴がとてもよく出ています。



P.S.
それにしても「Blossom Dearie」って本名なんだって。
甘ったるい名前だなぁ。
直訳すると「花みたいにかわいい人」。
日本語にすると、可愛花子、みたいなところでしょうか。
宝塚かっちゅうの!

P.S.2
ちなみにパーソネルにも恵まれている人です、このひと。
このアルバムでもレイ・ブラウンやエド・シグペンなんかを従えているです、はい。



【1999年1月記】

1999年01月01日(金) 20:28:15・リンク用URL

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