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門あさ美「Fascination」

Fascination
Kado Asami
1979年発売 UNION RECORDS

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その昔、高木麻早というポプコン系の歌い手がいまして、「ひとりぼっちの部屋」という唄をヒットさせました。


 ♪ い〜ま〜 ひとり 部屋の隅にいて
   い〜ま〜 ひとり 想うあなたのこと


シングル盤の歌い方はそれほどでもないんだけど、何かのときにラジオでライブを聴きまして。その時の彼女の歌い方のセクシーなことと言ったら! 中学生でめちゃウブだったボクはこの「い〜ま〜」と歌うところのセクシーさに膝がガクガクしたものです。

もちろん青江美奈(古い!)とかね、セクシーに歌う人っていろいろいたんだけど、高木麻早の「さわやかセクシー」はあの当時はそれこそ新鮮。「こういうおねぇさまとなんとかならないものか」と真剣に悩んだりしたりして。



最初に門あさ美を聴いたとき、あれは79年だから高校三年の時だったかなぁ、その時なぜか高木麻早を思い出しました。
同じようなセクシーを感じたんですね。「さわやかセクシー」というよりは「けだる系セクシー」なんだけど、なんというか「こういうおねぇさまとなんとかならないものか」という感じが似ていたのかなぁ。

両方とも少年の「年上おねぇさま願望」をくすぐりまくったわけですね。




 ♪ I Love You やるせなくなるからやめて
   Kiss ひとつだけならやめて
   I Love You 心の準備をしたのに
   時間稼ぎもうイヤ

   寄せる寄せる押し寄せる波
   遠く近く揺れ続けてしあわせ
   寄せる寄せる地球がなくなる
   早く迎えに来て

   (デビューシングル「Fascination」より)


こんなエッチな歌、けだるく歌われたら、少年にはたまりませんからねぇ。
当時としてはこういうエッチな歌詞、珍しかったし。



レコード会社の宣伝ではあると思うけど、門あさ美は「ファッション・ミュージック」という新しいジャンルと捉えられたんですよね。ニューミュージックに対抗する新たな分野・・・にはならなかったけど、確かに当時はすごく新しい感じがしました。

BGMのような漂う歌い方、そして録音。
女性の本音を赤裸々に出したその歌詞。
現在でも充分通用するような美しいメロディ群。
媚びとけだるさを隠さないその歌声・・・

なんか実在感のないフワフワ浮いた燐光みたいな、不思議な漂い方をするんです、門あさ美の歌は。


79年って言ったら「異邦人」「魅せられて」「ガンダーラ」「いとしのエリー」「HERO〜ヒーローになる時、それは今」「みずいろの雨」「季節の中で」「燃えろいい女」「チャンピオン」「カメレオン・アーミー」「YOUNG MAN」「カサブランカ・ダンディ」「いい日旅立ち」・・・
ニューミュージックの台頭で、世の中お洒落になりかけ、って感じの頃です。そう、この79年という年はわりとターニング・ポイントな年ですね。そういう時代の空気の中、門あさ美はわりと先端を行っている感じはありました。ニューミュージックよりもちょっとお洒落で、聴いていて心地よい系。

地味でマイナーではあったけど「ジャパニーズ女性ポップス」の黄金期はこの人と共にあったと思うな、ボクは。
ユーミンとかEPOとかに比べて本当にマイナーなんだけど、彼女らより、より濃密に「ある時代のジャパニーズ女性ポップス」を感じます。同じような感じで、松原みきや麻倉未稀、須藤薫や中原めいこにも「ある時代のジャパニーズ女性ポップス」を感じますね。
でもこれはボクと同じ世代の人でなければわからない感覚かもしれません。



確かにいま聴くとなんとなく垢抜けないんです。
ですけど、当時は本当によく聴いていました。

特に夜中の東京をドライブするのには恰好なBGMでしたね。
高校から一年の浪人を経て大学生になったボクはこの「Fascination」をはじめ、「SACHET」「HOT LIPS」「SEMI NUDE」「プライベート・メール」「u ra ra」などのアルバムをとっかえひっかえBGMとしてかけながら、「こういうおねぇさまとなんとかならないものか」とかなわぬ願いを胸に、車を走らせていたのです。

門あさ美、いまはどうしているのだろうか・・・。



【1998年7月記】

1998年07月01日(水) 22:09:08・リンク用URL

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