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シュトラウス・ファミリー「シュトラウス・ファミリー・コンサート1〜2」

CDジャケットJohann Strauss Sr.
Johann Strauss
Joseph Strauss
Eduard Strauss
Strauss Family Concert Vol.1〜2

Clemens Krauss
Vienna Philharmonic Orchestra

クレメンス・クラウス指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1951年〜53年録音/LONDON

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この「シュトラウス・ファミリー・コンサート」はもともとキングレコードから3枚組CDで出ていたんです。


あ、はじめに言っておきますが「シュトラウス ・ ファミリーコンサート」と読まないように。そうするとなんだかオコチャマ用のCDに聞こえます。ご家庭でみんなで聴くシュトラウス、って感じに。

正確には「シュトラウスファミリー ・ コンサート」。

シュトラウスっつうたら「美しく青きドナウ」のヨハン・シュトラウスが有名ですが、これは正確には「ヨハン・シュトラウス2世」なんです。このシュトラウス一家は音楽一家。みんなそれなりに有名なのですよ。だから「シュトラウスファミリーのコンサート」というわけ。

あ、有名なシュトラウスといったら、リヒャルト・シュトラウスもいますね。
CD店などではR・シュトラウスと略されていますが、彼は「ツァラトゥストラはかく語りき」「交響詩『英雄の生涯』」「楽劇『ばらの騎士』」などが有名。今回ご紹介する指揮者のクラウスとも親交があって初演はほとんどクラウスがやっていたらしいのだけど、それはまた別のお話。とにかくヨハン・シュトラウスとは別物なのです。


って、最初から話はあっちこっちに行きますが、ついでだからここでわりとこんがらがりやすいシュトラウス・ファミリーについて整理してみましょう。これを機に覚えちゃってください。

簡単に言うと「ワルツの父」と言われたヨハン・シュトラウス1世に息子が3人いたんです。
長男がヨハン・シュトラウス2世、次男がヨゼフ・シュトラウス、三男がエデュアルト・シュトラウス。これがシュトラウス・ファミリー。まぁワルツ&ポルカの天才達の集まりですね。
で、世にヨハン・シュトラウスと言われるのはこの中の2世のこと。長男。
彼を中心に考えて、父の1世は「ヨハン・シュトラウス・シニア」と呼ばれることも多いです。

この4人、それぞれに有名な曲を作っているんだけど、さすがに2世はすごい。
量と質で他の3人を圧倒しています。
まぁ代表的なのを並べてみると

●ヨハン・シュトラウス1世
 ラデツキー行進曲

●ヨハン・シュトラウス2世
 美しく青きドナウ
 喜歌劇「こうもり」序曲
 喜歌劇「ジプシー男爵」
 春の声
 芸術家の生涯
 ウィーンの森の物語
 朝の新聞
 アンネンポルカ
 トリッチ・トラッチ・ポルカ
 エジプト行進曲

●ヨゼフ・シュトラウス
 オーストリアの村つばめ
 天体の音楽
 我が人生は愛と喜び
 鍛冶屋のポルカ
 休暇旅行で

●エデュアルト・シュトラウス
 ・・・よく知らん・・・



って感じです。
「4人とも有名な曲を作っている」と書いたのに三男エデュアルトについては実はよく知らないんだよね。ワルツは作っているはずなんだけど…。

ここでやっと最初に話が戻ります。
そう、この「シュトラウス・ファミリー・コンサート」はもともとキングレコードから3枚組CDで出ていた、という話。

で、昔からウィナー・ワルツ(ウィーンのワルツ)が大好きだったボクはいろいろレコードやCDを持っていたんだけど、お気に入りのクラウスのこの全集はなぜか「1」と「3」しか持っていなくて、ずっと「2」を探していたんです。
でもCD店で取り寄せようとしたら「もう廃盤」って言われて、中古CD店とかも探したんだけど手に入らず仕舞い。
まぁシリーズだから3枚とも揃えたい、という想いもあったんだけど、それよりもなによりも「1」にも「2」にも三男エデュアルトの曲が入っていないんです。「2」にはきっと入っているだろう。聴きたい、聴かせろ、エデュアルトを! いったいどんな曲を作ったのだ!

そうこうしているうちに「1」も「2」も廃盤になったらしく、市場には新しい2枚組のCDが出回り始めました。1枚の収録曲数を増やして、内容的には以前の3枚組をそのまま移したって感じみたいなんです。
それが今回ご紹介する2枚組CD。

でも!
この2枚にもエデュアルトは入っていない!
シュトラウスファミリー・コンサートなのに、エデュアルトは無視。結局作ってないのか?エデュアルト!? どうなのだ!

・・・まぁいいや。
本音を言うと、きっとたいした曲は作ってないんだろうから聴きたくもないんですけどね。
なんとなく揃えたいだけの話で。



さて、このCDについて手短に話しましょう。

古い録音です。
1951年〜53年録音。もちろんモノラル。

だけどワルツでいまだにこれを越える演奏に出会っていない。
いや、カラヤンの古いのやクライバー、ボスコフスキーなどでとってもノレるのはあるんだけど、でもこのクレメンス・クラウスの「典雅そのもの」といった指揮にかなう演奏がないんです。クラウスの指揮しかあの時代のウィーンを再現していない。
なんと言ったらいいのだろう。
カラヤンとかのは「演奏のための演奏」。美しいけど踊れない感じ。それに対して、クラウスのは「踊るための演奏」。ワルツはやっぱり踊る音楽。それを見事に体現してくれている演奏だと思うのです。クラウスのは宮廷のフロアで貴族たちが踊っている光景まで目に浮かぶような演奏。実に素晴らしい。

特にそれを感じたのは「美しく青きドナウ」の演奏ですね。
この超有名な曲は、有名だけあっていろんな指揮者の版が出ているから聴き比べがしやすいんだけど、クラウスのを一度聴いてみてください、驚くから。
とにかく「典雅」。
典雅、なんて言葉いまどき使わないけど、思わずアタマにその言葉が浮かぶような演奏です。
青きドナウの有名なフレーズ「ちゃららら〜、ちゃっちゃっ、ちゃっちゃっ」のあたりの「ちゃっちゃっ」が、カラヤンなら「ちゃっちゃっ、ちゃっちゃっ」とフラットなんだけど、クラウスがやると微妙に「ちやっ ちやっ、ちゃっちゃっ」と前半の「や」が大きくなる。(←わかりにくすぎ)

あー、ステップ知らないけど、ステップ踏みたくなる!

たぶんクラウスの緩急の付け方が「踊り向き」なんですね。
これぞウィナーワルツ!
さすが生粋のウィーンっ子!
さすがハプスブルグ家のご落胤!
さすがニューイヤーコンサート生みの親!

亡くなった時は一般市民までが半旗を掲揚して悲しんだ、と言われるぐらいウィーン市民に愛されただけのことはあるのです。

たぶん、ほとんどオーストリア国ウィーン地方の「お国訛り的な演奏」なんですね。
シュトラウス・ファミリーの演奏はクラウス+ウィーンフィルに決まり!


最後に次男ヨーゼフについてひと言だけ。
このCDを聴くまでほとんど彼の作品に触れたことなかったんだけど、いろいろ聴いてみるとわりといいんですよ、ヨーゼフ。
彼は26歳まで工業技術者で音楽とは無縁の生活だったらしいのだけど、兄ヨハンの急病で「シュトラウス管弦楽団」の指揮台に無理矢理立たされたらしいのです。そしたらいきなり才能開花。43歳で舞台から落ちて死んじゃうまで280曲あまりを書いたというある種の天才なのでした。
まぁ兄ヨハンに比べると有名な曲は少ないよね。
でも「我が人生は愛と喜び」なんてワルツは映画「会議は踊る」の主題歌にも使われたりして(でもクレジットにはヨーゼフの名前はない。一般民謡扱いだったらしい)、実にウィーンぽいのです。

はぁー、こうなると、やっぱりエデュアルトも聴いてみたい!(←しつこい)


ちなみに、全ワルツ・ポルカの中でもフェバリットは長男ヨハンによる「喜歌劇『こうもり』序曲」。「美しく青きドナウ」をはじめ、「春の声」「アンネン・ポルカ」「朝の新聞」など、ヨハン2世の曲はやっぱり好きなのが多いんだけど、でもこの「こうもり」を越える曲はない。
奇跡的な名曲、だと思うなぁ。
んで、この曲のクラウスの演奏がまたいいのよ。
冒頭の「じゃんじゃんじゃんっ、じゃじゃらじゃらじゃらじゃら」の「じゃんじゃんじゃんっ」が「じゃんじやんじやんっ」と「や」が一部大きくなって・・・・(←いい加減にしなさい)




p.s.
シュトラウス・ファミリーというのをもっともっと後世まで広げて考えると、実は三男エデュアルトの孫が音楽家になっています。その名もエデュアルト・シュトラウス2世。
三男エディアルトがヨハン1世以来の伝統ある「シュトラウス管弦楽団」を解散させたらしいのですが、その65年後、孫の彼がそれを復活させたのですね。で、指揮をして世界各国を演奏旅行しています。
エデュアルト・シュトラウス2世が亡くなったのは1969年。そう、ついこの前。
彼に子供がいるならば、ひょっとしたらシュトラウス・ファミリーはまだこれからも続くのかもしれません。



【1999年12月記】

1999年12月01日(水) 22:53:24・リンク用URL

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