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ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」
Leonard Bernstein
Columbia Symphony Orchestra
Leonard Bernstein (piano)
in "Rhapsody in blue"
Leonard Bernstein
New York Philharmonic
in "An American in Paris"
レナード・バーンスタイン指揮
コロンビア交響楽団
1959年録音/エコー・インダストリー
amazon
※リンク先は写真とは異なりますが多分同内容です(但しSACD)
このCDを買ったのは、駅。
ほら、駅の改札口の近くでよくCDとか売っているじゃないですか。あの海賊版みたいな怪しげな奴。その中にガーシュウィンのこれがあったんです。
音質悪いだろうなぁと思いつつ、なんだか急に聞きたくなったので(LPは持っていたけどCDでは持っていなかった)買いました。演奏なんかな〜んにも期待せずに。
だからこのCDは「間に合わせ」という感じでずっと聞いていました。
一応バーンスタインなんだけど、もっといい指揮・演奏は他にあるはずですもん。だって駅で買ったCDにいいものなんてあるわけないし。ほら、音質だって悪いじゃん! ジャケットだって異様な手抜きだし!
……全然信用していなかったんですよね、駅CD。
買った場所や見た目で中身を判断するとはいけないことですねぇ。だけどさ、センスのいい邸宅に住んでいる美女と、駅で寝転がっているホームレスの醜女、どちらを選びます? いくら中身つうたってねぇ(ちょっと例えが違うか?)。
その後ボクはいろいろガーシュウィンを買っています。
駅で買ったチンケなCDを越えるものがどこかにあるはずだ!というだけの理由で散財を重ねていったのです。
プレヴィンはどうだ! あら、あかん。だいたい原典からカットをしすぎ。
それじゃぁレヴァインは? ん?惜しい! 惜しいけどアンダンテがいまいち。
カナダのだけど、デュトワにモントリオールでは? これまた惜しいけど……だめだぁ。
よし、ガーシュウィンが演奏しているオリジナル盤ならどうだ?! うーん。味はあるけど…。
こうなったら同じバーンスタインの1982年の録音じゃぁ〜! あらら、ちっともジャジーじゃないよ〜、のっさりしているよ〜、グスン。
結局聴き比べたのは以下の6枚。良かった順に並べると、
- 指揮:バーンスタイン/piano:バーンスタイン/コロンビア交響楽団
- 指揮:レヴァイン/piano:レヴァイン/シカゴ交響楽団
- 指揮:デュトワ/piano:ロルティ/モントリオール交響楽団
- 指揮:ホワイトマン/piano:ガーシュウィン/ホワイトマン楽団
- 指揮:バーンスタイン/piano:バーンスタイン/ロサンジェルス管弦楽団
- 指揮:プレヴィン/piano:プレヴィン/ピッツバーグ交響楽団
さんざっぱら聴き比べた結果、「駅CD」に栄冠が輝いたのでした。
やっぱり生まれとか育ちとか外見じゃないのよね。要は中身よ。そうなのよ…。
惜しいのはレヴァイン。アンダンテ・モデラート(ユナイテッド航空のCMにも使われた有名なメロディのところ)までは完全にレヴァインの勝ちだったのにアンダンテ・モデラートで弦より管を前面に出してしまいコクがなくなってしまいました。おっしい!
さて。
このところニューヨーク出張が続いておりまして、この1年の1割以上はNY暮らしをしているのですが、あの街を歩いていていつも頭に浮かぶ曲がこの「ラプソディ・イン・ブルー」とシナトラの「ニューヨーク、ニューヨーク」。
特に時差で朝早く目覚め、朝焼けに浮かび上がる摩天楼なんぞを見ながら散歩をしている時は「ラプソディ・イン・ブルー」のアンダンテ・モデラートが頭の中に響きわたります。
ゆったりとした弦の響き、ちょっとユーモラスでおっとりした管の支え。
これがそそり立つ摩天楼とよく調和してすさまじいまでのカタルシスを感じさせてくれます。
まったくこの街のために作られたような名曲ですね。
で、このバーンスタイン指揮の「駅CD」はまさに完ぺきに「僕の中のニューヨーク」にフィットしたのです。
イメージ通り。テンポからバランスからフィーリングからすべてイメージピッタリだったのですよ。珍しいでしょ、そういうのって。敢えて言えば冒頭のクラリネットにもう少し粘りが欲しいけど。
でも、手に入らないかもしれませんね、このCD。なにせ駅で偶然に手に入れたんですから。同じ演奏、どこかのレーベルから出ているかなぁ。
こんなに絶賛しておいて、手に入らなかったらごめんなさい。一応入手先と思われるものを書いておきます。
輸入元:エコー・インダストリー株式会社(千代田区六番町1-9)
※上記画像横のamazonリンク先で別の会社の同じ録音(らしきもの)が買えます。たぶん一緒…。ただしSACDなので注意してください。
あぁ、大好きなガーシュウインや、この曲自体のことを書くの忘れてました。
簡単に書くと、これはジャズの天才にして巨匠ガーシュウィンが初めて作曲したクラシック。そして初めての「アメリカ人の音楽」です。
当時「ジャズ王」と呼ばれていたホワイトマンの依頼で書かれたもので、まだオーケストレーションに自信のなかったガーシュウィンはホワイトマン楽団のアレンジャー、グローフェと一緒に3週間で書き上げたそうです。
だから非常に特徴的な楽器の選択はグローフェのチカラによるものが大きいわけですね。
彼の楽団とガーシュウィンのピアノで初演したのが1924年。大好評だったらしいです。
この曲がクラシックなのか、と言われると難しいところ。だいたい何を持って「クラシック」と定義付けるのかがわからない。古いという意味か?
もともとこの曲はジャズとクラシックの融合を目指した「実験音楽」として書かれたようですからジャンル的には「現代音楽」ということでしょうか。
ただひとつ言えることは、現代の都会に住む我々に実にわかりやすい言葉で書かれている音楽だということ。ともすればクラシックには難解なイメージがあって敬遠する人が多いのですが、ガーシュウィンのシンフォニーは実に理解しやすい。つまり我々と共通の言語で書かれているシンフォニーだと思うのです。
朝焼けの摩天楼、早足のビジネスウーマン、早朝のDeli、セントラル・パークを走る人々、行き交うイエロー・キャブ、地下鉄の轟音、多種多様な人々のさんざめき、カフェにたむろす若者達、ハドソン・リバーからの夜景、夜会服に身を包んだ男女、漆黒に浮かび上がるエンパイア…………
ニューヨークが恋しくなったら僕は「ラプソディ・イン・ブルー」のCDをかけます。そのメロディから、リズムから、アンサンブルから、すべてのニューヨーク物質が目の前にバーチャルに立ち上がってくるから。
この曲が作曲されてからもう73年。激変を続けているニューヨークの街に、ほら、いまでもこんなに似合う。
時代を越えるという意味で「クラシック」を捉えるなら、ガーシュウィンのこの曲はまさに「クラシック」そのもの、なんでしょうね。
【1997年9月記】
1997年09月01日(月) 22:44:08・リンク用URL

@satonao310