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LV5「シカゴよりこわい町」

リチャード・ペック著/斎藤倫子訳/東京創元社/1900円

シカゴよりこわい町
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ちょっと童話的な美しい小編。
子供のころを回想するカタチで書かれた小説で、シカゴから遠く離れたおばあちゃんの家に夏休みに行った数年間の思い出を書いているだけの物語なのだが、そのおばあちゃんのキャラクターが尋常でなく立っているので、非常に面白くなっている。

原題は「A Long Way From Chicago」。
邦題に「こわい」という言葉を入れたのは、子供達にはかなり怖ろしいおばあちゃんだからであろう(結果的にこの邦題はいまひとつであると思うが)。愛想は悪いし、平気で大嘘つくし、盗みはするし、銃はぶっぱなすし…。ただ、彼女の中の正義・尊厳は揺るぎなく、読み続けるに従ってその一貫性が快感に変わってくる。今度は何をしでかしてくれるのだろうと、どんどんページが進むのである。なのに、200ページ弱の薄い本なので(その割に1900円もするが)、すぐ読み終わってしまう。もっとずっと読んでいたかった。

エピローグが美しい。思わず涙がこぼれる。
第二次世界大戦に向かう軍隊輸送列車がおばあちゃんの横を通り過ぎる場面がアメリカの古き良き時代の終焉を象徴し、主人公のイノセンスの終焉も同時に表しているようだ。

2002年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(海外)

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