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LV5「どこにでもある場所とどこにもいないわたし」

村上龍著/文藝春秋/1200円

どこにでもある場所とどこにもいない私
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非現実的な時間の流れの中でぼや〜っとカラダが浮かぶような感覚に、特に都会の人が多い空間でおそわれることがボクにはたまにあるのだが、そんな感じがわかる人にはこの本はとても共感できると思う。
これは、そういう時間凝縮感をどこにでもある場所(コンビニ、居酒屋、公園、カラオケルーム…)を舞台に描いた不思議な短編集で、すべての短編に小さな希望が用意してある。浮遊するような文体の中で描かれるそれらの希望は現実感がなく、それがとってもイマっぽい。ここらへんの距離感の取り方が相変わらず見事だなぁと感嘆。

村上龍はあとがきで「強力に近代化が推し進められていたころは、そのネガティブな側面を描くことが文学の使命だった。近代化の陰で差別される人や取り残される人、押しつぶされる人、近代化を拒否する人などを日本近代文学は描いてきた。近代化が終焉して久しい現代に、そんな手法とテーマの小説はもう必要ではない」とハッキリ書き、「この短編集には、それぞれの登場人物固有の希望を書き込みたかった。社会的な希望ではない。他人と共有することのできない個別の希望だ」と続けている。ええ。つまりそういうことです。というか、作家がそこまであとがきで説明しなくてもいいだろうとちょっと思ったけど(笑)。
関係ないが、カバーの背表紙が読みにくくてかなわん。浮遊感狙いかな?(笑)。もうちょっと読めるようにするべきだと思うが。

2003年09月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

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