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「悪魔のパス 天使のゴール」

amazonサッカー小説と呼んでいいかもしれない。特に最後の100ページのサッカー描写は小説が初めてサッカーを描ききったと言えるくらいな出来で、村上龍もそれを目的にしたようである。
ただ、全編中田ヒデへのオマージュでもあるので、どうも「ねぇねぇヒデー、ボクってサッカーをとってもよく理解しているでしょ? 褒めて褒めて〜」みたいな著者の気持ちが少し見えてしまって、読者としてはちょっと白けるところがある。
そう、これは中田ヒデに対するラブレターに近い小説だ。サスペンス的な部分を付けてはいるが、それもちょっと中途半端だし(結末はいまいち)、ほとんど「ボクって中田とこんなに親しいんだよね。サッカーのことこんなに理解しているんだよね」という自慢に読めるのが弱点。
とはいえ、ラスト100ページだけでも買いである。
部分的に梶原一騎を思わせるような誇張もあるのだが、カラダが震える描写の連続。サッカーへの理解は確かに深い。下手に中田など準主人公として登場させずに(名前は夜羽。やはねと読ませるのだが、ほとんどヨハネである。神なのだ)、秀逸なサッカー描写を活かしつつ、もうちょっと違うストーリーにしてほしかった。オマージュするにしても、もうちょっと別のカタチがある気がする。
2002年06月01日(土) 12:00:00・リンク用URL
ジャンル:小説(日本)
@satonao310