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LV1「共生虫」

村上龍著/講談社/1500円

共生虫
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「インザミソスープ」を書いている時に酒鬼薔薇事件が起き、今度はこの本を出したと思ったらバスジャック事件が起きた。

そういう意味で著者は現代少年の心の空虚さを見事に読みとり、作家の想像力をもって一歩先を書いている。
が、この本が「インザミソスープ」と違うのは、先を読みとって書くことに懸命でそれだけで終わってしまっている点である。少年たちの心をなぞるだけで終わっている。そしてなぞったことを著者はかなり誇りに思っている。オレほど読めているヤツはいない、と。確かに今の少年たちの心を読みとるのは並みではない。でもそんな鼻高さが行間から読みとれてしまうのは、ちょっと。

インターネットを題材にしつつ、ネットの世界そのものを文学で表そうとした試みは評価できる。共生虫というモチーフ自体がウェブそのものであり、そのあたりの描き方は見事。でも引きこもりの少年をそこにからめてしまうのはちょっと陳腐かもしれない。村上龍は楽な道を歩こうとしているのか。この辺を題材に量産しはじめると、時事作家っぽくなってしまわないかと心配だ。100年後の世界で村上春樹は小説家だろうが、村上龍は時事作家と位置づけられてしまいやしないか。村上春樹の新作のように時事ネタを扱うにしてもそれを消化しきった上で昇華してほしい気がする。

2000年06月01日(木) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

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