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LV5「ライン」

村上龍著/幻冬舎/1500円

ライン
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99年1月に読んだ「ワイン 一杯だけの真実」で散文が到達しうるある境地まで達してしまったと思われる村上龍。
この「ライン」も、同じようにとんでもないレベルに達した技術をもって現代日本というこの「特殊に寂しい社会」をさらりと浮き彫りにする。くどいほど濃い文体で書いていた頃に比べれば関西ダシのような薄さなのだが、それがある一線を越えてしまった表現レベルの証である。

TVケーブルや電話線などの「ライン」を通る情報が見えてしまうユウコという女性を象徴に、ラインは見えるけど中には入り込んでいかない寂しい人間関係を次々とつなげて書いている。表現手法は「パルプフィクション」的ですごく新しいというわけではないが、主題を描くのにこれ以上の構成はないだろう。

著者のあとがきが秀逸。
「文学は言葉を持たない人々の上に君臨するものではないが、彼らの空洞をただなぞるものでもない。文学は想像力を駆使し、物語の構造を借りて、彼らの言葉を翻訳する」。

そういう意味で、翻訳は見事に成功していると言えよう。少なくともボクには彼らの言葉が聞こえてきている。そして胸が悪くなるような感慨を著者からいつも得ている。空洞をなぞっているだけの文学が多い中、著者の一歩つっこんだ表現レベルには文字通り恐れ入っている。

1999年03月01日(月) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

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