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LV5「スプートニクの恋人」

村上春樹著/講談社/1600円

スプートニクの恋人
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著者長年のモチーフである「どこにも行けないメリーゴーラウンド」が、「どこにも行けない、かつ一瞬しかすれ違わない人工衛星」に姿を変え、著者長年の主旋律である「こっち側とあっち側は背中合わせでその境目がどんどん希薄になっていく」様が丁寧に描かれている。スプートニクとは例のライカ犬が乗って世界で初めて宇宙を飛んだソ連製の人工衛星。小説中では少ししか登場しないが、この小説の「記号ではなく象徴」だ。とても上手だ。そこらへん。

このところボクの思い入れにいまいち応えてくれなかった村上春樹であるが、この本は彼の主題が折り重なって現れ、二重にも三重にも織り込まれ、目眩がしそうな充実感を覚えた。さすがである。
ただ、ストーリーテリング的にははぐらかされる人もいるだろうし、主題的にピンと来ない人には単につまらない本かもしれない。終わり方に不満の残る人もいるだろう。でもボクの中ではすべて辻褄があい、過不足なくすべてが絡み合った。

現実と非現実のどちらが「リアル」なのか、そして「リアル」を通して我々はどこかへ行けるのか…、そんな疑問に呆然としたことがある人なら読んで損はない。

1999年06月01日(火) 12:00:00・リンク用URL

ジャンル:小説(日本)

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