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「印刷に恋して」

amazon印刷の現場をルポルタージュした本。
詳細かつわかりやすいイラスト(内澤旬子)が効いている。「本とコンピュータ」という、興味あるヒトはみんな知っている季刊誌に連載していたコラムをまとめたもので、消えゆく運命にある(?)活字・写植の世界を中心に、変わりゆく印刷業界への哀惜を込めた名ルポになっている。
印刷所は新入社員のときコピーライターをしていた関係でボク自身何度も出入りした。あの頃はまだ活版だった。魔法のように刷り上がってくるのを見ていちいち興奮したのを覚えている。色校正の現場も職人ぽくて格好よく見えたものだ。
そんなこともあってボクは普通の人よりは印刷的な知識があると言ってもいい。惜しいのは、そういうボクにとっても、ちょっと難解な本になっていたことだ。専門用語をいちいち説明してはいられないだろうが、著者は読者を置いてきぼりにしてどんどん深く印刷の世界に入っていってしまう。印刷にちょっと興味がある程度の読者にはかなり辛いのではないだろうか。
印刷技術の歴史と現状はなんとなく理解できる。未来はこうなっていくのだろう、という展望も見える。これをもうちょっとだけ素人にもわかりやすく書いてくれたら……。本好きな素人層は意外と印刷に興味を持っているものだ。そこらへんを取り込むいいテーマであっただけにちょっと惜しい。
2002年05月01日(水) 12:00:00・リンク用URL
@satonao310