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最後のピアノ発表会

2012年2月13日(月) 9:09:44

先々週になるが、娘の響子のピアノ発表会があった。

4月から高校3年生。大学受験である。
ピアノは幼稚園の時から続けてきた。妻も元はピアノ教師である。つまり音楽大学という進路は十分考えられるし、ボクが聴いている限り、その才能はあると思う。

親バカを差し引いても、なかなか感情豊かでカラフルなピアノを弾く。
教科書通りに弾ける人はゴマンといるが、ちゃんと「音楽的に」弾ける人はそんなにいない。その点、小さいときから飛び抜けていたと(親バカながら)思う。あぁこの子は音楽がわかっているなぁとよく思ったものだ。

でも、彼女なりにいろいろ考えた末、音楽の道には進まないと決めたらしい。
それはそれでいいんじゃないかな。好きなように生きたらいいと思うし、音楽の道もまた過酷。甘くない。本当に好きでなければ進めない道だと思う。まぁピアノ前に長くいて飽きないという感じではなかったから、一生続けるのは厳しいと思ったのだろう。その決断を支持する。

というわけで、この日が最後のピアノ発表会。

地元の先生の生徒たちによる発表会で、彼女は(年齢的にも)トリだった。
弾いたのは「ショパンのバラード第一番」。大曲かつなかなかの難曲だ。家で練習しているのを聴いていたら、ギリギリの完成度。どうかなぁ?と思っていたけど、本番に強い彼女、ステージでは練習の数倍の出来を披露した。良かった良かった。心に届く演奏だったと思う。

ここ十数年、ずっと生活の中にピアノの音があった。そういう毎日もそろそろ終わりなのだなぁ。彼女が(趣味で)続けるかどうか別にして、毎日練習する、ということはもうなくなるだろう。

ボクは、ピアノが情操教育にいいとか努力することを覚えるとか、そんなのどうでもいいと思っている。ピアノはピアノだ。音楽という「美しいもの」を深く知っていく過程。「美しいもの」に何年も毎日のように触れ続ける習慣。それだけのことだと思うし、それでいいと思っている。そのこと自体が素晴らしいことであり、その影響は単なる結果論だ。

まぁあとは「美しいものに毎日触れていたんだなぁ」と思い起こせるかどうかかな。「あの頃は練習練習でつらかったなぁ」ではちょっと悲しいw この十数年の「触れ続け」がなにかしら彼女にハッピーをもたらしますように。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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