アドテック東京でモデレーターをやりました

2010年10月30日(土) 11:49:42

昨日は「ad:tech tokyo 2010」2日目にして最終日。
7000人が集まった世界最大級のカンファレンスイベント。アドとテクノロジーとインターネットとメディアの祭典。最新の広告事例からプラットフォームビジネス、ソーシャルメディアなどについてセッションがたくさんあった。

基本的にここに集まった人たちは「新しい技術やビジネスを利用しつつ、この業界を大きく広げ、世界をよりよい場所にしようとする同志」だとボクは理解している。だからとても楽しかった。同志で大混雑してるからね(笑)。まぁ目の前のビジネスチャンスを掴もうと必死な方もいたかもしれないが、基本的に「未来への展望」をみんなで語る日。こんなに楽しいことはない。

ボクが受け持ったセッションは「新たなるコンテンツ・プラットフォームは我々の未来を変えるか」というテーマでおこなわれた。おかげさまで満席。立ち見も出た。本当にありがたい。

パネリストは4人。ボクはモデレーター(仕切り役)である。

Jeremy Clark
 Director of Customer Engagements,
 Adobe XD
Andy Meyers
 Director,
 Japan Business Development,
 NewsGator Technologies Inc.
田端 信太郎
 コンデナスト デジタル
 カントリーマネージャー
吉田 正樹
 株式会社ワタナベエンターテインメント
 会長

基本的にパネリストもモデレーターも主催者側が決める。
ボクがモデレーターをオファーされたときにはもうパネリストたちは決まっていた。アドテックというのは海外ではかなり権威があるイベントで、ここでスピーチすることがかなりのステイタス・実績になるらしい。なので自薦での売り込みがとても多いと聞いた。そういう自薦、そして他薦、主催者側の思惑などが混ざり合って、パネリストの選定はたぶん相当複雑なことになっているのだと思う。

モデレーターの仕事は、セッションの方向性を決め、質問を考え、バラバラなパネリストの論を整えてゴールに向かい、あるときはつっこみ、あるときは煽り、会場の空気を読みつつ、なんとか50分という短い時間内で「聴衆に有効なヒントを与える」というものである。向いてない(笑)。というか、田原総一朗をリスペクト。仕切るって大変だなぁ。

2ヶ月ほど前にオファーをいただき、この分野はまるで専門外なので戸惑いつつ引き受けたはいいものの、この1ヶ月が嵐のように忙しかったので準備が足りず、アメリカのふたりとのテレカン(電話会議)も直前という体たらく。でも、不得意分野や専門領域のことを引き受けると強制的に勉強するので、結果的に世界が広がるのがイイね。冷や汗をいっぱいかいたけど、アプリについての見解がずいぶん自分の中に溜まった。これは財産だ。

で、本番。
パワポなしにしゃべるのがとっても不得意なのでかなり自信がなかったが、さすがのボクもここ3年くらいの講演ラッシュで馴れたらしく、意外としゃべれた。すらすらしゃべる自分に驚きながらしゃべっていた感じ(笑)

まず、1ヶ月前ほどに書いたセッション・サマリーを元に、アプリ提供者、アプリ開発者、パブリッシャー、コンテンツ制作者、それぞれの立場の方に質問をし、アプリのポジな部分、ネガな部分を掘り下げ、今後のアプリの潮流への予想、ビジネスチャンスなどに踏み込んでいった。

自分的に新しいなと思ったのは、吉田さんの発言の中の「編成という概念が入ることが必要」というもの。編集ではなく編成。つまり時間軸という概念をアプリに入れてみろ、でもそれはそんなに甘くないぞ、と、吉田さんは挑発したわけだ。

最後は広告の立場からボクが話した。アドテックはプラットフォーム・ビジネスに目が行きがちなイベントであるが「コンテンツが育たないプラットフォームはゆるやかに死んでいく」。死んでいくプラットフォームは広告キャンペーンでも使用しない。目の前のビジネスも大切だが、ここに集まった同じ志のはずのボクたちは、もっとコンテンツに目を向けて、この新しいプラットフォームを大切に育てていく視点が必要なのではないか。みたいなこと。

JeremyはタブレットPCやスマートフォンの現状を「テレビが出てきたころに似ている」といい、Andyは「ウェブの出始めに似ている」といい、田端さんは「i-modeが出たころに似ている」といった。新しいコンテンツ・プラットフォームの産声期にいられることは本当にエキサイティングかつシアワセ。この赤ん坊を大きく育てる企てに当事者として参加したい。

セッションはおかげさまで成功だったと言えると思う。ホッとして崩れ落ちそうだったw
終わってから、初対面の女性に「この2日間で一番いいセッションでした」と耳元で囁かれた。ツイッターでも「セッション拝聴させていただきました。 2日間、ほぼ全部のセッションに参加しましたが、一番聞きやすく、理解できる内容でした。モデレーターの力を感じました。ありがとうございました!」とコメントをもらった。あぁなんてシアワセ。苦労と緊張が報われた。これらの言葉をおかずに丼飯5杯喰える!


終了後すぐに某クライアントと打ち合わせ。その後、青山に移動して宣伝会議で「クリエイティブ・ディレクション講座」で講義、と、とてもバタバタした半日だったが、なんとなく終わってみると楽しい半日だった(この講義についてはまた後日書く)。

最後になるけど、アドテックを主催した方々、本当にお疲れ様でした。特に武富さん、中村さん、お疲れさまでした。素晴らしいイベントでした!

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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