模倣からの自由

2009年06月16日(火) 8:26:18

昨日寝るときに考えていたこと。

全盲のピアニストって、楽譜が読めないのだから、曲を覚えるときに誰かの演奏をCDで聴いたりして覚えるんだよね? そしてその演奏の「解釈」や「表情」を模倣するところから入る。特に超絶技巧系の曲だと、最初に聴いたCDを正確に再現するところから入るはず。つまり「誰かの解釈」を完全模倣して記憶するのが第一歩になる。

模倣は芸術の母だ。目が見える人でもそれは変わらない。でも、楽譜がなく、「誰かの演奏」が記憶のベースになるとき、その「模倣」からどうやって自由になるのだろう。
例えば生まれてから一度も地下室から出たことがない人がいるとして、「空」という概念をゴッホの絵で覚えたとする。まずは完全模写で「ゴッホの空」を覚える。あぁこれが「空」というものなのかぁと。 その後シスレーやらターナーやらの「空」も見るだろうけど、彼の「空」のベースは「ゴッホの空」。ある強烈な個性と完成度を持った「空」。そこから自由になって「彼自身の空」を描くに至るにはいったいどんな過程を経るのだろう。

バン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した全盲のピアニスト、辻井伸行さんの偉業を思うたびに頭に浮かぶ命題。いや、彼や全盲の人を貶めているわけではなく、純粋に演奏に感動したから書いている。たとえばルービンシュタインの偉大な演奏の完全模倣から入ったとき、どうやってルービンシュタインの偉大な演奏から自由になるのか、なれるのか、そこが知りたい。

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