生きて在る価値

2008年11月24日(月) 7:48:17

昨日の結婚式&披露宴は六本木ヒルズの51階、ヒルズクラブで行われた。
話題の新ビルというのに全く興味がないボクは、六本木ヒルズにもほとんど出入りしない(まぁ六本木ヒルズが新ビルだったのはずいぶん前だが)。有名社長への直接プレゼンのためにヒルズクラブに呼ばれたことが一度。J-WAVEに出演するために訪れたことが一度。それだけ。それらのときもその景色には目を奪われたものの、ビルの設計や内装のセンスなんかに対しては「だっさ」と思っただけであった。プレゼンのときなんかはまだこのビルも出来たばかりだったのだが、すでに格好悪かった。

ボクはたぶん、結果として時代の流れに乗ったのではなく、「時代の流れに乗ろうとプロデュースされた建造物」が嫌いなのである。その時代の格好よさを目指して、どこかその時代に媚びて作られた物は、それはそれは急速に格好悪くなる。時代に消費されるスピードが尋常ではない。賞味期限が短いのだ。この六本木ヒルズというのはその象徴みたいなビルディングだと思う。設計・プロデュースされた頃にはほんの一瞬だけ格好よかった。でも竣工した頃にはもう格好悪くなっていた。他にも評判の悪い奇抜な建造物はいろいろあるが、チカラがある建築家が造った物はちゃんと内部に「普遍」を湛えている。そこが違う。

と、ビル自体は大嫌いなボクであるが、中で行われた宴はとても普遍的ないいものであった。
新郎新婦とともにその赤ちゃんも出席した披露宴で、すでに新生活が始まってから長い、ということもあり、なんだかとてもアットホーム。いわゆるひな壇もなく、ボクなんか新郎新婦と同じテーブルであった。こういう披露宴も初めて。というか、ご親族の方々を除くとほぼ最年長。これはショックだったなぁ。最年長だよ、最年長。

でも、その赤ちゃん(一歳半)が異様に可愛くてまいった。
長い宴に一度もぐずらず、騒がない。ずっと静かに機嫌がよいのだ。しかも、カメラを向けるとちゃんとカメラ目線になり、まばたきもせずじっとレンズを見つめ、タイミングよく笑う(これが本当にすごい)。会場を歩き回り愛嬌を振りまく。出し物のマジックにもタイミングよく絡む。天才かと思ったよ。

もともと、ボクがやっていたあるプロジェクトがきっかけで結ばれたふたりである。あの仕事がなければこのふたりも出会わず、この赤ちゃんも存在していなかったのだなぁ…。こういうのを「偶然」とは呼ばず「縁」と呼ぶ。数十億分の一の確率の「糸」が複雑に絡み合う。

それにしても。
自分が意図しないところで、自分からは見えないところで、自分の人生が他の人生に影響を与え、それがつながっていく。生きて在る価値とは意外とそんなところにあるのかもしれない。目に見えてるほんの表層でくよくよ悩むではないぞよ、自分。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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