銀色夏生著「子どもとの暮らしと会話」

2008年04月22日(火) 7:31:55

子どもとの暮らしと会話 (角川文庫 き 9-65)「子どもとの暮らしと会話」。久しぶりの銀色夏生。題名がえらくストレート。詩ではなく、子供たち(中2と小2)との会話、そこから派生するいろんな想いを綴った本。

銀色夏生の「心の自由さ」に軽く打ちのめされる。
これは容易に手に入れられるものではなく、「心を自由であらせようとする瞬間瞬間の努力」を毎日毎時間毎分毎秒積み重ねていった結果であることはボクも知っている。だからこそ彼女は詩人であれるのだし、それは実に得難いことなのだが、でも「欲しいな」と無理を思った。これを手に入れるのにサラリーマンであること(つまり外部環境)は障害にならない。心のありようだから。でも、長い間にできあがってしまった自分の心の枠を取り払うのは、内臓にこびりついた脂肪を取り除くのよりだいぶ難しい。小さな努力と習慣の積み重ね。これに比べりゃダイエットなんか楽勝。

収めてあるいろんな会話がとても魅力的だ。
そうなんだよなー。子供との会話ってこうやって遺しておきたいものがいっぱいあるよなー…。日常の小さな小さな出来事と共に。
一方で銀色夏生が子供の性格を平気で「嫌い」「たえられない」「早く遠くへ行って欲しい」とか公に発表しちゃう(書いちゃう)のにもドキドキする。自由すぎない?(笑) でもそういう表現のおかげで、読み終わるころ、子供を上から目線で見ない彼女の姿勢が読者にうつり、自分たちも対等な地平にいるのを自覚する。フラットな目線の獲得。ここらへんは銀色夏生の真骨頂。レストランの食事が豊かな時間と栄養を与えてくれるように、彼女は新しい目線を提供してくれる。詩人というのは尊い仕事だな。

会話やエッセイだけでなく、写真やイラストも面白い。それらを丹念に拾って心に収めていると意外と時間がかかる。1日で読めるかな、と思った本だが、3日もかかってしまった。どっか田舎でゆっくり読むべき本かも。

この本をくれたのは遠くに行く友人。
くれた理由は理解したよ。ありがとう。気をつけて。

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