習慣の大切さ

2007年11月 6日(火) 9:06:51

スケジュール前倒しで、なんとなく第一稿、完成。
あとは細かい推敲に移り、今週中盤の8日には一度編集者に渡してしまうつもりである。
そんなことを編集者にメールで書いたら「新書を担当してから、スケジュール通りに原稿を頂ける著者は初めてです(感涙)」と返信。うはは。我ながら律儀。でも11月12月は急にでかい仕事が入る場合が多いから、単なるリスク管理である。でかいの入ったら一気に余裕がなくなる。

でも、この1ヶ月半は、思い出すのもイヤなくらい大変だったけど、「集中力と持続力」の訓練にはなったかも。毎日毎日ある分量を書き続けるというのは、才能ではなくて習慣なのだ、ということがよくわかった。

村上春樹が新作「走ることについて語るときに僕の語ること」の中でこんなことを書いている。

毎日机の前に座り、意識を一点に注ぎ込む訓練を続けていれば、集中力と持続力は自然と身についてくる。これは前に書いた筋肉の調教作業に似ている。日々休まずに書き続け、意識を集中して仕事をすることが、自分という人間にとって必要なことなのだという情報を身体システムに継続して送り込み、しっかりと覚え込ませるわけだ。そして少しずつその限界値を押し上げていく。気づかれない程度にわずかずつ、その目盛りをこっそりと移動させていく。
その後、チャンドラーの言葉を引用し、こんなことも書いている。
優れたミステリー作家であるレイモンド・チャンドラーは「たとえ何も書くことがなかったとしても、私は一日に何時間かは必ず机の前に座って、一人で意識を集中することにしている」というようなことをある私信の中で述べていたが、彼がどういうつもりでそんなことをしたのか、僕にはよく理解できる。チャンドラー氏はそうすることによって、職業作家にとって必要な筋力を懸命に調教し、静かに志気を高めていたのである。そのような日々の訓練が彼にとっては不可欠なことだったのだ。
別に職業作家になりたいとは思わないが(そんな大変なこと!)、必ず机の前に座って何時間か集中する、という習慣の大切さはわりと思い知ったなぁ。脱稿という「もう永遠に辿り着けないと思えるような遠いゴール」に一字一字ジリジリ近づいていく作業のキーはそこにある。

村上春樹がマラソンを続ける理由がよくわかった。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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