ミュージシャンも意外とゆるくない

2006年11月21日(火) 8:00:10

昨日のお昼は、ある著名ジャズ・ミュージシャンのマネージャーというか事務所社長とご飯した。昔よく一緒にお仕事させていただいた方である。NY出張とかでジャズ・クラブのハシゴに駆けずり回った仲。波瀾万丈の人生を送ってきたヒトでもある(このヒトの体験談で本が一冊書けるくらい)。

いつもいろんな裏事情を教えてくれるのだが、今回は音楽業界の印税についてのボヤキを聞いた。
作家やライターの場合、本の印税は定価の10%が一般的なのだが、ジャズの演奏家の場合、CDの印税は定価の1%なのだとか(作詞家作曲家はなんと0.1%程度とか)。3000円のCDなら、その演奏家に入るのは1枚売れて30円。しかも返品を見越して、製造したCD枚数の8掛けしかもらえないという。ジャズは3万枚出したらヒットという世界だから、ええと1枚3000円として、1%の3万倍の8掛けで……72万円? う〜、一生に何枚も出せないヒットCDで印税がそんなもんでは食えない!

「いやー、だからさ、昔のCDの印税とか郵便で告知してくるんだけど、見たら42円とかでさ(笑) 切手代の方が高いっての!」

しかし残りの99%はどこに行っているんだ? 客はその演奏家の名前で買っているのに、たった1%の印税って少なくない?

まぁ作家と編集者と印刷代で済む本と違って、録音費用やCD盤製造原価、スタジオミュージシャン代、プロモーション費用とかもかかっているのだろうけど。そうは言ってもひどいなぁと思うのは、ネットでの音楽配信でも8掛けらしいこと(もちろん印税は1%で変わらず)。返品ないし! 流通ないし! 製造原価かかってないし! ううむ。足下見てるなぁ。

それなりに著名なそのジャズ・ミュージシャンでも、巡業したりしてやっと食べていると社長はぼやく。ねぇねぇ、バンド組んでて大勢の場合でも印税率一緒だよね? その印税をバンド4人で割ったりすると……厳しいなぁ。

もちろんミリオンセラーになったらドカンと入る。シンガーソングライターはもっともっと割りがいい。売れっ子になると印税率も変わるという。でもそんなのごくごく一部のヒトだし、ドカンと売れたとしても累進課税でごっそり持って行かれる。ミュージシャン(特に演奏家)も意外とゆるくないねぇ、というお話でした。

※ちなみに上記はある方のボヤキを聞いてそのまま書いていることなので、事実と相違する記述があるかもしれません。違っていたらまた訂正します。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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