村上春樹「アフターダーク」読了

2004年9月11日(土) 7:59:18


村上春樹の新作「アフターダーク」読了。
三人称での長編は初めてとか。そういえばそうだったかな。数時間で読めるし描写は簡潔だが、なかなか難解な作品だ。読み終えて「さて困ったな」と思う人も多いのではないだろうか。
映像的な視点を読者に強要し、読者は常に「夜」を俯瞰、客観視することになる。たぶん彼は人間を描くというよりも総体としての「夜」(もしくは闇)を描こうとしたのだろう。「夜」(もしくは闇)との距離感を強要される感じは独特で、さすがに村上春樹だなと思う反面、客観すぎて心に響いてこないのを物足りなくも思う。
ボク自身、夜中にふと街を感じる時、人間への漠然とした距離感と愛情と不思議さみたいなものを感じるが、読んでいる最中ずっとそれにとても近い感覚を味わった。その気分には共感する。ただ、メタファーを多用してそこから数歩踏み込むのが村上春樹であって、今回の作品が彼の中での前進だとしても、期待をはぐらかされたと感じる読者は多いと思う。
人物配置と描写加減はいい。完成度も高い。でも、なんだろうな、たとえば村上龍なんかはストーリーテリングもきちんと入れつつ、その外側で夜や空気や距離感や不安をきっちり感じさせる。そういうスタンスに比べると、なんというか、ちょっとナイーブ(ひ弱)に感じた。

911から3年。今日は我が家のトイプードルの2歳の誕生日でもある。土曜だが出社。9月は胃が痛くなる仕事が多い。なんとか乗り切ろう。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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