ボラツア:もっと気楽にボランティアする時期が来たと思う

2011年5月30日(月) 8:39:40

激烈な筋肉痛である。
座ると立てない。立てても歩き出すまで1分くらいかかる。だから座るには熟考と決心がいる。出来れば立ったまま仕事したい。今日の打ち合わせは「立ち話で」というのはどうだろう →今日仕事する方々

つか、超運動不足だったこの2ヶ月。いきなりシャベル持って泥かき6時間だもの。太ももの裏側と座骨のあたりと腰が死ぬのも当たり前だ。「他の人の働く速度に影響されず、各人が各人のペースでゆっくり働いてください」「自分で考えるペースの50%くらいがちょうどいいペースです」とか、ボランティア・ツアーの添乗員にさんざん注意されていたので、自分のペースでゆっくりやったんだけど、それでこのザマ。筋トレ不足を後悔する。

あさって50歳の大台を迎えるボクではあるが、女性が4割、団塊世代も10人くらいいたこのツアー、どうしても「体力ある働き手」に分類されるので、それなりに役割を全うしようとしてしまう。そういうハリキリがこの筋肉痛につながっている。あぁそれにしても痛い。外に出たくない。今日の打ち合わせは「スカイプで」というのはいかがだろう →今日仕事する方々


ま、それはともかく昨日に続き、ボランティア・ツアー(ボラツア)の話。

筋肉痛は酷いものの、終わってみれば、実に爽快な体験だった。気持ちとしても。運動としても。

ツアー、なんて言葉を使うと「被災者の苦しみを考えろ」とか思われる方もいらっしゃるかもしれない。
でも、もうツアーでも何でもいいから行って欲しい現実がある。ボランティアは圧倒的に足りないし、まだまだ無限にやることがあるからだ。

そして、「ツアーと考えるくらいがちょうどいいのではないか」と思う部分もある。

被災地の人と話すと、たとえばこんなことを言う。
「がんばれ! と励ましてくれるのは本当にありがたいけど、もういっぱいいっぱいなんです。いままで2ヶ月必死にがんばってきたのに、まだがんばるのか、と」

だんだんがんばれなくなっている人に「がんばれ」と言うと、がんばれない自分を責めるようになる。がんばれない自分はダメな人なんだ、と考えるようになる。それが心の病につながっていく。

もちろん3月4月は「がんばれ!」だった。あの時期はとにかく生き抜くことが大切だった。でも緊急段階を抜けた今(被災地の現状はまだまだ2ヶ月前とそうは変わらないが、それでも緊急段階は抜けた)、被災地の方々は途方もない気持ちになっていると思う。復興に向けてのあまりに長い道のりに。

そういう中で、ボランティアたちがテントに泊まってものすごく張り切って奉仕する姿を見せると、どんどん「がんばらなくちゃプレッシャー」が高まる。もちろんそういう方々の働きのおかげで今があるわけで、それは実に尊いのだけど、そろそろ「もっと気軽に気楽にボランティアに行くことを考える時期なのではないか」と思う。

被災者にプレッシャーをかけないレベルで、たくさんの人が自分の時間をちょっとだけ使って作業に行き、被災地でお金を使って、被災地の「今」を知って、日常に帰って行く。そういう流れになった方がいい気がする。

そういう意味で、「ボラツア」はとってもいいことだと思うし、「助けあいジャパン」としても全面的にこの流れを支援したいと思っている。


ボランティア作業を1日半やって少しでも復興を前に進め、観光を半日やって被災した観光地に活気を戻し、旅館やホテルに泊まって宿泊施設に賑わいを戻し、食事をして被災店を潤し、お土産を山ほど買うことで現地にお金を落とす。

そして、その過程で被災地の「今」を知り、他人ごとだった被災地が「自分ごと」になっていく。テレビや新聞のニュースを見ても実感としてわかることが増えていく。見たこと感じたことをブログやツイッターやフェイスブックやミクシィに書いて伝える人もたくさん出てくる。被災地の「今」がそうやって全国に「実体験として」伝わり、関心の低下を防ぐことができる。

そのうえ、団体バスで動くことで被災地の渋滞解消に役に立つ。震災以来大打撃を受けている旅行業界も「ボラツアという新しい分野」が育てば、少しは息がつける。

さらに、いままで「ボランティアに行きたいけどテントとか張れないし」「行っても迷惑なだけかもしれないし」「一泊くらいしか参加できないし」と躊躇していた人々が参加しやすくなることで、ボランティアの裾野が広がり、絶対的人数が増えるのもいい。行き帰りのバスの中でボランティアの心得とか作業のコツとかを習うことで「大丈夫そうだ」と安心して作業ができるのもいい。

加えて、そうやって「地域の役に立つ実感」を各人が持つことが「新しい公共」の流れにつながり、日本が少しずつ「もっといい国」になっていく。

・・・どうです? とってもよいと思うのだけど。ボランティア・ツアー。

現地のボランティア差配作業に「旅行社のプロ」が入るという利点や、現地雇用につながる可能性があることとか、現地の情報が入ってきにくかった「助けあいジャパン」にとっても情報流入のルートになるとか、他にもいろいろ付加価値があるこのプログラム。なんとか協力して大切に育てていきたい。


まぁ、ツアーというと、瓦礫の前でピースしながら写真を撮る若者、みたいな図が浮かんでどうしても抵抗ある人がいるかもしれない。
でもね、それは自家用車で現地に入った個人ボランティアに多い。ツアー客は、参加者同士の牽制作用や自浄作用が働いてそういうことはしにくいし、JTBの添乗員がきっちりレクチャーしてくれるから、そういうバカなことはまず起こらない。

とはいえ、ボラ初心者が行って迷惑にならないものか、とか、力が弱い女性だけど大丈夫か、とか、もう70歳なのだけど役に立つのか、とか、いろいろ不安はあると思う。

それについては、また明日書きますね。

※ボランティア・ツアーについては、「助けあいジャパン」のこのページで一覧できます。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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