スタートラインには立てたんじゃないかな

2009年11月30日(月) 9:03:58

昨晩、鳩山首相と二度目のご飯をした。ご飯に至った経緯と趣旨は昨日のブログにくわしく書いたのでそちらを。

場所は浅草の小さな中国料理店「龍圓」。前回ご飯にどこに行こうか迷ったときの候補のひとつ。
直前の会議が長引いたということで少し遅れて食事が始まった。メンバーは鳩山首相と友人の松井官房副長官、そして秘書官たち。あと平田オリザさんとボクである。ビールで乾杯したあと、すぐに紹興酒(この店のは生酒でとてもうまい)。いろいろな話をしているうちにツイッターの話に。

ツイッターがなぜ荒れにくいかの話になったので、前回の鳩山さんとの会食のときにいただいた返信(@やRT)のプリントアウトをお見せした。数千に渡る返信のうち、ネガなコメントはほんの十数個。これは2ちゃんなどではありえないこと。そんな話から今回の提言に移っていった。

提言というのは、昨日も書いたが、国民と政治の距離を近くするためのソーシャルメディアの活用について、である。
ブログ、ユーチューブ、SNS、ツイッターなどのソーシャルメディアを活用して、いかに国民とコミュニケーションをとっていくべきか。その延長線上に政治不信や政治への無気力感などの払拭の可能性があるのではないか。そんな話をさせていただいた。

忙しい首相の時間をいただいたので、単なる飲み会だった前回とは異なり、昨日はかなりちゃんと準備をしていった。企画書にして25枚、別添資料50枚超。食事の席なのでカジュアルな形ではあるが、きちんとお伝えできたと思う。特にここ10年の生活者(特に20代30代40代)の変化やネットの普及による「トップダウンからボトムアップへの変化」「to People から with People への変化」を丁寧に。ここが今回特にお伝えしたかったところ。

前回も感じたが、鳩山首相はヒトの話をちゃんと聞いてくれる。途中でさえぎらないし、わかったふりもしない。イライラもしない。うんうんと頷きながら最後までゆっくり聞いてくれる(意外とこういうトップは少ない)。なのでこちらも緊張せずにゆっくりイイタイコトを伝えられた。

で、静かに聞いてくれていた鳩山さんが、こちらが話し終わった途端、「やろう。やる」と。
この瞬間は本当にうれしかった。特に「国民から政治家への距離が遠い」「国民の声が届きにくい」「政治家の活動が見えにくい」「政治家の生身が感じにくい」ということが気になったようで、それらの改善のためにソーシャルメディアを活用することに本腰入れて取り組んでいこう、という話になった。

ソーシャルメディアの概念って、首相の年代(60代)の方には意外とわかりにくいものである。でも、理系なせいなのか、本当に理解が早く、要点もちゃんと掴んでくれた。特にツイッターって説明も難しければ理解も難しいサービスなのだけど、辛抱強く質問を重ね、「あー、そういうことですか」と理解してくれた(たぶん)。

じゃあどうやるか、の実際論に移ると、そこは議論百出。
まず、鳩山内閣メールマガジンの引用中心である現在の首相官邸ブログは、申し訳ないけどキッパリ否定させていただいた。ブログというのは政策の発表の場ではなく、もっと生身の鳩山首相本人が見えてこないと意味がない。政策についてはメルマガとメルマガ引用サイト(そしてそこへのリンク)があれば充分である。ツイッターの活用についても様々な意見が出た。最終的には首相の感性に頼る部分が大きくなるが、「トップダウンからボトムアップへの変化」の理解の下に話が進んだので、大きく使い方を間違える可能性は低いと思う(少なくとも昨日の感じでは)。

まぁボクも仕事での長い経験上、企業のトップやキーマンが「やろう」と言って実際にはやらなかった(できなかった)結末をたくさん知ってはいる。事情は刻々変わるし、思わぬところから反対が出たりもする。そんなに簡単に行くものでもない。だから言葉通りに受け取って「政治のコミュニケーションが変わる」とは言い切れないが、少なくとも「変わり始める第一歩」は踏み出せそうである。これだけでも大きな変化だ。

たぶん、今後、一個人として(一ブロガー & 一専門家として)いろいろご協力していくとは思うが、それは別に「鳩山首相のイメージをよくする」ためにやるのではない。そこだけはハッキリさせておきたいと思うし、鳩山さんの前でもハッキリそう言った。そうではなくて、政治全体と国民との距離を少しでも近づけたいだけである。その一助になるのであれば、(仕事とか〆切とかいろいろあるけど)ちゃんとご協力させていただこうと思う。いままで政治家の存在が遠すぎた。それを近づけることは悪いことでは決してない。


ご一緒した「龍圓」は小さな街場の中国料理店だが、本当においしい。2階を貸し切らせていただいた。
申し訳なかったのは、真剣な議論の場になってしまったために、テーブルはペーパーで溢れ、料理を楽しむ雰囲気から程遠くなってしまったこと。でも栖原シェフ渾身の料理群、大好評でした。ありがとうございました。

ドバイショックや沖縄問題など、問題山積の中で首相の時間をいただいたのは申し訳なかったが、当日決まった前回とは違い、前から決まっていた会食だったのでそこはお許しを。
ただ、かなり有意義な夜だったことは確か。官邸からの情報発信を含めて、国民と政治の距離が近くなるスタートラインには立てたんじゃないかな。つうか、なぜボクがこんなことに巻き込まれているのかという根本的な疑問もあるのだけど、乗りかかった船なので、これから年末年始にかけて、いろいろご協力してみたいと思う。スピードも大事だが拙速にもしたくない。焦らず一歩ずつ確実に。今日よりマシな明日にするお手伝いをしていきたい。

あ、結局どんな格好で行ったかというと、デニムに黒のタートルネックで行きました。ジョブズを意識したわけではないけれど、プレゼン上手な彼にあやかってはいます(笑)

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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