ありがとう、新聞大会

2008年10月17日(金) 7:08:41

昨日、ホテルから出る直前に慌ただしく更新したときに、新聞に顔写真が出ているとなにげなく書いてしまい、いろんな意味でちょっと後悔しながらヒコーキ乗っていた…。んー、まぁ仕方ないか。でもなんか居心地悪いなぁ…。

ま、それはともかく新聞大会。
超大規模の大会だったけど、終わってみれば「数ヶ月も緊張しつづける必要はなかったかな」って印象。でもそれはなんとかうまくいったから。やはりパネリストも聴衆も社長+幹部だらけ、というのは異様であった。地方紙の社長や幹部ってその地方の名士でもあるし、うちの社長・会長・役員たちも来ているし、だいたい50代60代の男性だらけの聴衆っていうのも経験がない。どういう話題でどういうウケ方をするのか、どのくらい噛み砕けばいいのか、まったく未知数…。
しかも講演ではなくパネル・ディスカッション。講演の場合、自分のペースで話していけるが、パネリストはペースを勝手に作れない。いったいどうなるのだろう…。

午前中は札幌交響楽団(尾高忠明指揮)の演奏。ランチ後は神田山陽のスピーチ(すげー面白かった)。で、基調講演をエコノミストの浜矩子さんが1時間しゃべったあと、いよいよわれわれの出番である。

パネリストは朝日新聞社・秋山耿太郎社長、新潟日報社・高橋道映社長、西日本新聞社・川崎隆生社長、そしてボク。コーディネーター(司会)は北海道新聞社・菊池育夫社長。

舞台の上からの景色はなかなか壮観。オジサンばっかりだー。
「舞台上からこの景色を写真撮ったら怒られるかな」とか思いつつ、アレ?意外とあがってないや、とも思う。講演だと舞台にあがった途端になにかしゃべりださないといけないので落ち着く暇がなく、それが「頭の中真っ白」につながるのだが、パネリストだと司会役が話しをしているうちに会場を隅から隅まで眺められ、現状把握に時間をかけられる。だからなんとなく落ち着ける。

意外と落ち着いている自分にホッとしつつ、しゃべる順番が来るのを待つ。
このパネル・ディスカッション、テーマを「広告」「編集」「販売」「ウェブ」「協調」「企業モデル」の6つに設定し、新聞の現状と未来について、パネリスト全員がそれぞれ5分強ずつ話しをしていく形式。ボクは「広告」と「ウェブ」に関しては専門なので、15分くらい話すように言われていた。あとは他の方と同じく5分強ずつ。つまりひとりで50分くらい割り当てられている。

ボクに求められているのは新聞業界の外からの忌憚なき意見である。いろいろ考えた末、とかく暗い話題ばかりの新聞業界なので、とにかく明るい未来の話をしてやろうと心に決めた。要は考え方で、明るい側面から考えていけばいくらでも明るい切り口は出てくる。綿密に予習をしていく間に「新聞業界の明日は意外と明るい」と思える切り口もいくつか出てきた。そこらをどんどん話していこう…。

最初のテーマは「広告」。
ボクの専門テーマだし、15分しゃべらないといけない。予習はしっかりやったのでしゃべる内容は大丈夫。あとはひと言目。冒頭の1分をゆっくり上手に話し出せさえすれば……と思っているうちに、ボクのひとり前の朝日新聞の秋山社長のスピーチが始まった。

ら、彼はボクの著書「明日の広告」を取り出して、「佐藤さんの本を読んだんですけど、この本にはこう書いてありまして」とボクの本の内容をしゃべりだしたのだ。うわっ、そ、それってボクがしゃべる内容なんですけど!(驚)。で、どんどん引用した上で「この辺について佐藤さんのお話を興味深くお待ちしたいと思います」と結んだのだ(泣)

なに〜!
ボクのしゃべることずいぶん話してしまったし! 用意してあった冒頭の数行も使えないし! ど、どうする !?

少しパニックになりかけたが、ここで思わずマイクに向かって「ひ、ひどい…」とつぶやいたことで、会場がワハハと揺れた(!)。おお !? その空気を掴んだまま司会の菊池社長が絶妙のタイミングでボクに話を振ってくれ、ボクがもう一度「秋山社長、ボクのネタ取ってひどいです…」と続けたところでまたワハハ。

この笑い二発で落ち着いた(笑)
ド頭で笑いさえ取れれば成功したも同然。なぜなら聴衆が一気に好意的になってくれるし、しゃべっている本人も妙に落ち着くからである。
秋山社長の話を受けて話す内容をアレンジし、なんとか自分の持って行きたい方向に話を持って行く。空気が温まった会場に向けて「いやいや、みなさん悲観してらっしゃるけど、ちゃんと変化さえすれば新聞広告の未来は明るいですよ。なぜならですね」と快調にしゃべり始めた自分を、もうひとりの自分が微笑みながら見ている。

そのままいい感じで最後まで。
終了した瞬間、足がふらつくくらいドッっと疲れが出たから、やっぱり緊張はしていたと思うのだけど、わりと多くの方から名刺交換を求められ評判は上々だった。いや、もう、ホント、よかった…。

パネリストの社長の方々ともずいぶん親しくなった。社長!とこちらが身構えなければ、本当にいい感じのオジサンばかり。それぞれの会社では怖い存在なのだろうけど、まぁボクには関係ないし(笑)。特に秋山社長とはいろんな話をさせていただいた(ありがとうございました)。

レセプション会場で少し飲んだあと退散。一度ホテルに帰ってマッサージを受け(逆に疲れが出ちゃったけど)、21時からモリたちと待ち合わせて「ビストロ・ヴァンテール」へ。おいしい料理とおいしいワイン(3本くらい飲んだ)。いい店だ。そのうえうれしい出会いもあり、楽しい夜だったな。

ということで新聞大会、終了。
ま、結果的にはいわゆる「案ずるより産むが易し」ってヤツだったのだけど、この経験はゆっくりじわじわと効いてくる気がする。
特に場馴れのジャンプアップ。野球の日本シリーズなんかで「大舞台を経験してるベテランの強さ」とかが取りざたされたりすることがあるけど、なんかそれに近い感じがあるなぁ。緊張必至の大舞台をとりあえず経験しおえた感覚。←偉そうな意味ではなく。

というか、忘れていたけど、来月、今度は「雑誌の国際的大会」があり、そこではモデレーター(パネル・ディスカッションの司会役)を引き受けていたのであった。むむぅ。パネリストは外国人。むむむぅ…。でも、今、「なんとかなるさ」と思う自分がいる。これは新聞大会のおかげだなぁ。ありがとう、新聞大会。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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