疲労感にも似た淡い絶望

2007年8月28日(火) 8:46:42

学生さんとふたりで昼ご飯した。
ひえっ、たぶん25歳下だよ、四半世紀年下だよ、と内心びびりながら。
(学生たちよ、オジサンも内心びくびくしているのだ)

授業の一環としての会社体験である。就活ではない。
好奇心たっぷりにいろいろ質問してくる。
仕事とか広告とか会社員という人生とか生き方とか。とかとか。

あぁそれはね、と、気軽に答えようとしてふと詰まる。
ええと、それは、まぁいろんな考え方があるんだけど、ええと…。

あれ? なに詰まってるんだ、オレ。
詰まってるというか、どっから話せばいいかわからない。
真っ白いキャンバスを何色で塗ろうか迷っている四半世紀年下のヒトに、
話したいこと、伝えるべきことは膨大にある。
でも、ありすぎて、逆にどっから話せばいいかを見失う。
どこまでがお互いの前提で、どっから共通認識じゃなくなるのか、
距離感がはかれなくなっている自分がいた。

よく、老人が若者に意見を言おうとして、
言い淀んでふと口をつぐみシャイに笑う、みたいな図を見る。
あれは「どうせ言ってもわからないよ」と若者を冷笑しているか、
言いたいことがうまくまとまらない「脳の訓練不足状態」かと思っていた。

でも、違うんだな、たぶん。
あれは「どっから話せばいいかわからない」という茫洋たる思いだったのだ。

極限まで散らかった部屋を前にして
「一体どっから手をつけよう」と途方に暮れたときに感じるような、
疲労感にも似た淡い絶望だったのだ。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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