「今日こそ夢を叶えましょうね!」 「うん。絶対CHAIN EATINGしないぞ!」 香川に向かって高速を走りながら、ボクたちはしみじみ語り合ったのである。 その夢とは単純である。 いつか、 いつかゆっくり、さぬきうどんを食べてみたい・・・ CNAIN EATINGしないで、おいしい店を2〜3店、のんびり味わってゆっくり帰ってきたい・・・ なにしろ貧乏性夫婦なもので、香川に行くと「次の店はどんな味なんだろ」「この店の味はわかったから今度はあの店に行ってみよ」って感じでせわしなく食べ継いでいってしまうのだ。 どんなおいしい店に行っても、次の店が気になってしまう。 小を一杯もらって、めちゃくちゃ後ろ髪引かれながら次の店に向かってしまうのだ。 そんな性分から、一日11軒などというおバカな記録まで作ってしまった我々なのだが、いっつも「次行くときは、好きな店で、ちゃんと天ぷらとかも取って、おかわりとかもして、ゆっくり食べようね」などと誓っていたのだ。 だが、その誓いが守られたことはいままで一度もないのである。 「今日は予定も立てちゃダメ。食べたお腹の具合で適当に次の店を決めるの」 「うん。次の店に行かない自由も確保しないとな」 前の晩、ボクが行く店をぼんやり考えつつメモを作っていたら、優子にこっぴどく怒られたのだ。 「今回はのんびりさぬきでしょ! ダメよ、行きたい店考えちゃ!」 うーん、そうは言っても・・・せめて最初の一店は決めておかないと動きがとれんぞ。 「じゃ、最初の店だけね。山越!」 「おお! 決断が早いなぁ」 「山越でおかわりしまくっちゃって1軒でおなかいっぱいの可能性もあるわ」 「おお、それこそ、ボクたちの夢の実現だ!」 ・・・ウジ虫みたいな夢である。 車は走る。 明石海峡大橋を抜け、徳島自動車道を通って、名店「谷川米穀店」の横に着く。 まだ9時半。 「谷川」は11時からだから、ここでは食べられない。つうか最初からそのつもりはない。 が、近くに有名な「佐々木豆腐店」がある。 ここの岩豆腐は有名だから、まずここで買い込んだのだ。 豆腐屋に寄る時点からして、今回は違う。 いつもだったら、9時半なんていい時間には血眼になって店を回っているのだ。 「余裕だわね」 「大人だな」 ゆっくり運転して「山越」に着く。 大駐車場が出来た、というのはウソではなかった。まだ10時半前なのに、駐車場は6割埋まっている。大人気である。 店内は以前と変わらず。 セイロに並んでいるうどんはピッカピカのツッヤツヤだ。 うーーーーー、うまそすぎ! ええと、まずは釜玉の小でも食べるかな。 で、相変わらずうまかったら、そのあと冷たいのを食べて、それから温かいのを食べて、それでもまだ欲しかったら、釜揚げもらって・・・
・・・久しぶりだなぁ・・・え、山越さんよ、うーん、相変わらずなんというツヤ・・・うまそうだなぁ・・・あー、会いたかったよ、キミに・・・まず響子に一口あげて口封じをしてから、おもむろに一口・・・ズズズ・・・ う、う、う、 うま、うま、うま、 「うまひゃひゃ〜〜!なんて叫ぶとバレちゃうわよ。 なんといっても香川ではベストセラーの2位だったんだから」 あ、そ、そうだな・・・でもあれ読んで来てる人なんているのか? まぁいいや。じゃぁ小さく。 うまひゃひゃひゃひゃひゃ〜〜〜〜〜 ・・・あぁ、実感として蘇るさぬきうどんのこのうまさ! 舌や喉や歯に記憶された快感が、またまた更新されていくのである。 「おいしいわね〜!」 「うまい。うますぎる!」 ボクたちは静かに目をかわしあった。 「おかわりしたいくらい、うまいけどさ・・・」 「なんだかまた、いろんな店を回りたくなって来ちゃったわねぇ」 「久しぶりに『宮武』も食べたくなってきた」 「ワタシ、『ジャンボ』の釜揚げがどうしても食べたい!!」 そう、舌や喉や歯が、記憶を取り戻した途端「回ろう!どんどん回ろう」と要求しだしたのである。 あああああ、やっぱりいろんなところでいっぱい食べたいのだ!! 「ゴメン、ワタシ、もうダメ!」 「ボクもだ!」 「きょうちゃんも!」 「よし、次、行こう!!!」 こうして、ボクたち夫婦(+むすめの響子)の夢であった「一軒で思う存分食べる」という夢は儚くも潰え、「山越」を5分で飛び出した我々は、出だしの遅れを取り戻そうと車をぶっ飛ばすのであった。 すでにボクたちは「香川でのんびり出来ない体質」になっていた。 体質改善は、不可能なのである。 p.s. 結局その日行ったのは、
出足遅れということもあって、6軒どまりだったけど、「黒田屋」「橋本製麺」を探すのに異様に迷ったから仕方なし。夕方には瀬戸大橋渡って帰ったし。 「山鹿」が一歩違いで営業終了だったのが痛かったなぁ。ホント、1分違いだった! p.s.2 香川における大チェーン「宮脇書店」では「うまひゃひゃさぬきうどん」はまだ店頭平積みでした。 しかも写真のごとく手書きPOPつき。
コピーはうどんにはまった一家が うまいさぬきうどんを求めて 香川県を右往左往 うまひゃひゃさぬきうどん 宮脇書店も出演! 出演ってアンタ・・・ p.s.3 そういえば大好きな雑誌「太陽」1999年2月号に書評が載りました。 引用してみると、 蕎麦好きだった著者がはまった「本当のさぬきうどん」の味とは? うどんの聖地香川を旅し、ひたすらうどんを食いまくる。大笑いしながら読んでいくうちに、さぬきうどんを食っていない自分が嫌になって死にたくなる。食わずに死ぬのも嫌になる。危険な本だ。 あ、雑誌「ダカーポ」の1999年2月3日号にも載ったなぁ。 これで日経新聞・四国新聞・週刊文春・週刊プレイボーイ・本の雑誌・太陽・ダカーポ、と、書評が載ったことになりますね。うれしいうれしい。 p.s.4 あ、ナイアガラ瀑布はですね、華厳の滝、白糸の滝と変化していき、見事に固形・落盤状態となりました。ご心配をおかけしました。 |
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