新年早々、タイ王国はバンコクに7泊8日で出張してきた。 現地での仕事の予定がびっしり詰まっていて完全なオフが一日もなかったから、いわゆる「観光」は出来なかったのだけど、有名なチャトチャック市場(ウィークエンド・マーケット)へ行ったり、ムエタイ観戦したり、観光ではいけない田舎の普通の町を通りすがったり、タイ古式マッサージ行ったり、良いアンティークに出会ったり、バンコク在住のメール友達に会ったり、とボクなりにバンコクを楽しんできた。 が、一番楽しんだのは、やっぱり本場のタイ料理。 いままで日本やニューヨークでそこそこ食べているものの、まだ「本当においしいタイ料理とはどういうものか」を知らない分、なんとなく漠然と食していた。 世界三大スープと賞されるトム・ヤム・クンだって、うまいうまいと食べていながら、じゃぁなにをもって本当のトム・ヤム・クンというのか、を知らずに食べていたのだ。本場ではもっと辛いのか?もっと酸っぱいのか? 自分の中に基準がなかったわけである。 あー、本当にうまいタイ料理を食べてみたい!!! そう思っていたところに降って湧いたタイ出張。 まさにボクの舌のためにあるような出張だったわけである。 問題はスポンサー。 日本から遅れて到着するスポンサーは、パクチー嫌いらしいのだ(パクチーとはタイ語。中国ではシャンツァイ。香菜。英名コリアンダー。香りのきついパセリみたいな葉っぱですね)。 パクチーが入っているタイ料理は多い。ほとんどに入っている。 独特の香りがあるから嫌う人が多いのだけど、なにしろボクは「好き嫌いがまるでない」ので、もちろんこれも好き。生でパセリみたいにガシガシ食べてもいいくらい好き。 うーん・・・でもスポンサーが嫌いなのはまずい。タイ料理レストランに行けなくなってしまう・・・だからまずコーディネーターに布石を打っておいた。 「スポンサーはボクがなんとか説得しますから、あなたはとにかく毎日タイ料理に行けるように考えてくださいね。観光も、タイのおねぇちゃんもいりません。タイ料理、観光客相手ではない地元民のためのタイ料理、これぞタイ料理!が食べたいだけですので、よろしくお願いします!!」 スポンサーのために一日二日はタイ料理以外も仕方がないと諦めてはいたが、それでもなんとか説得して「やっぱり本場のタイ料理食べましょうよ!」と引きずりこむつもりであった。 それでもダメなら別行動である。 たまにメールをくれるバンコク在住の林さんと会える段取りを組んで、スポンサーの希望でタイ料理以外になりそうな夜は、「今夜はちょっと会う人がいますので」と林さんをダシに使ってその場を抜け出すことまで画策しておいた(うーん、こう書くと利用したみたいでいやらしいな。いや、どうせ林さんにお会いするならスポンサー対策としても使わせていただこう、という意味。 ←どっちにしろいやらしい)。 え?スポンサー以外の日本人スタッフ? 「やっぱり郷に入れば郷を食べよだよね! いやぁ、めちゃくちゃ楽しみだなぁータイ料理!! ね?楽しみでしょ? ね?ね?」 と、日本にいる内からハイテンションにはしゃいでおいて反対する気を失わせ、NOを言えなくしておいた。 万全である。 で、着いたその夜からタイ料理。 まとめて書いてみると、 1/07 夜タイ料理 1/08 朝タイ料理 昼タイ料理 夜ベトナム料理 1/09 朝タイ料理 昼タイ料理 夜タイ料理 1/10 朝タイ料理 昼タイ料理 夜タイ料理 1/11 朝タイ料理 昼タイ料理 夜タイ料理 1/12 朝タイ料理 昼タイ料理 夜中華料理 1/13 朝タイ料理 昼タイ料理 夜タイ料理 である。 そう、2回を除いてすべてタイ料理系。 朝はタイ式お粥か、チャーハン。 チャーハンもマナオというタイのレモンをかけ、ナンプラーやプリック(唐辛子)をかけて食べるタイ式。朝からタイではチャーハンなのだ(カオ・パッという料理名)。 昼は本格的タイ料理から屋台のヌードルまで。いや、うまいうまい! 夜は中華風タイ料理(もしくは中華料理タイスタイル)もあったが、ほとんどが本場のタイ料理。 スタッフの泣きが入らなければ、ベトナムも中華料理も食べずに全部タイ料理で通したのだが・・・。 根回しのおかげで日本から一緒に行ったスタッフはほとんどタイ料理につきあってくれたのだが、一緒に食べてわかったのは、どうもボクは辛いのに強いらしいということだ。 「ひぇ〜〜〜〜〜! か、か、からいっ!」 「からひー!、しゃへれないっふ!」 とかいう悲鳴が飛び交う中、ボクだけ平気な顔をしてパクパク食べていた。 現地の普通のタイ人と同じ辛さでもほぼ大丈夫である。 ただ、異様な辛さを好む一部のタイ人には負けた。ヌードルでも唐辛子で真っ赤にして食べるのだ。 ・・・余談だが、タイ料理は「辛い」だけではない。 「辛い」と「酸っぱい」と「甘い」が適度にバランスするのがタイ料理だ。 それがわかってから、トム・ヤム・クンもわかってきた。 日本のたいていの店は辛すぎる。酸っぱさが足りないのだ。 きちんと酸っぱいと辛さも緩和されるのである。 ・・・もひとつ余談。 日本で辛いのを食べると翌朝便通の時大変な思いをするのだが、 不思議なことにタイ滞在中まったくそれはなかった。 他の日本人スタッフもお尻は大丈夫であったという。 タイ在住の日本人に聞いたら、日本の唐辛子は粉使いするからいけない、と。 生のプリック(唐辛子)はお尻にはこないというのだ。 なるほどな。しかし本当になんともなかったなぁ。 周りの日本人スタッフはみな、タイに着いて早々にお腹を壊した。 タイは生水がダメな国なのでそのせいもあったかもしれないが、まぁ急にとても辛いものばかり食べるとたいていお腹を壊すようである。 そんな中、ボクの愛すべき胃腸はさすがであった。 平然と強烈な辛さを消化し、ボクの信頼に応えてくれたのである。 普段と変わらない便通。ボクは胃腸を誇らしく思った。 やっぱりただ者ではない! イサン料理(タイの東北部の料理)をバンコク在住の林さんと食べた晩だけは、あまりの辛さにさすがのボクの胃腸もびっくりしたようで、胃が熱く熱く燃えて夜中に何度も目が覚めた。ボーっと胃のあたりが熱い。そのくらい辛かったのだ。 でも便通はいつも通り朝だけ。翌朝は何もなかったように朝御飯を消化したのである。 さすが、我が胃腸。 よくぞ、我が胃腸。 ボクはボクの思いのままに活躍してくれる我が胃腸を超絶に信頼し、どんどん負担をかけ続けたのである。 そして我が胃腸も、他の日本人スタッフの胃腸が壊れゆく中、必死に信頼に応え続けたのである。 が。 ボクは、「異様な辛さ」+「酸っぱさ」+「大食」+「アルコール」+「不規則な食事」がトライアスロンのように続く毎日に、我が胃腸がイッパイイッパイの我慢をしていたということに思いを馳せなかったのであった。 そう、さすがの我が胃腸も、どうやらイッパイイッパイだったのだ(当たり前じゃ)。 それにも気づかず、ボクはあんな辛いものたっくさん食べ続けた上に、間食までタイ料理。そのうえ、非常に危なそうなものまで臆せず手を出し続けたのである。 不潔そうな屋台で、生っぽい虫。 コールタールのようにドロッとした、生の牛の血。 飲んだらやばい、生水。 いかにも危なそうな店で、生牡蛎。カエル。そしてわけのわからない貝。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ そして、ついに我が胃腸も怒った! 大魔神のような変わり身を見せたのである! トイレはさながら、瞬間ナイアガラ瀑布!! ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!! その時、まさに空気は振動し、大地は動揺したのだ。 そう。 最終日になって、とうとう胃腸が反乱を起こしたのである。 長く和平を保ってきた胃腸とも関係決裂。そのうえ、わが「ケツ」も見事に「裂」であった。 胃腸よ、すまん! 調子に乗りすぎた! 37年間、キミを不沈空母だとばっかり思っていた。 一生このまま平和な関係でいられると、キミの苦労も省みず、一方的に思いすぎた! そう、ボクはキミをなめていた! 許してくれ! 機嫌を直してくれ! それ以来、いまだに病人食である。 さぬきうどんの食感からはほど遠いやわらか〜いうどんと、おかゆ。 帰国後5日経って、やっと華厳の滝程度にまで回復したのだが、相変わらず胃腸の顔色をうかがう毎日を送っている。 関係修復できるのは、いつのことなのだろうか? ・・・しかし、マジでやばいのでは? →赤痢・コレラ・肝炎 |
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