[年末特別寄稿]ゆうこのたたり  --97.12.30




ことしもあと2日である。

12月26日に仕事が終わり休みに入ったのだが、翌27日から寝込んでしまった。
ホッと一息ついたとたん身体が「もういいだろう?」とばかりに休養を強制してきたのだ。

熱もでない。のども痛くない。
ただただ、起き上がれないのだ。

過労だ。

こういうカタチで倒れたのは始めてなのでちょっと焦ってしまった。



身体がこうなると精神まで虚無的になるものだねぇ。
なんだか違う人が身体の中にいるみたいな感じ。

アブナイ、アブナイ。これはアブナイ!
来年は「働かないぞ!」と誓うボクなのであった。




神様、ごめんなさい!
来年はいただいた時間をもっともっと有効に使って
精いっぱい遊びますので!




ヨコでこれを書いているのを見ていた妻の優子がひと言。


来年はいただいた時間をもっともっと"優子"に使って、の打ち間違えじゃないの?




……ド厚かましい!


厚かましいバツとして、寝たきり大男のボクにかわってなんか書きなさい!


ということで、以下、優子による年末特別寄稿。

みなさん、来年もよろしくお願いいたします。     さとなお






みなさま、こんにちは。

寝たきりの夫に代わってちょっとくだらないお話をしようと思います。

ナメクジのお話です。

私が小学校時代、父親の実家で祖母と同居をしていました。
戦後すぐにたった古い家で、北側の廊下の先にある洗面台はいつも薄暗く薄ら寒い場所でした。

その洗面所の流しには毎夜、ナメクジが4〜5匹発生するのです。どこからやってくるのか解らないのですが、とにかく夜寝る前に歯磨きをするのが怖くて怖くて……。
たぶん庭木の手入れが得意でない祖母がしばらく独り暮らしをしていたので、ジャングルのように荒れ放題になった庭から水道管を伝って毎晩やってきていたのでしょう。

怖がっていてばかりではどうにもならないと考えた私は、ビニール袋と割ばしを歯磨き時にはもって洗面台に行き、袋にナメクジ達を閉じ込めて塩攻めにしていました。
それでも相変わらず毎晩ナメクジ達はやってきました。


これでは根本的な解決になっていないと思った私は、ある日意を決してジャングルの庭にビニール袋と割ばしを持って出て、植木鉢のかげや石の下にいるナメクジ達を根こそぎ袋に入れました。
最初はこわごわと植木鉢を持ち上げていた手も、しだいに鬼女のように喜々としてめくりあげるようになっていました。あぁ、思えばあの時の私はキツネか鬼に乗り移られていたのかもしれません。

そして何と100匹以上ものナメクジ達を袋に集め、塩攻めにあわせたのです!!
そしてその袋ごとジャングルの庭の地底深くに埋めてしまいました。


その日を境に、しばらく洗面台にはナメクジ達はやってこなくなりました。



しかしそんなことも忘れた頃、部屋の中に巨大クモが出現しました。
そのクモは妊娠中でお腹は巨大に白く膨れ上がっていました。
そのクモを退治すべくハエたたきでバシッと一撃したところ、お腹がはじけてパァッと小クモが部屋中に飛び散りました。その数の多いこと。ゆうに100匹はいたでしょう。
部屋中、家中パニックになり、母も私も祖母も逃げ回っていました。

その事件から今でも、しばしば大ナメクジが現れ、パンっとはじけて小ナメクジがうじゃうじゃと現れるという悪夢にうなされます。
あぁ、こんなことならナメクジさんと仲よくしておくのだったと後悔の日々。
ナメクジをなめていはいけないのです。


それ以来、私は小さい生き物を大事にして生きてまいりました。

しかし、ついこの間、
私は大根の葉っぱについていた芋虫君を知らずに輪切りにしてしまったのです。
しかもそれを、まぁこれも栄養よ、と知らん顔して夫のお皿に入れてしまったのです!
(注:ちゃんと火は通した)



それ以来、夫は寝たきりです。



夫は偉そうに「働きすぎだ」とか「過労だ」とか言っていますが、あれは違います。
単なる「芋虫君のたたり」なのです。

みなさまも小さい生き物のたたりにはせいぜいお気をつけになって
良いお年をお迎えください。

それでは失礼いたします。           ゆうこ



P.S.
ちなみに私も大男の夫から比べれば「小さい生き物」でございます。








*ちいさい生き物関連でこんなメールをいただきました。
 東京中野区のCAKEさんです。




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