「結局この日まで延び延びになってしまったけど、 今年も集中して一気にやるぞー!」 「おー!」 「オー!」 今日は大掃除である。 わりと早めに休暇に入った佐藤家ではあったが、なんだかんだ用事があって、結局大晦日にやることになってしまったのだ。 優子(32歳)も響子(3歳)もヤル気十分である。 「いいか。 この『NO DAMAGE』は全部で51分9秒ある。 このCDが終わるまでに大掃除を仕上げるぞ」 佐藤家では大掃除のBGMは決まっている。 佐野元春である。 佐野元春のベストアルバム『NO DAMAGE』を大音量でかけながら一気に仕上げる。 大事なのは集中力なのだ。 「ええと、準備はいいか?」 汚れてもいい格好。 手にはクイックルワイパー。 風呂には中性洗剤をまぜた水を浅く張ってある。 洗面所のシンクには中性洗剤を染み込ませた雑巾が待機。 トイレにはバケツ。ベランダにもバケツ。 部屋の隅には掃除機が待機。 これで大掃除の準備完了である。 「では、今日の予定を申し上げます。 最初の2曲、『スターダスト・キッズ』と『ガラスのジェネレーション』の間に ボクと優子で家中の電灯、本棚、チェスト、ラックなどにハタキをかける。 同時にボクは3つあるエアコンのフィルターをはずす」 ♪真夜中の扉に足をかけてこの街のノイズに乾杯! ノリノリの爆走ロックで、ドラミングのようなハタキかけ。 これに勝る快感はない。 ここで一気にテンションをあげるのだ。 「3曲目の『SOMEDAY』のイントロが ♪チャララチャララララン チャララララン とかかったら、ボクは特に高いところの埃取り。 本棚の上とか桟とかをクイックルワイパーで入念に。 エアコンの上とかカーテンレールの上とかも忘れないように。 優子は風呂場でエアコンのフィルターを洗い、中性洗剤に浸ける」 ♪素敵なことを素敵だと無邪気に笑える心が好きさ などと大声で歌いながらやると、埃取りもつらくなくなるから不思議である。 しかも1曲終わらないうちに仕上げないといけないと思うと、異様に集中する。 「で、4曲目の『モリスンは朝、空港で』で、 ボクはすべての窓にガラス用クルーを吹き付ける。 優子はエアコンのフィルターを風呂から出して、干す」 ♪Here come the brand new morning Here come the brand new day などと歌いながらベランダで作業するのは大変気持ちがいいのである。 フィルターは拭いてから干せば20分もすれば乾く。 「ねぇ、きょうちゃんわ?」 「ああ、きょうちゃんはね、一番大切なお仕事があるんだよ。 サンタにもらった『赤い屋根の大きなお家』を掃除してね」 響子はこのごろシルバニア・ファミリーという人形系のおもちゃに夢中である。 その家を掃除する、ということにしてしばらく部屋の隅にいてもらおう。 「5曲目の『IT'S ALRIGHT』と6曲目の『Happy Man』で ボクは窓ガラス拭き。 優子は風呂のタイル壁に専用洗剤を吹き付ける。 7曲目の『グッドバイからはじめよう』が始まったら、 ボクはベランダの始末。優子はトイレ掃除」 ♪終わりは始まり 終わりは始まり・・・ と悲しげに水を流す。ベランダもトイレも。なかなか気分が出るのだ。 で、一番能率が上がる『アンジェリーナ』が始まる。 「8曲目の『アンジェリーナ』と9曲目の『So Young』、 そして10曲目の『Sugertime』で掃除は一気に佳境にさしかかると。 ボクは家中に掃除機をかけまくる。 優子は中性洗剤をつけた雑巾でドアや壁などの黒ずんだ部分を拭きまくる」 『アンジェリーナ』『So Young』『Sugertime』の流れは最強である。 異様なるテンションで掃除がバシバシ進む。 「11曲目の『彼女はデリケート』が始まったら 優子はまずお湯を沸かす。これはお茶への伏線ですね。 ボクはマックまわりの掃除。 乾拭き・掃除機・ディスプレイクリーナーなど。 優子はブラインドをざっと拭く」 ♪あの娘の心、とてもこわれやすい She's so delicate ! などと叫びながら注意深くコンピューター周りを掃除する。 なにせデリケートだからね。 ブラインドだってかなりデリケート。 まったくもってちょうどお似合いの曲なのだ。 「12曲目は少々トーンが落ちる『こんな素敵な日には』。 ここではボクは落ち着いて壊れやすい置物などを拭くことにする。 優子はピアノを乾拭きしてくれ。 で、次の『情けない週末』で終末に入ります」 「うまい!」 「いや、どうもどうも。 ええと、ボクは玄関前を掃く。 優子はさっき洗剤を吹き付けた風呂場の壁を水で流したあと、 玄関内を掃除する」 そしてフィナーレである。 「いよいよ最後。 14曲目『Bye Bye Handy LOVE』で仕上げだ。 ボクは干してあったエアコンのフィルターをセットしたあと、 雑巾を洗って掃除機をしまう。 優子はゴミを整理してベランダに出し、 ベッドメイキングをしたあと、湧いたお湯でお茶をいれる。 で、曲が終わると同時に一服、と。 いやぁ〜〜〜〜、完璧なスケジュールだぁ!」 「パチパチパチ!」 こうして佐藤家の大掃除は51分と9秒で終わりを告げた。 まったく元春サマサマである。 こんなに大掃除にぴったりのCDなど、他には見つからないのである。 51分と9秒、かなりバタバタするし、なんかちょっと雑なような気もするが、まぁ結局のところ埃で死んだ人はいないし、掃除なんて自己満足の世界なのだ。細かいところを気にしだしたらキリがないからね。 ちなみにユーミンの『Surf & Snow』もわりと掃除向き。 元春に比べると激烈ロックが少ないのが難だけど。 なお、ハードロックのCDとかはやめた方がいいよ。ほどよくスローが入らないと疲れるし、物が壊れます。 元春が一番。 それもこの『NO DAMAGE』に勝る物はない。 いやー、それにしてもよく動いたなぁー。あー、疲れた。 「はい、次はビリー・ジョエルの『ナイロン・カーテン』!」 「は? なんだよ、コレ」 「今年の年越しは手打ちさぬきうどんで、って言ってたでしょ。 で、手打ち作業には『アレンタウン』が最高に合うって言ってたじゃない。 夜中に食べるとしても、そろそろ打ち始めないと。 冬だから生地を6時間くらい寝かさないといけないし」 「いや、でも、ちょっと疲れたし・・・」 「なに言ってんの! はい、小麦粉。これが打ち粉用のコーンスターチ。 がんばってねー!」 ・・・仕方ない。 1998年の締めくくりは、やっぱりさぬきうどんであろう。 重い腰を上げて、麺打ちの台を押入から出してくる。 1曲目の『アレンタウン』をエンドレス再生にする。 ♪Well we're living here in Allentown 鉢で小麦粉をこねる。 快調だ。 ♪シッ、ウッ、ハッ 『アレンタウン』はまさに麺打ちのためにあるような曲である。 力は入りやすいし、リズムもちょうどいいのだ。 打ち板に生地を広げて打ち粉を振り、麺棒でグッグッと押し込みながらのばしていく。 打ち粉をパッと振って、のばす。 打ち粉をパッと振って、のばす。 打ち粉をパッと振って、のばす。 打ち粉をパッと・・・ あぁぁぁぁぁぁあ!!! せっかく掃除したリビングがぁぁぁぁ!!! 真っ白になったリビングのじゅうたんを見下ろしながら、呆然と座り込む。 打ち粉はどうしても周りに飛び散ってしまうのだ。 優子が『NO DAMAGE』のCDを持ってきてボクの前にポンと置いたのは言うまでもない。 P.S. 12/20から3泊4日で旅行してきました。 12月で切れるJALのマイレージがあったので、その消費もかねての骨休め温泉旅行。
いやーーーー。 のべ20回くらい温泉入ったかな、この旅行で。 「いこい旅館」なんて旅館内に温泉が8つくらいある。 それぞれ趣向を凝らしているから、飽きないんだよね。 まぁこの旅行に関しては旅行メモ的日記を別にアップする予定です。 ということで、みなさん、良いお年をお迎えください。 また来年も、よろしゅうに。 |
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