これが私の色の道  --98.06.26




自分のお金で自分の洋服を買い始めてからかれこれ20数年。

そんなにファッションには凝ってこなかったにせよ、それなりにお金は使ってきた。

特に会社に入ってから。
女性ほどではないにせよ、スーツだってそこそこ高いしシャツだってネクタイだって馬鹿にならない。私服だっていっつもTシャツやポロというわけにはいかないから、ちょこちょこお金がかかる。

そんなにセンスには自信はないけど、自分なりに満足したファッション生活を送ってきたのである。


好きな服を買い、好きな時に着る・・・。

まったく当たり前のことのようだが、戦時中や共産国家では無理かもしれないそんな生活を充分享受し、ボクなりに楽しんできたのだ。


でもその楽しみ方といえば、ぶらりとデパートとかに入ってなんとなく気に入った服を買う、といった程度のもので、まったくの「行き当たりばったり」。何の展望もないファッション生活だったのだ。
ファッション誌も読まなかったし、セールにも並ばなかったしね。


漠然と自分の方向性が見えてきたのはニューヨークを知ってから。
95年以来なぜか縁があり、出張で延べ3カ月は滞在した魅力的な都会、ニューヨーク。
そこでボクは自分のファッションの方向性を掴んだ気がした。


それは「ブラック&シック」


黒を格好良く着こなして渋くシックに生きていこうと思っていたのだ。

大人だもんねーーー!

原色とかエスニックとかを派手派手に着ている奴等とは一線を引いて渋く生きていこうと決めていたのであったった。


でも、でもでもでも。














アタシ、間違っていたの(巨泣)!!!









黒が似合わないカラダだったのよーーー!!!












ボクにその引導を渡したのは、伊藤先生というスッチー出身のカラー・コーディネーター。

「佐藤さんは黒は避けた方がいいですねぇ。黒とか紺とか色が濃いのは似合わないです」


ひえぇーーーー!

き、気軽に言うではないか。
ボ、ボクのワードローブはいまや黒中心な、な、なのに

す、す、す、捨てろっちゅうんかい!












カラー・コーディネーター。

そのヒトにどんな色が似合うかを診断してくれる、場合によっては天使、場合によっては悪魔みたいな人だ。

娘の響子が通う幼稚園のママさん会で講師に呼んだのがはじまりで、優子はこれまでに数回、そのカラー・コーディネーターの講義を受けている。

彼女も色使いの方向性を間違っていたらしい。

「あぁぁぁ、アレも似合わないのー?! すごい高かったのにぃ!
 ひえぇー、コレもダメっつうのー?! お気に入りなのにぃぃ!
 悪魔ーーーーーーーー!!!!!」

ワードローブ前でさんざん泣いていた。


前からボクはカラー・コーディネーターに一度自分を診断して欲しいと思っていたので、泣き叫ぶ優子をなだめつつ、先生を紹介してくれと頼んでいたのだ。

そしてこの前の土曜日、それがついにかなったというわけである。




ここで簡単にカラー・コーディネートの原理を説明してみよう。知っている人は読み飛ばしてちょーだい。

まず、人間の「肌」は例外なく2つのタイプに分かれるという。

「イエロー・アンダー・トーン」「ブルー・アンダー・トーン」
黄色系と青色系だな。

白色人種も黒色人種も黄色人種も例外なく、このふたつに分かれるらしいのだ。

そして、色それ自体もイエロー系とブルー系に分かれるという。
つまり同じ「白」でもイエロー系の白とブルー系の白があるわけだ。
「黄色」でもイエロー系の黄色とブルー系の黄色があるのだ。
蛍光色な黄色ってちょっと青入っている気がするでしょ? あれをブルー系の黄色と呼ぶ。そしてもちろん青にだってイエロー系の青とブルー系の青があるのだ。


で、イエロー系の肌の人がブルー系の色の服を着ると、疲れて見えたりシワが増えて見えたり粉ふいて見えたり顔が引っ込んで見えたり妙に老けて見えたりするらしい。ブルー系の肌の人がイエロー系を着ても同じ。

「今日、キミ、なんだか顔色悪いね」
とか会社で言われたことない?

そういうときは「似合わない色系の服を着ている可能性が高い」というのだ。


本当はイエローは「ハーベスト」と「ディライト」、ブルーは「ソフィスティケイテッド」と「パーマネント」の2つに分かれるのだが、ここでは詳しく説明しない。

とにかくヒトには肌のトーンによって、似合う色と似合わない色がある、ということ。





「顔が映える色使いをすると第一印象が全然違うんですよ」

伊藤先生はボクにエプロンをかけながらにこやかに話す。
白いエプロンをかけて、その上からいろんな色の布を載せ、ボクの肌のトーンを調べるのだ。


「佐藤さんはイエロー系とブルー系、どちらの肌だとご自分で思われますか?」
「・・・わかんないけど、ブルー系かなぁ」
「お洋服はどういった系統が多いですか?」
「いまは圧倒的に黒ですね」

全身鏡を見ながらまず白を当てる。
オフホワイト、生なり、アイボリー、蛍光白の4つ。
おお、顔の映え方が確かに違う気がする。蛍光白は顔が疲れて見える。

「蛍光はブルー系の中でも一番青が強いパーマネントですね。
 芸能人でいうと反町とか堂本剛とか」
「これは似合いませんねぇ」

次はオフホワイト。
うん、わるくない。

「さきほど説明した色のトーンの話には、実は例外があるんです」
「色それ自体にもブルー系とイエロー系があるって話?」
「そう。例外は黒と茶とオレンジ。
 黒は必ずブルー系。茶とオレンジは必ずイエロー系なんです」
「へー。だったら余計ブルーがいいなぁ。黒ばっかり持っているし」

オフホワイトはソフィスティケイテッド。芸能人では筑紫哲也とか福山とか。

「次はイエロー系を当ててみましょう」

ハーベスト・・・キムタク。久米宏。岩城晃一。
顔が少々大人しくなるかな。

ディライト・・・香取慎吾。小堺一機。
これは顔が明るくなる。

「ブルー系のソフィスティケイテッドとイエロー系のディライトが有力候補ですね。
 ちょっと他の色も当ててみましょう」
「ブルー系でいいんですけど・・・」

赤や青や緑や黄色や紫や・・・
それぞれ4種類ずつ当てていく。

だんだん色の映え方に一定の法則があることがわかってくる。
イエロー系の方が顔が明るく機嫌良さげに見えるのだ・・・・・。


    ・
    ・
    ・
    ・
    ・



「佐藤さん。ご希望むなしく、アナタは完璧にイエロー系ですね。
 それも派手派手なディライトに属します






♪ ハーデルヤ ハーデルヤ
  ハデルヤ ハデルヤ ハデ〜ルーヤ




「・・・黒とかを着ると・・・?」
「うーん。疲れて見えるかもしれませんねぇ。老けて見えたり・・・」
「印象も暗くなったり?」
「不機嫌そうに見えたり。第一印象とかイマイチになるかもしれませんねぇ」
「・・・ボク第一印象悪いって言われるんですよ」
「服のせいも大きいと思います」


ふ、服のせいだったのか・・・(←もともとの顔のせいもあると思うぞ!)




こうしてボクは37歳にして180度の方向転換を迫られたのである。



我が「色人生」大回り道!!

我が「ワードローブ」大無駄!!大散財!!(泣叫)




でも、泣き叫んでいる暇はないのだ。
すぐにでも新しい色人生を始めなければいけない!


とりあえずボクはメガネを変えてみた。

紺色の四角いのをしていたのだが、それを黄色のウルトラセブン型に変えてみたのだ。そりゃもう、イエロー系ですぜ。

ネクタイも先生に全部見てもらって、ディライト系に変えた。というか今まで持っていた黒系ブルー系をしまいこみ(捨てないところがセコイ)、する予定もなかった派手派手なのを出してきたのだ(持ってんじゃねーかよ)。
シャツは根本的に購入しなおし。Tシャツやポロも徐々に買い換えていかなければいけない。


あ〜、金かかりすぎ!
早く来い来い、サマーセール!


金がかかると言えば、いっぱい持ってる(といっても4つくらい)黒系スーツ・・・


「これも根本的に買い換えられた方が・・・」









捨ててたまるかい!



こうなったらわざと疲れて見られたい時に、着てやろうではないか!




部長「佐藤、顔色悪いねぇ」
ボク「はい。悪いんです。午後から帰っていいですか」
部長「しょうがないなぁ。帰っていいよ」
ボク「はーい。アー調子悪い」




疲れの演出である。

バカとハサミと似合わない色は、使いようなのである。





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