食べボケ老人  --98.01.25




ジャイアント馬場が60歳になったらしい。

1938年1月23日生まれ。

ことしは1998年だから……
うん。確かに60歳。還暦だ。計算は合っている。



でも。

60歳でプロレスなんてしていいのか……?

法律違反ということはないか?


しかも、誕生日のリングでは見事に勝利を飾っている。
あの痛々しいほど細い腕で、チョップしている写真がスポーツ紙に載っていた。




なんで勝てるのだ?




会社にいる60歳前後のおじさんたちが
屈強な若いレスラーと闘っているところを想像してみる…………








馬場さん……

やっぱりそれは無理があるよ。




会社で机に向かっているだけなのに
「そろそろアナタは定年よ。ね、引退しなさい」
と勧告されてしまう年齢なのだ。



赤いちゃんちゃんこ着て
長生きしてメデタイメデタイってお祝いされる歳なのだ。
レスリングをしている場合ではないのではないだろうか。


少なくとも人間の生理に違反しているな。

アメリカだったら、訴えれば勝訴できるかもしれない。

「見ていてスリルがありすぎる。
 いつ死んじゃうか心配でたまらない。
 それ以来毎日悪夢に悩まされ、とうとう会社もやめざるを得なくなった。
 ジャイアント馬場は60歳でプロレスをするという
 人間生理に違反する行為を公然とし、
 私の生活をおびやかしているのだ!」……

優秀な弁護士をつければ、勝てるかもしれない。
なにしろ「私がこんなにバカなのは私を産んだ両親のせいだ」という訴えが
勝ってしまう国だからな。





もちろんプロレスにスポーツ的な面と興行的な面があるのは理解しているつもり。
馬場さんのプロレス界にたいする多大な貢献も、わかる。

でも、ジャイアント馬場が60歳で勝ち続けることは、
きっとプロレス界にとっても本人にとってもイイコトではないと思うのだけど……

(あ、ここらへん、熱狂的なプロレスファン&馬場ファンの方は気にしないで読み飛ばしてください。あまり状況をわからずに書いています)








ところで。

彼みたいに現役にこだわるタイプの人は
わりとボケやすい。

現役を引退したとたん、ガタッと気力と意欲を失って、ボケることが多いようだ。



ジャイアント馬場がボケたら、こりゃ大変だ。

「寝たきりジャイアント」になっても大変だが(おむつを換えるのも一日がかり)、
やっぱりボケた方が大変だと思う。



夜道を徘徊なんかした日にゃ、危険だ。

危険すぎる。




夜道で出会うボケた馬場ほど怖いものはない。

帰宅をいそぐ暗い夜道で、急に16文キックなど見舞われたら生死にかかわる。

いや、急にあの声で「アァップ!」とか叫ばれただけでも心臓発作ものであろう。

ジャイアント馬場が引退後どの街に住むか、これは要チェックである。







ちなみに、僕もボケる気がする。

すごくしっかりしていた祖父母がちょっとそうなって、父母はかなり介護に苦労していた。
ボケは遺伝もあるらしいから、父母も、そして僕も、あぶない。


僕の場合、もちろん夜道でいきなり16文キックなどはしない(ちなみに足は28cmなのでもしキックをしたらわりと効くかもしれない)。

ただ、
ただ不安なのは「食べボケ老人」になるのではないか、ということだ。

食べボケ……つまり食べたのを忘れたり、食べ物の区別がつかなかったりするボケ症状。

それこそ「Chain Eating」し続けて、家族などに多大な迷惑をかける予感がしてならないのだ。





鬼ほど食べた後、食べたことを忘れてもっと食べさせろと暴れたらどうしよう。

ポトスの葉をせんべいと間違えてバリバリ食べたらどうしよう。

そして、
夜中に「夜道徘徊」ならぬ「レストラン徘徊」をしたらどうしよう……。



夜中の2時ころ、シャッターが閉まったフレンチ・レストランのドアを叩いて

「ディナータイムですよ〜! お客さんですよ〜!
 開店してくださいっ! 予約した佐藤ですよ〜!
 おなか減ったってば! なんか食べゆ〜!
 お〜い! あれ?こんなところにトリュフが……もぐもぐ
 うーん、これはとてもいい黒トリュフですね」

などと、

暴れたあげく犬の糞をしたり顔で味わったりしたら、どうしよう!



どうしよう。
本当にそんなことをしそうだ。
予感が、ひしひしと、する。


いや真剣な話。
これに関してはまったく自信がないのである。

僕の引退後の住まいの周囲4キロには、レストランを開かないことを、
そして、なるべく犬を飼わないことを、
ここで切にお願いしておきたいのである。







P.S.
1月23日。
ジャイアント馬場の誕生日に、我がホームページは10万アクセス突破しました。みなさま、ありがとうございました。
このホームページは長く長く続ける気ではいますが、もしすでに書いたことを忘れてしつこく書き続けるような「書きボケ老人」の症状が見えてきたら、やさしく引退を勧告してくださいね。




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