ママチャリでゴー!  --01.08.12 





軽井沢に「避暑」に行ってきた。

どうよ、この響き。
「軽井沢」で「避暑」である。フランス人なら「ニースでバカンス」、アメリカ人なら「マイアミでリゾート」、芸能人なら「ハワイで正月」・・・それに匹敵する響きではないだろうか。

ま、実体は、会社の軽井沢寮がたまたま2泊とれたので、よろこび勇んで出かけたボンビー家族、ということなんですけどね。

軽井沢のブルジョア別荘族からすると「一番来て欲しくないタイプの家族連れ」であろう。
あー、その気持ち、わかるぞ。
会社の寮に安〜く泊まって、ただでさえ原宿竹下通り状態に混みまくる「旧軽」をキャーキャー言いながらサイクリングされた日にゃ、「高い土地代と維持費を払ってる私たち別荘族と同じ涼しさを味わうとは何事!! しかも混む。邪魔。子供がうるさい。あんたら来るからオコチャマ向けな店も増えちゃったし… もうサイアク!!!」な気分になるであろう。わかるわかる。うはは。

でもさ、仕方ないのよ。

だって、会社の寮って、1泊900円なんだもの〜!!


悪いが、900円で軽井沢に避暑に行けるなら、どう嫌われようがどこ吹く風である。
そのうえ、庭は広大、施設は(古いが)ホテル並み。

われわれ家族3人、浮かれ気分で軽井沢に向かっても、誰も責められまい。



が、そんなわれわれを笑うがごとく、出かけた日の東京都内はクーラーがいらないくらいな涼しさ。

「うーん、なんだか悔しいねぇ」
「めちゃめちゃ悔しいわよ!」
「ボクたち "軽井沢に避暑" に行くんだから、みんな汗ギトギトのネクタイ姿で通勤してなくちゃ…」
「湿気もジト〜で、買い物に行くにもヒーヒーいってるべきよ!!」
「今日の東京は記録的猛暑に見舞われ、とかニュースで言ったり…」
「死者が出るくらい暑くないと許せないわ!!!」
「……」




・・・ま、そのくらいなイベントだったんですね、ボクたち家族にとって。




なのに。
それなのに、軽井沢ったら。








さ、さ、さぶぅ〜〜っ






なにが悲しゅうて、8月アタマの軽井沢で熱燗飲まなあかんねん!!






ええ。一口目に「とりあえずビール」と言えないくらい、寒うございました。







ま、とはいえ、やっぱり軽井沢は気持ちいい。

10年強ぶりの軽井沢。
その間に、新幹線は通るわ大規模アウトレットは出来るわで、道すらよくわからなくなってしまっていたけど(新幹線の線路が南北を二分してしまったのが大きいね)、森に一歩踏み入れると、そこはやっぱり天国だった。

「あーわかるわ、こういう感じ、アナタ好きよねぇ」と優子。

そう。
好きなのだ。寒かろうが曇っていようが…いや、寒くて曇っているくらいがちょうどいい。好きなのだよ、暗めで平坦な、森。それも特に、軽井沢あたりの植生はひじょ〜に好みである。


んでもって、家族でサイクリング。

うひゃひゃ、典型的な脳天気家族図である。自分がこんなことするとは思ってなかったが、ま、やればやれちゃうものだねぇ。
しかも6歳の響子と2人漕ぎするボク。
ほら、リゾートでよくあるでしょ、ペダルが2人分ある長い自転車。
あれに乗って、ニコニコ走る我がファミリー。

・・・思えば遠くに来たもんじゃ。
得たものと失ったもの、単純には比較できないけど、なんつうか「ライフ・マスト・ゴー・オン」とでも言いますか、ちょっと感慨深かったりして。



ただ、ひ〜〜〜〜さしぶりにチャリンコ乗ってみたら、これがアータ、やけに気持ちよかったですね。
ま、好きな軽井沢を走ったというのもあるだろうけど、適度に運動になるし、走っている間になんかストレス抜けるし、歩いているときと視野とスピードが違うせいか何か新鮮な目で世の中が眺められる。

陳腐な言葉でいうと、爽快、なのだ。

そして、

「いやー、いいな、チャリ」
「いいわねー、チャリ」
「おもしろかったあー、チャリ」

そんな感想をチャリチャリ話しながら、そういえばクロード・チャリ(ちょっと違う)はどうしてるのか、やっぱりチャーリー浜のママはママチャリなのかなどとくだらない話をしながら寮の部屋でテレビを見ていたら、ある番組でタイムリーにも「自転車通勤」を特集していた。



おお、自転車通勤とな!
なになに、15キロ圏内なら楽勝で自転車通勤が出来る・・・?
え、場所によっては電車通勤より早いって?
なぬ! 20キロ痩せただ〜?

うぅ、こ、これは・・・やっちゃいそうな予感・・・





・・・ちゅうことで、(あまりの忙しさに好奇心すら失っていた3ヶ月からやっと立ち直ったボクは)いつもの行動力をようやく取り戻し、やってみたですよ、自転車通勤!


Mapfanの「るーとMap」で計算してみたら、家から会社までドア・ツゥー・ドアで12.3キロ。時速20キロで走れば40分弱で着く計算。
ほとんど坂のない平坦なルートだし、会社にシャワー室はあるし、私服通勤オッケーな部署だし、フレックスだからある程度時間は自由だし、「運動不足すぎ」という人間ドックの検査結果だったし、これはまるで「自転車通勤しなさい」と言われているような条件の揃い方

問題は、走るルートが大幹線道路でトラックびゅんびゅんで危ないことと、排気ガスがブハブハなので逆に健康に悪いのではないかということと、歩道をマナー知らずに自転車で走るヤツらをボクが嫌っているということと、夜飲みに行ったら帰りはどうすればいいのかということと、仕事が徹夜でも続けられるのかということと、この酷暑にそんなことやって死にはしないかということと、オフィスから遠いところで仕事が終わったとき直帰できないことと、オフィス近くでどこに駐輪するのかということだけ(いっぱいあるではないか!)。

あ、あと、自転車がママチャリであること。
錆びだらけで、ベルも壊れた古いママチャリ。タイヤも空気ぼにょぼにょ。だいじょうぶかなぁ〜。


ま、でも、とにかく一回やってみることが大事である。
軽井沢から帰った翌朝、ボクは優子と響子にあたたかく見送られながら、会社に向かって自宅を出発したのであった。






誤算その1

大幹線道路のくせに、駐車するクルマばかりで危なくて車道には出られず(ヘルメットもかぶってないしさ)、かといって歩道は狭く、人がいっぱい歩いていて危険で走れない。

ところによって、なんと時速3キロ以下(歩行者以下ですな

なにしろ歩くの遅いオバサンの後ろとかをずぅぅぅぅぅっと自転車でついていったり、コンビニ前の学生の渦に巻き込まれて身動きできなくなったり、駐輪の海の間を押して歩いたり・・・(泣

脇道入ったら入ったで、細道からなんの疑問もなく飛び出してくるクルマが怖いし(クルマにとっては自転車が飛び出してくるように見えるだろうな)、大幹線道路に戻れば戻ったで大きい交差点など歩道橋しかなくて、向こう岸に渡れないし・・・・


この調子だと、会社まで2時間かかってしまうよ、かぁさん!






誤算その2

予想以上に歩道の段差が激しいのだ。

ガッタン、ゴドゴド、ゴガン、ドサッバシャッ・・・

ノートPCをママチャリのカゴに入れているボクとしては、毎回いよ〜〜〜〜〜に慎重に歩道の段差を越えるのだが、それでもガッゴン!となってしまう。
うぅ、モバイラーにはわりとつらいかも。PCが、こ、こわれるぅ〜〜。

かといって、スピードを落としまくると、会社に着くのがどんどん遅れる・・・


急ぐとPC壊れるし、慎重にしていると会社に遅れるよ、とうさん!








誤算その3

ひーひー言いながら会社の近くの築地市場を通りかかったら、ちょうど朝の市場の仕事を終えたヒトビトがくつろいでビールする時間(10時すぎ)だったこと。

喉カラカラ。マジにカラカラ。死ぬほどカラカラ。

プハァァァァ〜〜〜〜〜!っと築地場外で生ビールしてしまったボクを、誰も責められまい。

そのうえ、寿司まで喰ってしまったボクを誰が責められるだろうか。







結局、会社にたどり着かなかったよ、ばぁちゃん!!(泣








慣れない運動をした直後にしこたま飲んでしまったボクは、ちょっと気分が悪くなり、そのまま築地近辺に駐輪して(ゴメン)、電車で家に帰って、死んだように、寝た。




ただ、帰りに駅の本屋で、詳細な地図を買った。

よく調べてみると、あの最悪の大幹線道路の一本東に、もっと歩道に人が少なそうで手頃な太さの道が、ほぼ平行に走っているではないか!!







リベンジだよ、じぃちゃん!!







お盆の時期は、人もクルマも少なく、リベンジには最適である。


やるぜ!!!!!








「やるぜ、ってさ、自転車、築地に置いたままでしょ?
 で、今週は毎晩飲み会が詰まっているとか言ってたじゃない。
 飲んだあとに乗るとまた気分悪くなるだろうし、第一危ないわ。
 どうすんのよ!」











・・・リベンジはお盆明けだよ、ひいばぁちゃん!!!











ご先祖様たちの情けなさそうな顔が目に浮かぶ、そんなお盆のボクなのでした。



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